206第24話セクション33A2D17
ミーターの大冒険
第九部
エピローグ
第24話
セクション33A2D17
あらすじ
ミーターたちはハニスとの再会を期待してイフニアに向かうべく、ファー・スター2世号のあるダリバウのイケアに戻った。
その時、イルミナからハニスの拘束の事実を知らされる。
あとから駆けつけて来たアンセルム・ロドリックとともにイフニアに行くこととなり、アンセルムから意外な展望を聞かされる。
ダリバウからイフニアに行く途中、ファー・スター2世号の前に、12000年に一回というダリバウの太陽とダリバウの衛星ルエリスとの皆既日食が現れる。この現象は、ミーター一行に何の暗示になるだろうか?
アンセルムは、アルカディア・ダレルの小説を読んでいるペイリー・リャンにペイリーの父ダニールの歴史を、厳かに、そして優しく語る。ルエリスの名前の由来を。
漂泊のシンナックス人は今や地球から見た場合の星座レチクル座付近の奥の大マゼラン銀河にさらなる次のターゲットを決めて、このダリバウやイフニアから出て行ったことをペイリーとアンセルムは同時に了解した。
ミーターたちは、ハニスが投獄されているはずだったイフニアについた。
ハニスは無事だった。その時点までにアンセルムが、イフニア政府をコンロールして、政府トップと内務省にまで浸透工作に成功させていたからであった。
ただターミナス政府は、その偽装イフニア政府の実態にはまだ気がついていなかった。
ファウンデーション連合では、既にサイレント革命(ペイリー・リャンがヤマブキ色のハンカチをミーターに捧げたのをきっかけとして、『ヤマブキ革命と言われる』)が徐々に進んでいった。
それでも一つの危機的状況は依然として残った。
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ハニス ミーター君、かつてアルカディア家の全財産で、オリンサスさんが帝国辞典編纂図書館の全図書のバーチャル化を成し遂げたことはよく知ってることだね。
そのバーチャル化によって、全銀河の主要全域にある有力惑星の図書館と連繋でき、ファー・スター2世号とも連結している。
その事実に今やブラノらは、気がつき始めたんだ。その取っ掛かりとして、今では『銀河百科辞典』は、人間は一切手をつけていなくなった。今はすべて、コンピューターがそのアルゴリズムを使ってつくってる。
実に嘆かわしい。
今や、百科辞典第1ファウンデーション委員会、理事会など存在していなくなった。
これでは、ファウンデーション本来の存在意味が根底からくつがえすされてしまう。
そして、ブラノらは、今度はオリンサスさんが改造したバーチャル機能化を破壊しようとしている。
旧態依然に戻すというならまだしも、コデルら執行部は、図書館それ自体の存在をも否定してきた。
そして、ターミナス内部の反対派に譲歩するような素振りを見せて、普通選挙と政党政治を復活させ、銀河内のファウンデーション連合の各主要惑星からも代表議員を送り込む法案を可決させた。結局、彼らの魂胆は、うまく反体制派を丸め込むという企みだ。
ミーター 彼らは、自分たちが結局、成功すると信じているのでしょうかねぇ!
そこまで政権にしがみつきたいのですかねぇ!
ハニス ミーター君、人間の権力志向も一種の混沌、頽廃であって、人間の性(さが)というものなんだ。彼らの目指す方向は、ターミナスがあくまでも銀河の経済ばかりでなく、政治、文化、誇りの中心であり続ける、という凝り固まった利己主義と言わなければならない。
私はヘンダーにターミナス政府の動向を監視して、その都度、報告してくれるように言ってる。
実は、かのジム・ヘンダーがアルカディア農園の管理人として執務するように提案くださったのも、こちらのアンセルム・ロドリック卿だ。
ヘンダーは、優秀で、そつなくターミナス政府とうまく付き合っている。
ミーター ところで、イルミナが危ないというのは?
ハニス ミーター君、今現在、残念だが、あの歴史的、威厳を誇る帝国辞典編纂図書館の建物は、跡形もなく消滅している。
しかし、その機能はかろうじて生きている。地下のコントロールはまだ破壊されていない。ヘンダーの報告によると、それも時間の問題らしい。
コデルらは、そのコントローラーの存在に気がついた。
コントローラーを破壊するためには、二重ロックを解除する必要がある。
そして彼らは、ついこの間、二重ロック解除のキーワードの一つに気がついた。
残るは、もう1つだけ。
ミーター 二重ロックですか?
一つ目のキーワードとは?
ハニス キーワードとは、パスワードのことだ。この銀河広しと言えども、そのパスワードを知っている人間は極めて少数なはずだ。
ミーター 何ですか、その一つ目のパスワードとは?
ハニス 『セクション33A2D17 』。
https://youtu.be/anyr5oYnIPg
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