先日の成人の日、各地の成人式でさまざまなスピーチが行われたと思います。
半世紀ほど前、わたしも聞いたはずですが、誰がどんな話をしたか全く覚えていません。
が、こんな話をしてくれた大人がいたらよかったな、と思うYoutubeビデオがありました。
渋谷区の成人式、脳科学者の茂木健一郎氏のスピーチです。
音声だけの8分ほどのスピーチですが、よろしかったら聞いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=VJ0g_uQEw98
茂木さんと言えば「クオリア」研究で売り出した研究者でした。
たまたまわたしも脳科学、認知科学といったことに興味があった頃なので注目。
図書館で本を借りて読んだこともありました。
クオリアを一言でいうと、リンゴを赤く感じる時の「感じ」です。
意識、感覚の面から、哲学者、科学者が研究していますが、もちろん実態は掴めていません。
「コウモリであるとはどのようなことか」という哲学者の著作もあります。
別にクオリアの話を書くつもりではなく、茂木さんのスピーチ。
自分のためだけでなく、人のため、世の中のためを考えることでエネルギーが生まれてくる。
それと、どんな能力があるかの違いあっても、一人一人のポテンシャルは同じ。
その2点がポイントということでしょうか。
それを聞いて考えたことは、おのれの欲せざるところは人に施すことなかれ、の言葉。
孔子の言葉ですが、これには昔から違和感を抱いています。
この言葉には、自分と人は同じ感覚を持っているという前提があります。
そうじゃないんじゃないの、というのが違和感のおおもと。
むしろ、他人の欲せざるところを人にすることなかれ、のほうがスッキリするのではないか、と。
もちろん、コウモリの気持ちがわからないように、他人の気持ちもわかるとは限りません。
でも、自分がこう思うからといって、それをもとに他人を推し量ってはいけない。
一度、自分を捨てて、あるいは自分から抜け出てみることが大事なのではないか。
意味合いが違うかもしれませんが、ヘーゲルの「世界精神」という言葉を思い出しました。