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【国際線フライトと海外の旅の物語】 (第53回) ガーメントバッグは国際ビジネスパーソンの必需品だった

 今日では航空機のキャビンにピッタリ格納できる「キャリングケース」が主流となっているが1980年代はショルダリングができる「ガーメントバッグ」が国際ビジネスマンの必需品であった。

ガーメント」は「衣類」という意味で、特にスーツなどのビジネスの場に着用する衣類全般を指す。

ガーメントバッグ(garment bag)」とは、名前の通り衣類を運ぶために作られたバッグのこと。衣類をハンガーに掛けたまま持ち運びできるのが特徴。
 スーツやコートなどを、ハンガーに掛けるたまま靴も収納し、二つ折りにして手に提げられる携帯に便利なバッグ・衣服かばん。
 日本語では、さしずめ旅行用衣料鞄とでもいおうか。持ちやすく見た目もスマートで、何より衣服がシワになりにくい。数日から1週間以内の短期ビジネス出張の必需品であった。

 それまでのビジネス旅行でも手荷物以外のスーツケースはチェックイン際、航空会社に受託手荷物として預け、到着地のバッゲージクレームでケースが出て来るのを待たされていた。飛行機が到着しイミグレーションをスムースに出て来ても手荷物を受け取るのに20-30分は待つこともあった。ぐるぐると廻って来るのを辛抱強く待っていた。

 それでもファーストクラスとビジネスクラス客は受託手荷物がある場合、手荷物カウンターで預ける際、優先受け取「PRIORITY」マークを手荷物タグに印字、または「PRIORITY」の優先タグを付けて貰えるので到着地でバッゲージクレームで手荷物の最初に出て来るので優先受け取りができる。(発地では荷物室に最後に積み込み、到着地では最後の荷物から早く取り出す)

 時間を気にするせっかちなビジネスマンは更にスムースに旅をするため、極力手荷物を預けず、手荷物として機内に持ち込むのである。そうすればイミグレーション、税関を過ぎれば待たされることなく快適に空港を出られるのである。1週間くらいのビジネス旅行ならガーメントバッグだけで十分だ。

 当時、ビジネスクラス以上の短期出張ビジネス客は2つ折りのガーメントバッグを伸ばし、機内の吊るす格納スペースに預けていた。対地に到着すれば教務員が自席まで持ってきてくれた。
 私はビジネス旅行でも通常、リラックスできる普段着で搭乗していた。スーツ、カッターシャツ2枚、ビジネスシューズの他は下着、洗面用具等だけでOK。(洗面用具はホテル、機内でアメニティが配れたので持参する必要も無かったが)

 このサービスはファーストクラスとビジネスクラス客への得点だった。
 商社員はじめインターナショナルビジネスマンは現地到着すれば機内からガーメントバッグを肩にかけさっそうとイミグレーション、カスタムに直行していたのである。

 私も短期の海外出張が頻繁となり手荷物を預けるのを止め、ガーメントバッグにした。シンガポールに出張した時、革製のガーメントバッグを少し張り込んで買い愛用していた。
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