”スローライフ滋賀” 

2022年 聖徳太子薨去1400年 聖徳太子の門前町 「東近江」 にぎわい創出へ

↑写真:滋賀報知新聞より

 「和(わ)を以(もっ)て貴(とうと)しとなす」(議論を深め合い、仲良く争わないことが最良)と、現代社会にも通じる教えを残した聖徳太子
2022年は聖徳太子薨去(こうきょ=逝去)1400年を迎え、ゆかりのある地ではその歴史文化資源を生かした観光振興が活発化している。

 ここ滋賀県もその一つ。昨年10月、その中でも聖徳太子の伝承が高密度に残る東近江地域の2市2町(東近江市、近江八幡市、竜王町、日野町)とゆかりの寺社、商工会らが手を組み、その魅力を発信する「聖徳太子1400年悠久の近江魅力再発見委員会」(委員長・小椋正清東近江市長、副委員長・岡村遍導観音正寺住職)を発足させた。
併せて発行された「聖徳太子の文化観光資源調査報告書」(東近江観光振興協議会発行)によると、滋賀県内には聖徳太子開基の寺院や聖徳太子作の仏像とされる伝承や地名など、太子に関する歴史文化遺産が200を超えるとされ、東近江エリアが全体の半数を占めている
 
なぜそこまでこの地に集中しているのか
 太子を神格化する信仰が各地で広まったほか、最澄が太子の生まれ変わりとされたこと、天台系の山寺が多かったこと、太子と交流があった渡来人の活動の痕跡が濃厚に残ることなどがあげられている。

 史実に基づく事績の発信が重要ではない。委員会は近江独自の文化的資源として全国に発信する「日本で一番聖徳太子と親しい地域」を掲げ、誇れる地域づくりの寄与も視野に入れた持続ある観光振興に拍車をかけていく。
 同委員会の準備会幹事長を務めたNPO法人歴史資源開発機構の大沼芳幸さんは「奈良や大阪の聖徳太子が『史実の聖徳太子であるとするならば、近江の聖徳太子は近江の人の求めに感応して降臨した『近江の事実的聖徳太子
近江の文化そのもの」と解く。「東近江、近江全体が聖徳太子の門前町となって、楽しいにぎわいを創出する世界へ」と展望を語る。
 
 報告書をもとに各市町の聖徳太子ゆかりの地をみると、地域文化に根付いた近江特有の太子信仰の姿が見えてくる。伝説には諸説あるがそのいくつかは以下の通り。

■東近江市
瓦屋寺や太郎坊宮・阿賀神社、百済寺など有名なゆかりの地があるが、一つに「御澤神社」(上平木町)がある。
東近江市は、きぬがさ山や箕作山といった独立丘陵が多く、鈴鹿山地をはじめ、田畑を潤す水を生み出す自然の神を祀る聖地でもあった。
そして最澄が天台宗を開き近江に広めたと同時にこれらの聖地に寺院が建立され、太子信仰を迎えたため関係が深まったと同書は指南する。
「御澤神社」は、湧水を神として祀る自然信仰。昔、荒れ地であったこの地を太子が憐れんで、蘇我馬子に命じて池を掘らせたと伝わり、いまでも境内には湧水と白く濁る白水池があり、太子の像も建立されている。後に池には三和姫といわれる美女姫が宿る。 

■近江八幡市
観音正寺はじめ願成就寺や教林坊などがある。
箕作山南部にある岩戸山十三仏(安土町内野)は太子開基の霊場と言われ、麓を通りかかった太子が山上の金色の光を発する岩を見つけ、登拝すると岩上に十三仏が現れたという。その姿を岩に刻もうと思ったが道具がなく、自身の爪で不動明王や釈迦如来などを岩に刻んだのが十三仏。
近くには太子の像も建立されているほか、長い参道には多くの石仏などが安置され、また、岩や樹木紅白の布で荘厳(そうごん)し、神として祀る自然信仰などが密集している。

竜王町
龍王寺(川守)と苗村神社(綾戸)があげられる。
太子と直接的には関係ないが、御澤神社の三和姫を介して興味深い資源性が生まれてくる。龍王寺の薬師如来のもとで療養する小野時兼のもとに三和姫が現れ、後に二人は子供を授かる。しかし三和姫は御澤の池の主であることを告げ、二人は別れることになる。姫は御澤神社の主の大蛇の化身だった。時兼の子孫は小野氏として竜王の地に根を下ろし、苗村神社の宮司を務めて司っているとされる。龍王寺境内にある竜神池は御澤神社の白水池とつながっていると伝えられ、互いに白く濁っている。太子を介してめぐり逢いの聖地として資源性を持っている。

■日野町
太子建立の48精舎の一つ、金剛定寺(中山)がある。
太子の妃が産気づいた時につくられたといわれる国重要文化財の本尊十一面観音をはじめ平安時代の木造聖観音立像・木造不動明王及童子立像など文化価値の高い仏像が安置されている。また、境内には太子堂が建立され、華麗な聖徳太子像も祀られている。

<滋賀報知新聞より>
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