湖国に初めての深紅の大優勝旗を――。
近畿勢で唯一、夏の甲子園で優勝経験がない滋賀代表の「近江」は、そんな強い思いを持って快進撃を続けたが、智辯和歌山に敗れ「4強」で終わった。
近畿勢で唯一、夏の甲子園で優勝経験がない滋賀代表の「近江」は、そんな強い思いを持って快進撃を続けたが、智辯和歌山に敗れ「4強」で終わった。
↑写真:滋賀勢、初の甲子園V逃す(朝日新聞より)
今年で103回を数える大会の歴史で、滋賀県勢は苦戦を続けてきた。
1府県1代表が定着する第60回大会までは、隣の京都との代表決定戦で苦杯をなめ続け、滋賀県勢が初出場したのは1953年(昭和28年)の第35回大会。そこから26年かかって、第61回大会(1979年・昭和54年)での初勝利は全国で最も遅かった。
大会で滋賀県勢の通算勝率は4割強。全国最高勝率(約67%)の大阪を筆頭に、5割を大きく上回る他の近畿各府県の後塵を拝してきた。それだけに、近江は同じ近畿地区の代表校にライバル意識を燃やしてきた。
ベンチ入り18人のうち滋賀県内出身者は10人。守山市出身で中軸を打つ新野翔大君(3年)は、「近畿の学校が甲子園で活躍しているのに、悔しい気持ちがあった」と話す。同じ守山市出身のエース岩佐直哉君(3年)も「近畿では一番下」と自覚してきたという。
だがこの夏、近江は新たな歴史を刻んだ。
夏の甲子園で滋賀県勢は大阪勢に4戦全敗だったが、2回戦で「大阪桐蔭」を相手に初白星を挙げた。栗東市出身の山田陽翔君(2年)にとっては「特別な試合」だった。
大阪桐蔭は3学年上の兄・優太さんの母校。山田君は「自分を育ててくれた地元で、強い相手を倒して優勝したい」と近江を選んだ。この試合、投手として序盤に4失点したが3回から6回を0点に抑え、逆転勝利につなげた。
準々決勝の相手は神戸国際大付。兵庫勢は全国制覇7度、勝率約6割。昨秋の近畿大会で負けた相手だが、激闘の末にサヨナラ勝ちした。
近江の「4強」は20年前(2001年)の第83回大会準優勝に次ぐ成績。
2年生ながら投打で大活躍の山田陽翔君は試合後、泣き崩れた。
多賀章仁監督(62)は「(来年の)春夏あるから、必ずここで借りを返そう」と声をかけた。
今大会の近江高校の戦いぶりは今後の滋賀県勢の励みになるだろう。
よく頑張った近江高校球児に拍手!
準決勝戦(ベスト4): 8月28日(土)
智辯和歌山(和歌山)「5」ー近江(滋賀)「1」
智辯学園(奈良)「3」ー京都国際(京都)「1」
明日29日の決勝は「智辯和歌山」(和歌山)と「智弁学園」(奈良)の兄弟校が戦う。
<追記> 優勝は「智辯和歌山」。結果、「智辯和歌山」に準決勝戦で敗れた「近江」は事実上3位相当になった。(8月29日)
<朝日新聞より>