つれズレ愚抄

 
ズレ：「華麗なる大逆転なんて活劇めいた邦題からすると痛快に陰謀や欺瞞を暴く喜劇仕立てのような印象を受けるものの、説明台詞部分にはコメディタッチのくすぐりこそ鏤めてはいても大筋としてはThe Big Shortてぇシンプルな原題にマッチしたストレートなドキュメンタリーだわな。
サブプライムローン自体の仕組みはもう一つ呑み込めないながらも一度欲望が転がり出すとさらなる欲求を産み出して限界まで膨らんだところで破裂するてぇ図式は本邦の不動産バブルの例から得心の行くところで、喉元過ぎれば性懲りもなくまた繰り返すバブルのタネは尽きまじなんだろうよ。
全編に亘ってハードロックが鳴り響くのは主人公の一人のキャラ表現の所以かと聞き流していたのが最後のトドメにLed ZeppelinのWhen the Levee Breaksを持って来られるとこれほどストーリーと楽曲がビシッとハマるのはかつて記憶になく、向後はヘヴィーなリフが耳に入る都度バブルを思い起こそうてぇほどに刷り込まれちまったぃ」