SSF 光夫天 ~ 詩と朗読と音楽と ~ 

◆ 言葉と音楽の『優しさ』の 散歩スケッチ ◆

秋の詩 「十一月」

2015-12-08 11:29:46 | 「尾崎喜八を尋ねる旅」
空気ひんやり。
太陽の活躍に期待。
(晩秋初冬の大阪府豊中市:20151208撮影)


自註 富士見高原詩集(尾崎喜八)より

十一月

濃い褐色に枯れた牧場の草が

いちめんに霜の結晶でおおわれている。

春には桜草の咲きつづく湿めった窪地に

けさは寒い霜が灰色に立ち込めている。

どこかで鶫(つぐみ)の声はするが姿が見えない。

しかし今、山のうしろから晩秋初冬の朝のよろこび、

大きな真赤な太陽がゆらゆらと昇って来た。

霜の高原が見るまに金と薔薇いろに染まる。

湿地の霧がきれぎれになって消えてゆく。

ふりかえれば西の山里も朝日をうけて、

その上に菊日和のきょうの空が

まっさおに抜けたようだ。


【自註】
晩秋初冬の高原に、朝の太陽の昇って来る時の美しさ晴れやかさを書いた。その太陽は十一月だと八ヶ岳の南の裾にあたりから昇る。振り返って見る西の山里は入笠山の下に点在する富士見のだ。そこではどんな農家でもみんな菊を作っている。それぞれ自慢の菊が朝日をうけて、綺麗に掃き清められた各戸の仕事場や庭の片隅を一層美しく見せていることだろう。そしてそんな結構な菊日和には、私の行くのを心待ちにしている老人や若者の一人や二人はきっといるに違いない。




野紺菊(のこんぎく)

キク科の多年草。山地に生える。薄紫色の花を茎の上部に咲かせる。ヨメナとよく似ているがノコンギクには4~6mmの冠毛(花の付け根にがくが変化してできた密集した毛)がある。
唱歌の「野菊」はこの花の歌だそうだ。
検索:「菊 富士見」
富士見町では、多くの菊を栽培し、たくさんの種類があるのだと思いますが、
「野紺菊」の写真がありましたので、転載します。
富士見町 http://www.town.fujimi.lg.jp/site/flower-irikasa/nokongiku.html

鶫(つぐみ)

中華人民共和国南部、台湾、日本、ミャンマー北部、ロシア東部。
夏季にシベリア中部や南部で繁殖し、冬季になると中華人民共和国南部などへ南下し越冬する。日本では冬季に越冬のため飛来(冬鳥)する。和名は冬季に飛来した際に聞こえた鳴き声が夏季になると聞こえなくなる(口をつぐんでいると考えられた)ことに由来するという説がある。日本全国で普通に見られる。(ウィキペディアより)


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