31第6話香りの谷のアルカディア
ファウンデーションの夢
第五部
Tee Tree
第6話
香りの谷のアルカディア
物語の大枠
第一部 ダニールの地球探索
第二部 ガイア
第三部 ウォンダとガールの地球探索
第四部 嵐の気配
第五部 Tee Tree
第六部 ベイタ・ダレル
第七部 アルカディア・ダレル
第八部 アルカディアの遺言
第四部「Tee Tree 」の大枠
26 第1話 Tee Tree
27 第2話 本当の商人は錬金術師
28 第3話 もう一人のドース
29 第4話 私の彼は宇宙飛行士だった
30 第5話 Hukushima
31 第6話 香りの谷のアルカディア
32 第7話 三人のジータ
33 第8話 第2ファウンデーション
あらすじ
ダニール・オリヴォーの地球探索は、もうひとつの銀河復興の秘策を探るこころみでもあった。
それとハリ・セルダンの「心理歴史学」の完成とそれへの新たな工夫を見いだすべく、シンナックスにいた若き証古学者、ガール・ドーニックをハリ・セルダンの後継者として仕立てる目的もあった。
ガールがトランターに到着したやさき、セルダンの裁判に彼自身も巻き込まれ、彼は窮地に陥るのであったが、それはセルダンとダニールが巧妙に仕組んだ大計画のはじまりであったことを知る。
ガールは、ターミナスへの51番目の執行部員の役を仰せつかったが、実質ナンバーワンの大役であった。
ガールがターミナス渡航の準備をしている時、またしてもセルダンからの新任務が課せられた。
ガールは、催眠術に懸けられていたのだろう、気がつけば見知らぬ航宙船のなかにいる自分に気がついた。見上げれば、容姿端麗な女性が立っていた。
そして親しげにガールに話しかけてくる。
無事に任務が完了した。放射能防御シールドのカーテンに護られ、二人は荒涼とした地球の大地を踏みしめた。ガールは朧気ながらに地球の光景を眺め、また遊んで走り回るウォンダを目を円くして眺めていただけであった。もう一つの使命など忘れていたように。
再生の命というものなのであろうか!
ウォンダが汲んだ水は三つに分けられ、それぞれ透明、紫、黄色のシリンダー・ペンダントに入れられ、そのうち紫のシリンダーはターミナスに避難した彼女の妹ベリスに渡してくれるようにウォンダがガールに頼んだ。
それから100年が過ぎ、銀河帝国はハリ・セルダンの予測通り、随処に綻びが生じ、衰退の兆候が現れ始める。ファウンデーションは、最初、ファウンデーションの名が示すように名目上、トランターによる銀河帝国の辞書編纂図書館設立財団として、ひっそりとその役目を果たしていたが、ターミナスが所属するアナクレオン星区の独立運動が勃発するやいなや、ターミナスは一気にアナクレオン星区を制圧下においてしまう。
その立役者がサルヴァー・ハーディンであった。
そのサルヴァー・ハーディンの活躍の後、ファウンデーションの勢力は強固になり、トランター帝国と正面からぶつかることとなる。圧倒的な勝利の後、ファウンデーションが全銀河の主役の地位を得る。
グレディアは、ハーディンの家からドーニック家に養子として移る。
彼女の卓越した能力はラヴェンダー農園にティーツリーを植えたことから、衰亡に移行する銀河の次の担い手になった。そのグレディアの娘アルカディア(後のミーターの主人アルカディアとは別人)に敬意を払い、親交の絆を絶やさなかった貿易商人がいた。彼の名は、ポニェッツ。後にミーターの地球復興の大事業に連なる基礎になる活躍をすることとなる。
その後、アルカディアとその娘アルシアは、ターミナスな人口の過剰問題を慮って、スミルナに移住する。そこで世話になったのが、馬の首暗黒星団付近のネフェロス星の最高貴族の血脈をもつバイロン・ファレルであって、当時、サマーセックの独裁政権に大して反対派の運動員をしていた。
バイロンは、アルシアを妻に迎え、サマーセック政権を倒し、スミルナをファウンデーション連盟の一員にさせた。その後は歴史学者として、先祖がネフェロス星から携えて来たと思われる『ジョン・ナックの歴史思想書』という文献を再発見して、その解読に専念する。
アルシアは娘が授かる。彼女は母の名前をつける。また不思議にも母娘は『児童のための知識の書』なる本を見つける。
「断捨離」の意味は、後のアルカディアと彼女の友人であり、ロボットであるミーターによって、詳しく明らかになる。読者の皆さんのため、ちょっとだけサービスさせて頂きますと、人類の生存には、既存の財産を最小限にして、次の段階に進めるのには、移動しなければならない、という「新しさと移動」の哲学の要諦が求められている、ということです。
一度、ミニマリストやノマドについて、考察あれ!
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アルカディア お母さん、お母さん、この本、どこにあったの?お母さんのもの?初めて見たわ。綺麗な挿し絵がいっぱいね。
アルシア ごめんなさい、アルカディア、知らないわ。この本、私も初めて見たわ。どこから出て来たのでしょう!本題が『児童のための知識の書』。
表紙の裏に書かれていますね。「直感、感応、触れ合い、溶け込み、融合、歓喜、充満、再生」と。素晴らしいおまじないみたいね!裏表紙の裏にも、ほら!「断捨離」ってね。この文字だけ手書きの筆体ね。
不思議ね。
アルカディア 断捨離?
アルシア そうね。何を捨てるんでしょうね?そして何から離れるんでしょうね。きっと、この本を丁寧に読んでいけば意味がわかるんでしょうね。 昔ね、ターミナスからスミルナ星に引っ越する前のときにね。伝説のドースさんが夢に現れて
、「心配しなくていいのよ、アルシア。私はもう一人のドース。あなたを守ってあげるわ」って私に優しく語りかけてくれたことがあったわ。それで怖がらなくてスミルナに引っ越しできたのよ。アグロフォレストリーも始められたわね。なぜって自然を蘇らせれば、銀河も蘇らせられ、人間の心も体も浄化できるんじゃないかと思ったんです。
私の人生はずっとそうだったわ。それでとても幸せだった。ちっとも悔いはないわ。それにもう一人のアルカディア(彼女の母の名前)も授かったんですからね。もうこれ以上のことはないわ。アルカディア。いいわね。その本を大事にしていくのよ。きっとずっといいことが起こるわ。楽しみですね!
アルカディア そうだわ、お母さん。もしかしてこの星からももうソロソロお暇してターミナスか別な星にに引っ越ししてみないこと。何かそんな気配がするのよ。
なぜか、この前、「香りの谷に行ってみたら。冬の始まりだっていうのに、ハーブがまだ何種類か綺麗に咲いていて、いい匂いを漂わせていたのよ。盛んなときの花も素敵だけど名残の花もいいわ。お母さん。ラヴェンダーの別名は「別紫蘇」、それが銀河中の人々の病気を癒した。アグリフォレストリーは緑と自然、そして食料を回復させた。もしかして「断捨離」って、残されたハーブって、人々の心を癒してくれるんだわ!私、ここの「香りの谷」を銀河中に移植してみたくなったわ!
アルシア 素敵なアイデアね、アルカディア。
yatcha john s. 「 香りの谷のアルカディア」
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