バロックリュートでバッハ

バロックリュート、ギター合奏、旅行などの趣味の記録

クーラント BWV1009を弾く。

2021年04月27日 | リュート
以前の録音は巻弦だったので、今回ガット弦で録音し直した。
BWV1009は無伴奏チェロ組曲第3番で、プレリュード、アルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレ、ジーグから成る。
クラシックギターを弾いていた時代から第3番は最も好きな組曲だ。

J.S.Bach : Courante BWV1009

ガット弦を使用しての感想(各種弦の比較演奏)

2021年04月13日 | リュート


楽器遍歴
 ルネッサンスリュートを売ってバロックリュートを最初に購入したのは、2008年で約12年前。その時代は、当然のようにナイロン弦+フロロカーボン弦+Pyramid巻弦を張っていた。フロロカーボン弦は釣り糸を使っていたこともあり大量に仕入れたものだ。その後、中古のスワンネック、新作のバスライダーを入手、そしてそれらをすべて売って2011年にスワンネックと2013年にバスライダーを新作してもらい現在に至っている。

CD弦
 2016年12月頃AquilaからNew Nylgut® Strings loaded (CD type)が新発売された。
低音弦として色々とテストした結果、6~13コースのバス弦として張ることにした。このオクターブ弦と2~5コースにはナイルガットを、1コースは従来どおりナイロンを使用する。
 新製品のCDタイプは赤い色(こげ茶色もある)が印象的だが使用していると弾く部分が黒ずんでくるのであまりいい感じではない。
 音はガット弦に似ているようだが微妙にモダンな音にも思える。クリアで癖がないともいえようか。余韻も適度で期待通り。温度や湿度によるピッチの変化もそれほどではないので調弦も楽だ。
初期ロットは張ってすぐとか半月後とかで切れるものがあり、累計10数本が切れたが現在は収まっているようだ。

ガット弦(Aquila type HU)
 バスライダーもスワンネックも、NNG弦+CD弦にして大きな不満はなく使用していたが、AquilaのUnsplit lamb gut strings type HUというガット弦が出たという事を知り、2019年8月にスワンネックに張ってテストを始めた。
 1~3コースの音の印象は1本ずつ比較したらNNG弦と極端に変わらないように聞こえ、強いて言えばかすれたような味わいがガットらしいと思えた。逆にいえばNNG弦の出来がかなり良いと言えるのではないか。1コースは10日で切れていたので以後、ナイロン弦に戻すことに。2コースも2カ月くらいで切れたのでNNG弦に戻した。その後、低音弦までテストを進め、スワンネックは3コース以下をガット弦で行くことに決めた。
 勿論、ガット弦の欠点は有って温度、湿度の変化でピッチが変わり調弦が大変とか、価格が高いとかだが、それを補って余りある音の魅力が感じられた。

 中音部の音の印象はNNG弦、CD弦とはかなり違っていた。余韻が少なく音のかすれ感が大きい。私の楽器はテンションが低めに設定してあるので今までよりもブリッジ寄りで弾くようになる。最初は、違和感があったが日が経つにつれ弦が楽器になじんできて音のつながりが出てきた。

 ガット弦の温度や湿度によるピッチの変化には驚く。NNG弦、CD弦だと1年もたつと調弦も微調整で済む。夏だと2階にある音楽室は35度位になり28度位に下げるとガット弦は半音から一音程度下がる。朝ケースを開けると逆のことが起きている、という事で調弦には従来の何倍も時間を費やす必要がありそうだ。
 実際に曲を弾いてみるとこれがガットの音か、という満足感が得られる。高音は1本づつ比較するとNNG弦に近い音がする。中音はかすれ感が強く、低音は残響が少ない。
 曲を弾く場合複数の弦を同時に弾くので高音、中音、低音が複雑に絡んで実に気持ちが良く、バッハを弾いているという喜びが大きい。1,2コースがガット弦でなくても他の弦が一緒に鳴れば割に目立たないものだ。
 オクターブ弦はNNG弦でも大差ないだろうと予想していたが、ガット弦は出しゃばらない響きが非常に好ましく感じる。

ガット弦(Gamut)
 同年の10月、佐藤豊彦先生のセミナーがあった時に、Gamutのガット弦を推奨されたのでAquilaの評価が終わらないうちにGamutに張り替えた。細めの高音弦やオクターブ弦はプレーンガットなのでVarnishオプションを選択した。5コース以下の太い弦はPistoy弦で特徴はメーカーサイトに書かれている通りと感じた。
 「This is a standard length, (120cm), Pistoy gut, double twist string. It is useful for those lute players who wish to use a plain beef gut string with a very flexible feel and response resulting in a warm, full tone with the maximum sustain that a gut string can offer.」
 Gamutガット弦はAquila HU弦と比較すると、プレーンガットは大きな差は感じなかったがPistoy弦は柔らかくささくれも出にくいようだ。欠点は価格が高いことで一式だとAquila HU弦の約2倍の9万円近く(送料込)掛かった。例年、11月下旬に「Black Friday Sale 20%Less」があるのでその時買うようにしている。
 Gamutガット弦とAquila HU弦は響きが違うが、十分な比較時間がなかったので言葉で表現するのは難しいが、以下で多少比較出来ると思います。

弦の種類による響きの違い(演奏例)
 小生の下手な演奏ですが響きの違いは分かると思いますので興味のある方はどうぞ。
① フロロカーボン+巻弦(1コースのみナイロン) 
 https://youtu.be/jGy_39BO9h0 Allemande BWV1009
② NNG弦+CD弦(1コースのみナイロン)
 https://youtu.be/W6aJHfeMD2Y Fuga BWV1001
③ Aquila HUガット弦(1コースのみナイロン)
 https://youtu.be/f8qmKrt-LtI Fuga BWV998
④ Gamut ガット弦(1コースナイロン、2コースNNG)
 https://youtu.be/bI9atTCfELA Chaconne BWV 1004 (Part1)
  
まとめ
 バロックリュートの弦として、一般的に使いやすいのはNNG弦+CD弦であろう。温度や湿度の変化によるピッチの変化が少なく調弦も楽、耐久性もあり入手も比較的簡単で価格もまずまず。また、音もかなりガット弦に近く安定している。
 それでガット弦の出番はあるのか? 音色以外の項目については全てCD弦が優れている。音色はどうかというと、これは優劣ではなく好みと考え方の問題だ。
 それは、平均律クラヴィア曲集をチェンバロで聴きたいかピアノで聴きたいか、あるいはベートーヴェンのピアノ協奏曲をピアノで聴きたいかフォルテピアノで聴きたいか、という事に似ている。作曲された当時の楽器で聴きたい、あるいは機能的に優れた現代の楽器で聴きたいか?
 私は、前者はチェンバロで、後者はピアノで聴いている。好みで必ずしも古楽器に拘ってないのだろう。

 話を弦に戻して、私はガット弦の音色でバッハを弾きたいと思う。ガット弦に不完全な美を感じるからだ。ガット弦を、様々な困難を乗り越えてでもずっと使っていきたいと思う。
 そうはいっても、練習の時すぐに練習に取り掛かれるCD弦は捨てがたい。そこで現在は、1台にはガット弦を張り、もう1台にはCD弦を張って運用するのがベストと思ってやっている。ガット弦のみでの運用は難しいので1台だとCD弦を選択せざるを得なかっただろう。


JBLスピーカーの周波数特性測定

2021年04月05日 | 日記
リュート弦の特性を測定したついでに、所有するスピーカーの測定を行ってみた。

測定は、以下の機器で実施。
RODE / NT5コンデンサーマイク、TACAM/USBオーディオインターフェースUS-366              
スペクトラム特性は、高速リアルタイム スペクトラムアナライザー「WaveSpectra」
Sweep波形は、20-40000Hz linear-sweep 24bit-384kHz-sampling

マイクは通常の聴く位置に近いスピーカーから2.5mの場所に置いた。
グラフの緑色の線は測定機器の残留ノイズや環境ノイズ。薄ピンク色がスピーカー再生音。

まずは4ウェイ・メインシステムのJBL4343を測定した。

メーカー仕様の周波数測定データは、各スピーカーユニットの近くで測定しているので理想的なカーブになっているが、実際に部屋に入れて聴取位置で測定すると部屋の癖が加わるのでメーカーのグラフのようにはいかない。
しかしながら、40年以上使用しているにしては良好な周波数特性ではないだろうか。部屋の大きな癖も無いようだ。
低音が150Hz辺りからダラダラと下がっているが、38cmウーファーを搭載していてもやはりスーパーウーファーが必要なことが分かる。
これはスーパーウーファー無しのグラフだが、有りで測定する方法がすぐには分からずそれは測定していない。

次に、サブのJBL4307を測定した。

小さい3ウェイスピーカーでウーファーは25cmなので低音は300Hz位からだらだらと下がっていく。
ちなみに価格は時代が違うので比較しにくいがJBL4343の8分の1程度。

次にJBL4307にスーパーウーファーを追加した時の測定をした。

スーパーウーファーのレベルを強めにしたので100Hz以下が盛り上がっているのが分かる。
周波数特性だけを比較するとJBL4343と大きな差は認められないがやはり様々な要素があってそれらが音全体の質を決定するのだろう。