バロックリュートでバッハ

バロックリュート、ギター合奏、旅行などの趣味の記録

ベルリンフィルの高松コンサートを聴いて

2023年11月23日 | 日記

 キリル・ペトレンコがベルリンフィルの首席指揮者に就任したのは2019年。
それ以前は、ヘルベルト・フォン・カラヤン(1955年-1989)、クラウディオ・アバド(1990-2002 )、サイモン・ラトル(2002-2018)
 カラヤンは34年間も務め近代のベルリンフィルに大きな影響を与えたことは誰もが認めるところだろう。その後、アバド、ラトルが10年強づつ務めたがカラヤンやそれ以前の巨匠に比べカリスマ性に欠け印象が薄い。

 キリル・ペトレンコは久々に登場した期待の指揮者だ。就任前ベルリンフィルの定期演奏会を指揮した回数も少なく何故選ばれたのか不思議だった。しかしながら、就任後の定期演奏会をベルリンフィルのデジタルアーカイブで視聴してみるとその理由がよく分かった。更に今回の演奏会でそれが確信に変わった。

 今回は音響的なベストポジションよりは少し前に席を取った。(写真はそこで撮影)指揮者の表情や顔を知っている演奏者の様子を見るためもある。

 最初の曲はモーツァルトの交響曲第29番。短いがチャーミングで素晴らしい曲だ。管楽器はオーボエとホルンが2本づつで弦楽合奏曲のような雰囲気の聴きやすい曲。今回の演奏は弦楽の4パートが対等に主張してその掛け合いが絶妙。昔の第1ヴァイオリンあるいはメロディを強調するような演奏とは異なる。最近の新進気鋭の指揮者はこのような傾向がある気もするが。
 
 ベルリンフィルとキリル・ペトレンコはこの演奏会に先立ってベルリンフィルハーモニーホールで11月3日に全く同じ曲目の定期演奏会を行っている。その様子はベルリンフィルのデジタルアーカイブで視聴できる。
 その映像を注意深く見ると色々なことがわかる。音はJBL4343にスーパーウーファーを加えたシステムで聴いた。比較の為にいつもよりも大きな音で聴いてみるが少しもうるささは感じない。金属的な音になりやすいモーツァルトの曲のヴァイオリンの音も素晴らしい。全体的に音色は会場で聴いたのにかなり近い。これはデジタルアーカイブがCD程音を加工していないこと(CDは小さい装置でも聴きやすいように加工をしている)と最近の録音、配信のレベルが向上したことも大きいと思う。

 それでは会場で聴いた音の何%位、家で再現できるのか。音自体は85%行くだろうが、やはり定位やダイナミックレンジの再現は60%程度。総合して75%。
 通常はかなりのシステムで再生するにしろソース側の事情で60%も行けばいい所だろう。CDでの再生も似たようなものだろう。家で90%以上再現できるのであればコンサートに行く必要性は低くなる。家で聴くのはコンサートで聴くのとは全く次元の違う別物という割り切りが必要だろう。

楽器配置について
 カラヤン時代は、弦楽器は時計回りに、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスとなっている。他のオーケストラも同じ配置が多かったように記憶している。

 最近は傾向がかなり変わってきているようだ。今回のベルリンフィルの配置は、第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンの後ろにコントラバス。
 指揮者によって配置が換わるのか?と思ってベルリンフィルのデジタルアーカイブでキリル・ペトレンコの2023年度開幕演奏会の映像を見てみた。第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、ヴィオラの後ろにコントラバス。キリル・ペトレンコは異なる配置を使い分けているようだ。

 モーツァルトの交響曲第29番のように掛け合いの効果を出そうとすると、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが離れていたほうがいいだろうし、チェロが右目に行くのならコントラバスがその近くに行くのも頷ける。
(楽器配置については奥が深くこれ以上はここでは書かないでおく。)
 
 今回、コンサートに行く意味をはっきりと認識することが出来た。それと家で音楽を再生して楽しむ場合の限界と割り切り方、どうすればより楽しめるかを学んだ。
他にベルクとブラームスの交響曲第4番が演奏され素晴らしかったが長くなりすぎたのでここでは割愛する。

ベルリンフィル鑑賞と高松、小豆島観光

2023年11月19日 | 旅行

 11月14日にベルリンフィル2023年日本公演の最初の演奏会が高松で開催された。
前回ベルリンフィルを聴いたのは、コロナ前の2019年大阪フェスティバルホール(メータ指揮)。
今回は常任指揮者キリルペトレンコの初来日ということで非常に期待して聴きに行った。
演奏についての感想などはまた後日に。

 演奏に先立って半日時間があったので、演奏会場に隣接している高松城址を訪ねた。
(実際は、高松城の敷地内にコンサートホールが造られているのだが。)
瀬戸内海に接した立地ということで堀には海水が入ってきており、真鯛や黒鯛等が泳いでいた。

 2日目は屋島麓の四国村に行った後、フェリーで1時間の小豆島へ渡った。
小豆島は初めてだったがエンジェルロードという観光地がありそのすぐ前のホテルに宿泊した。
部屋は7階でがエンジェルロードに最も近い部屋だった。

ネットの予測では15時46分に島と陸続きになる筈だが何時まで経っても水が引かず渡れない。
多くの人が長い時間待っているのを部屋から見ていたが17時頃日が沈みそうになってきたので下へ降りた。
20分位待って多少靴が濡れるのを覚悟して渡って帰ってきた。慎重な人が多く、帰る時でもまだ待機していた。。。


 3日目は定期観光バスで寒霞渓や二十四の瞳映画村などを観光した。
寒霞渓では頂上からロープウェイに乗り紅葉を見たが紅葉の色合いが鮮やかではない。少し早いのと暑い夏の影響か?


3日とも傘要らずいい天気でいい旅が出来た。

クラシック以外のBEST10

2023年10月10日 | CD


思い出に残る曲、感動させられた曲を選んでみた。(順不同)

*恋人たちのペイヴメント Alfee
 アルフィーはコンサートにも行ったことがある程好きなグループ。その中でもNo.1の曲。高見沢のハイトーンは美しく感動的。

*Suddenly オリビア・ニュートン・ジョン
 映画ザナドゥの中で歌われるデュエット曲。不思議な雰囲気のミュージカルラブストーリーだが今は無くなったレーザーディスクで見ていた。

*Belle(美女と野獣から) ブロードウェイミュージカル
 ブロードウェイで初めて見たミュージカルで、当時留学中の娘とNYCで落ち合って3人で見た。記憶に残っているのはヒロインの美しく伸びやかなソプラノ、想像以上にコンパクトな劇場内部。その後見たミュージカルは、同時多発テロ直後にまだ異臭の残るマンハッタンで再開されたばかりのマンマミーアでいろんな意味で感動的だった。

*負けないで ZARD
 聴いているとやはり頑張ろうという気にさせてくれる。謎に包まれたところの多かった歌手だがもう少し長く生きて欲しかった。。。

*津軽海峡冬景色 石川さゆり
 コンサートでは舞台装置も迫力があって、圧倒的な歌唱を盛り上げていた。去年、青森港で旧青函連絡船を見学し青函トンネルのない時代に乗船した昔を思い出した。津軽海峡冬景色の歌碑前で写真を撮ったのもいい思い出。

*神田川 かぐや姫
 自分の学生時代を思い出すような曲。下宿していたのは銀閣寺近くの京都北白川だったが昭和の雰囲気は同じ。学生運動の最盛期で京大の時計塔も占拠され卒業式も無し。構内を歩いていたら火炎瓶が飛んできたり、今では考えられない時代だった。

*贈る言葉 海援隊
 デビューして間もないころ神石高原の牧場でたまたま聴いた。舞台も無くて五十人位が聴いていたが牛達も聴き入っていた?

*シクラメンのかほり 布施明
 歌唱力、声量は誰もが認めるところだろう。中でも最高のヒット曲。

*青い瞳のエリス 安全地帯
 「ワインレッドの心」も良いけど一曲を選ぶとするとこの曲。
 
*五番街のマリー 高橋真梨子
 コンサートを聴きに行ったが、大きな舞台装置やバックバンド、踊りがあるわけではなく声だけで聴かせられる実力。



プレリュード BWV996をバロックリュートで弾く

2023年09月11日 | リュート
 BWV996はバッハがLautenwerckの為に作曲したもので色々な楽器用に編曲されている。
クラシックギター界ではリュート組曲第1番と呼ばれているがあまり適切とは言えないだろう。
ファクシミリは五線譜で書かれており、そのままTAB譜に書き直してもバロックリュートでは弾けないので演奏家の方々が編曲したTAB譜が出版されている。
クラシックギターで弾く場合は音域や弦の数の制約を受けるのでは編曲にはかなりの妥協が必要となる。

 この曲は単なるプレリュードとは異なり、後半はfughettaになっている。
このフゲッタ部をバロックリュートで弾くのが非常に難しく、今まで弾いてきた曲の中で最も技術的に困難であった。
もう少し速めのテンポで弾きたいところだが私にはこれが精一杯。

https://youtu.be/TS3niYt1duE

「(続)音と演奏の良いCD」 ヴァイオリン協奏曲編(7)

2023年08月10日 | CD


ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲

ヒラリー・ハーン オロスコ・エストラーダ(指揮) フランクフルト放送交響楽団
録音:2021年4月 フランクフルト、ヘッセン放送ゼンデザール セッション録音、1CD

 ヒラリー・ハーンは今まで良い録音に巡り会えてない印象がありヴァイオリンの音がきつく聴こえることが多かった。強めのタッチの力強い弾き方や使用している楽器が関係しているのかもしれないが、今回の録音はドイツグラモフォンらしいいぶし銀のおちついた音だ。
(話が逸れるが、「強めのタッチの力強い弾き方」と思われる神尾真由子の録音もきつく聴こえることが多かったが最新録音のバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタ、パルティータでは素晴らしい音だ。最新録音技術の勝利だろう。コンサートでチャイコフスキーの協奏曲を聴いた時の音が聴けた。)
 新進のエストラーダ率いるフランクフルト放送交響楽団の響きも好感が持てる音で聴くことができる。

 この曲では、ムターとベルリンフィルの録音もボヘミア風テーマの表現など感動的な演奏だが録音が少し古くなってしまった。


ベルリンフィルのチケットGET‼

2023年07月02日 | 日記

 コロナの影響で来日は4年ぶり。首席指揮者キリルペトレンコとは初の来日となる。
4年前は大阪フェスティバルホールでメータ指揮、ドン・キホーテと英雄を聴いた。
座席指定が出来ない販売だったので、S席にもかかわらず前のほうの端近くだった。
 今回は、高松公演に行くことにした。2泊3日の旅行も兼ねて。
演奏曲は2パターンあって私はモーツァルト交響曲29番とブラームス交響曲4番の方の高松を選んだ。
キリルペトレンコはカリスマ性のある指揮者だと思うが、首席に決まった当時モーツァルトのハフナーなどは超高速演奏であったが今はどうなのか楽しみだ。

 今日の10時から、ホール会員の先行予約がありそれに参戦した。あらかじめホール会員になって準備万端で臨んだ。
10時前にログインしておいて手早く空席を選択したが、2度も席が確保できませんでしたと出た。良い席は秒単位で売れていく。
3度目にまずまずの席を確保した。ここまでは数分。その後、チケットの受取方法や個人情報を入力していく。
最後にクレジットカード情報を入れるところでトラブル発生。認証のステップでエラーになってしまった。
10分以内に予約完了せねば確保した席は無効になってしまうので少し焦った。
もう一度カード情報入力を慎重に入れ直したら何とか通って10時8分無事予約完了。

 YahooカードがPayPayカードに変わってから時々エラーになることがあるので困る。
サイトによっては全く通らないので他の支払い方法にしたりしている。
海外のサイトだとPaypalが使えるところも多いので安全面も考慮してカードは使わないようにしているが国内ではしようがない。
 

青森、秋田旅行(2)

2023年05月03日 | 旅行
ハタハタ館から五能線、奥羽本線に乗って鷹巣へ。鷹巣から角館まで運行している秋田内陸鉄道に乗る。
観光路線として人気がある路線だ。カラフルな観光列車も走っている。


普通列車で阿仁マタギ駅に向かう。


送迎バス5分ほどで宿泊するマタギの湯に到着。


部屋からは昔懐かしい田舎の風景が。桜も少し咲いている。


次の日は秋田内陸鉄道で角館に向かい、武家屋敷を見学したり葉桜になった土手を歩く。
その後30分ほど送迎バスに乗って、夏瀬温泉都わすれという人気の宿に向かう。
周りには家も宿泊施設もないポツント宿で、乳頭温泉の妙の湯の名物女将が作ったホテル。
10室の客室にはかけ流しの露天風呂が付いている。


中庭は桜が見頃でゆったりと食後のコーヒーを頂いた。背後の山の新緑もパステル画のように奇麗だった。


チェックアウトは11時だったので少し散策して渓谷を見に行った。玉川温泉から流れてきているそうで水がコバルトブルー。


5泊6日の旅だったが観光したり親戚の人たちと歓談したり有意義な時間を過ごすことが出来た。



青森、秋田旅行(1)

2023年05月03日 | 旅行
ゴールデンウィーク直前に花見に出かけた。半年も前に予約をしていたので桜は葉桜になっていたのが多かったが。
今回は神戸空港から青森空港までFDAの小型機で行ったが快適でまた利用したいと思った。
片道が9千円で新幹線よりは安く速い。キャンセルや変更は難しいがメリットは大きかった。

青森駅には15時前についたので徒歩で青函連絡船八甲田丸見学に行き、そのすぐ前にある津軽海峡冬景色の歌碑へ。
センサーで自動的に曲が流れるのでしばし口ずさむ。


次に近くにある「ねぶたの家ワ-ラッセ」でねぶたなどを見学。
北村麻子さん2022年製作の「琉球開闢神話」と拡大写真



次の日は弘前城さくら祭りへ
弘前城は石垣を修理する際移動させて実施したがそれほどコンパクトな天守だ。
遠くには雪の残る岩木山を望むことが出来る。

岩木山はスカイラインとロープウェイで9合目まで行けて眺めも素晴らしいそうなのでまた訪ねてみたい。


次に奥羽本線と五能線であきた白神へ行き駅前の温泉宿ハタハタ館に宿泊した。
部屋からは快晴の青空の元、珍しく穏やかで島の見えない日本海の風景が印象的だった。


(続く)

ブーレ BWV1009を弾く

2023年04月23日 | リュート
 BWV1009全曲録音プロジェクトは、5曲目のブーレを録音した。
この曲は私にとって最も重要で思い出深い曲だ。最初に弾いたのはクラシックギターで大学時代、今から57年前。
当時は現在のようにネットでなんでも分かる時代とは違い、電気科の私には楽譜以外何の情報も無かった。
セゴビアの編曲を再編したと思われる楽譜を当時は何の疑問も持たずにそのまま弾いていたが解釈も運指も??
とにかく一生懸命練習して、京都会館第2ホールで開催された大学のギタークラブ定期演奏会で独奏した。
ところがここで一生忘れられない事件が;;;;
聴衆は千名近くいただろうがスポットライトを浴びていたので暗黒の空間で一人ぽつんと弾いている異様な感覚。
終盤に入ったところで止まってしまいやり直してもまた止まる。少し戻って弾き直して何とか最後まで。
アンケートに、「・・さんの演奏はバッハとは違う」とあり当時は意味が分からなかったが今になって納得。
バロックリュートに転向した今もあの時の事は鮮明に思い出すし、大きな糧になっていると思う。
 当時よりは勉強したつもりだがやはりバッハもバロックリュートも難しい。

https://youtu.be/zMZEIIDh8zU

ジーグ BWV1009を弾く

2023年04月07日 | リュート
BWV1009全曲録音プロジェクトは少し間が空いたが、第4弾は第6曲のGigueを録音した。
この曲はクラシックギターでは録音したことがあるがバロックリュートでは何故か初めて。
リュートで弾くほうが楽な曲も結構あるのだが、この曲はギターのほうが楽だったと思う。

https://youtu.be/WRMwzTVf2PE

Nigel North氏のバッハ新録音を聴く BACH ON THE LUTE 5-6

2023年03月31日 | リュート

4月21日のCDリリースに先立って演奏を聴くことが出来た。

以下、「前作」は「BACH ON THE LUTE 1-4(1993-1996)」を、「今回」は「BACH ON THE LUTE 5-6(2022)」を指す。この間30年近くの歳月が経過している。

CD収録曲
 前作は、無伴奏チェロ組曲(BWV1007-1012)と無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータ(BWV1001-1006)のリュート版
 今回は、Bachのリュート作品とされているBWV995,996,997,998,999,1000,1006a 他

楽器について
 前作が、Thomas Neitzert 1986のジャーマンテオルボ、今回は、Lars Jönssonのバスライダータイプ。
 弦は写真から推測すると、前作では、高音がナイロン、フロロカーボン、低音は巻弦という当時主流の弦と思われる。
 今回は、高音はAquila社のナイルガット弦、低音もAquila社のCD弦と思われる。

音色について
 前作では低音弦が巻弦だったので残響時間が長いが、今回はCD弦なのでガット弦に近い自然な感じの低音が聴ける。
 今回は高音についてもナイルガット主体と思われガット弦に近い音が聴ける。

演奏について
 予想に違わず素晴らしいもので従来からの巧みなテンポの揺らぎによる繊細な表現が健在。
 前作では若干派手と思われるアーティキュレーションで、聴けばNigelの演奏とすぐ分かった。
 今回は円熟味を加えてこれぞBACHという域に。逆に誰の演奏かは聴いただけでは分からなくなった。

テンポについて
 同等の曲であるBWV1000,BWV995,BWV1006aの13曲について演奏時間をもとにテンポを比較してみた。
 (BWV1000はBWV1001のFugueよりも2小節多いが、無視できる程度)
 BWV995のSarabandeとBWV1006aのLoure以外は、以前の演奏に比べてテンポが0.8~0.93倍と遅くなっている。
 Sarabandeはベルリンの壁が崩壊した時にロストロポーヴィチが弾いた曲だが少し速くなっている。Loureは同テンポ。

 前作の演奏は結構速くそれが非常に刺激的で大きな魅力にもなっていた。
 今回の演奏は自然なテンポで気持ちよく聴くことが出来る。
 指揮者の場合でもよくある傾向だが年齢を重ねて円熟の境地に至りじっくりと聴かせるべくテンポも遅めでと。

録音について
 今回は、最新の機器と技術で行われたと思われ非常にクリアだがマイルドさも感じる優秀なもの。
 楽器の大きさや距離感も好ましく表現されている。

 私はBWV1001-1006やBWV1007-1012のトランスクリプションが好きでBWV995-1006aはあまり弾いてなかった。しかしながら今回の演奏を聴いて少し勉強してみようかという気になった。


サラバンド BWV1009を弾く

2023年02月26日 | リュート
BWV1009全曲録音プロジェクトだが、第3弾は第4曲のSarabandeを録音した。
まだ音楽部屋は寒くて指が速く動きにくいのでゆっくりした曲を先にもってきた次第。
残りは3曲は、クーラント、ブーレ、ジーグという速い曲ばかりになってしまったが。。

https://youtu.be/ICTWwaAGIbc

「(続)音と演奏の良いCD」 管弦楽曲(1)

2023年02月23日 | CD

J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲

ベルリン古楽アカデミー
録音:2021年3月、5月  ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音、2CD

 今までは、「フライブルク・バロック・オーケストラ」版と「鈴木雅明 BCJ 2008」版を双璧としていた。
最近更に素晴らしい録音、演奏を聴かせてくれるCDが出現した。

 この録音にはヴァイオリンにイザベル・ファウストが参加している。この組合せではJ.S.バッハのヴァイオリン協奏曲集も出していて気心の知れた仲だろう。ファウストが入ったことでの相乗効果は大きなものだ。ファウストはメイン楽器であるストラディバリウス(スリーピング・ビューティ)ではなくヤコブス・シュタイナーを使用している。ベートーベンの協奏曲などは前者で弾いていて使い分けているようだ。

 録音は有名なベルリンのイエス・キリスト教会で行われているが、ここはカラヤン、ベルリンフィルの録音他、数多くの著名なオケ、演奏家が演奏している。教会は一般的に残響時間が長いのでオーケストラ録音では解像度が落ちたりする場合がある。しかしながら、今回の小編成の録音では素晴らしい解像度と聴きやすい音を捉えている。バッハのヴァイオリン協奏曲集はスタジオ録音だがそれを上回る出来栄えになっている。

 第1番と2番は管楽器が活躍するが私は好みの第3番から聴き始める。時折聴かせるファウストのソロの素晴らしさに加えて中低音弦楽器の絶妙な絡みを最新技術で録音している。周波数帯域の広い録音が爽やかな音場を形成して聴く者を引き付けて離さない。

Nigel North 氏のBACH新録音

2023年01月23日 | リュート


 「BACH ON THE LUTE」という4CDが1990年台に出されている。無伴奏ヴァイオリンソナタ/パルティータ(BWV1001-1006)と無伴奏チェロ組曲(BWV1007-1012)をバロックリュートにトランスクリプションしたものである。
私はクラシックギターでバッハを弾いていた頃から現在までこれらのCDは数えきれないほど聴いてきたものだ。

 今回、「Volumes 5&6 of BACH ON THE LUTE」と位置付けて2CDを出すそうだ。
Complete Lute Works (BWV 995,996,997, 998,999,1000, 1006a)と何曲かのおまけ付き。
録音は昨年7月に終了していてこの3月にリリースの予定。

 今回が氏の最後の録音になるかもしれないとの事だが、費用を賄うためのクラウドファンディングが行われている。
私も僅かばかりの寄付をしたが、これは氏への今までの感謝の気持ちともう一つ。。
100ドル以上の場合、「a Bach on the Lute tablature edition of the Lute Works. (Le Luth Dore, 2022).」という一節に目が眩んだということで。
 バロックリュートを始めて以降、氏の演奏したTAB譜が喉から手が出るほど欲しかったが、出版予定は公表されていたものの出なかった。私も最期のバッハ録音を始めたところなので3月が待ちきれないところだ。





プレリュード BWV1009を弾く

2023年01月20日 | リュート
 新年から始めたBWV1009全曲録音プロジェクトだが、正月のAllemandeに続いて第1曲のPreludeを録音した。
Allemandeと順番が逆になったが、順に聴いてみると自然につながって聴こえたのでまあ良いかな。。

https://youtu.be/jW-yoTlYPM0

 プレリュードは9年前に録音していたが、今聞き直してみると隔世の感がある。
低音が巻弦だったので残響が長すぎて聴きずらいが今よりずっと速いテンポで弾いていた。やはり当時のほうが指が良く動いていたのだろう。もう一つは、当時メトロノームのように一定のテンポで弾いていたから速い。
 今は、最初はメトロノームで弾けるまで練習し、その後は自分のアーティキュレーション、フレージングで練習を重ねるだけ。

 でも今でもよく分からないのが、弾いている時に聴いている演奏と録音したものを聴いてみた時のギャップの大きいこと。
 強弱やテンポの変化を付けたつもりでもその何分の一しか付いてない。非常に速く弾いているつもりでも聴いてみるとゆっくりとか・・ (プロの演奏ではゆったり弾いているようでも演奏時間は予想よりずっと短い)
音楽とはなんと奥深く不可解なものだろうか。