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【滋賀・近江の先人第46回】東洋一の豊郷小学校を寄贈した・古川鐵治郎(滋賀県豊郷町)

古川 鐵治郎(ふるかわ てつじろう)、1878年(明治11年) - 1940年(昭和15年)62歳没は、実業家。

滋賀県豊郷村(現豊郷町)四十九院の古川半六の二男。近江商人。
1921年(大正10年)~1940年(昭和15年)に死ぬまでの19年間、丸紅商店(後の丸紅の前身)専務取締役を専務を務め、商社「丸紅」の礎を築いた。
 

      

古川 鐵治郎による豊郷村小学校寄贈
1937年(昭和12年)、故郷の豊郷村(後の豊郷町)の故郷の子どもたちのために私財を投げ打ちに、豊郷村小学校(豊郷町立豊郷小学校の前身)を寄贈した。この建物は、建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計である。当時としては画期的な近代的校舎で、当時は、「白亜の教育殿堂」「東洋一の小学校」と言われた。
2013年(平成25年)には国の登録有形文化財に登録されたが、その一部は図書館や教育委員会、育児支援施設として使われている。
   
旧豊郷小学校内の広々とした廊下の幅は、約3mだ。3階まで続く階段の手すりには、「うさぎとカメ」が駆けっこをする真鍮のオブジェが置かれている。伝えられるところによれば、豊郷小学校のシンボルを作ろうとヴォーリズから提案されたとき、古川の頭には優秀で社交的な兄とは違い、動きが遅くていじめられっ子だったが尋常小学校を卒業するときに恩師から言われた「誰も見ていないところでも努力し、ゆっくりでもいいから前へ進んで行きなさい」というイソップの寓話の言葉が浮かんだ。

尋常小学校を卒業後、兄と同じように高等教育を受けたかったが、油屋を営む実家は裕福ではなく子沢山で、古川少年は進学を諦めざるを得なかった。
1889年(明治22年)11歳になると親元を離れて大阪へ行き、叔父である伊藤忠兵衛のもとで丁稚奉公を始めたのだった。
そんな古川は「世間から得たお金は世間へ還元する」という近江商人の理念を受け継ぎ、自らも理想の教育を実現するための豊郷村小学校を作ろうと思い立ち、土地を買収し、建設にかかるすべての費用を個人で負担したのだった。

ヒストリー
1878年(明治11年)滋賀県犬上郡豊郷村四十九院に、商家(油屋)古川半六の二男として生まれる。
至塾小学校(現豊郷小学校の前身)
1889年(明治22年)、大阪で繊維商を興していた、叔父初代伊藤忠兵衛(伊藤忠・丸紅の創業者)の丁稚となり、
1891年(明治24年)に中年者(丁稚の上)として伊藤本店に入店した。
その後、本店支配人、株式会社伊藤忠商店(後の伊藤忠商事の前身)の取締役・支配人、
1921年(大正10年)設立の株式会社丸紅商店の専務取締役を歴任し、与信制度や予算制度など近代的な経営管理を導入し、同社を貿易商社へと成長させた
この間、1928年(昭和3年)には7ヶ月ほど、実弟である義三の海外視察に同行し、欧米諸国を旅した。米国訪問中、製造業やデパートの効率的な経営に古川が驚嘆した様子が、義三の著書『世界ひとのぞ記』に記されている。また、米国の財界人が事業の利益を社会へ還元している実態を知り、深い感銘を受ける。そして自らも公私にわたり寄付を行いつつ、「国霊の進展は国民教育に新興にある」と考えた古川は、現在物価で数十億円を寄贈し豊郷小学校を建設する。

1931年(昭和6年)、丸紅商店は初代社長であった七代目伊藤長兵衛(初代伊藤忠兵衛の兄)が引退し、副社長であった伊藤忠三(初代伊藤忠兵衛の娘婿)が代表取締役から外れた会長に就任して、古川鐵治郎一人が代表取締役という体制となった。病床にあった伊藤長兵衛から社長就任を請われたが古川が社長就任を固辞し続けたためという。
古川鉄治郎は、死去するまで19年間、丸紅商店専務取締役として同社の経営にあたり、事業規模を拡大させていった。

1935年(昭和10年)、古川鐵治郎は豊郷村へ小学校の寄付を申し出、1937年(昭和12年)にその完成を見た。60万円(現在では数十億円)にものぼったとされる寄付総額は、古川の私財の3分の2に相当する巨額であったという。また、この寄付額は豊郷町の年間予算を越えるものだった。

古川鐵治郎は、事業経営のかたわら、1926年(昭和元年)に社会事業団体として「私立芙蓉会」を設けて社会事業にも取り組んだが、古川没後の1941年(昭和16年)に、この会は財団法人芙蓉会となった。古川の財団も伊藤忠兵衛や田附政治郎などの財団と同様に今なお、地元貢献活動を続けている。

 尚、2009年(平成21年)春頃より放映された深夜アニメ『けいおん!』(京都アニメーション制作)に登場する架空の高校がこの校舎と酷似しており、モデルと認知されていることから、いわゆる「聖地巡礼」として訪れるファンも多い。

また、地元商工会も町おこしを目的として同年6月に「けいおんでまちおこし実行委員会」を設け、旧校舎内にて「けいおん!カフェ」の開業や、ライブの開催を実行している。旧校舎内の音楽室にはファンが持ち寄った「けいおん!」関連のグッズや楽器が多数展示されている。

豊郷小学校旧校舎群」については以下の「ウオーキング三昧」ブログで紹介している。
https://blog.goo.ne.jp/ntt00012/d/20181226

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