水沢司法書士・行政書士事務所

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難しい問題だ~給与差押について

2011年06月09日 | Weblog
そういえば先日こんなことがありました。

以前から取引のある会社の社長さんから、

裁判所から差押命令が来た

と連絡がありました。


給与未払か何かやらかして先取特権による差押えか?
と頭によぎりましたが、

どうやら従業員給与への差押えのよう。


給与明細を送って貰って、債権者への送金金額を算出してこの金額を債権者に送金して下さい、と伝えると、
なんと給与全額を既に本人に支払ってしまったと!!!

いや、それはまずいでしょ!!!

事情を聞くと、
5/27 差押命令が送達
5/31 給与支給日
しかし、5/24までに銀行で給与振込の予約を入れないと手続が間に合わないので、
5/27にはすでに手続を完了してあったと。
その後に差押命令が来たって遅いよ、ということです。

いやいやいやいや・・・・・・・・それは通用しないでしょう。
差押えですよ?予約を取り消す必要があったんでは?

と説明しました。


後日、仲良くさせてもらっている弁護士さんに、ついでのときに聞いてみたところ、
当初は同意見だった所、

債権者甲が債務者乙の第三債務者丙に対する金銭債権の仮差押えをした場合において,丙が,仮差押命令の送達を受けた時点で,既に当該仮差押えの対象となった債権の弁済のために取引銀行に対し他の金融機関の乙名義の預金口座に先日付振込みの依頼をしていたとしても,その振込入金が未了であったときは,丙は,人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情がない限り,上記送達後にされた振込みによる弁済を甲に対抗することはできない。

と、模範六法の民法481条の横に最判平18.7.20があった・・・・・と。

全文はこちら

いや、本当感心しました。
さすが弁護士。
逆さにしたって481条なんて条文は出てきませんよ。

まあ、これは仮差押のケースですけど、
人的又は時間的余裕がなく,振込依頼を撤回することが著しく困難であるなどの特段の事情とは言い難いと思いますので、
やはりまずかったということになろうかと思います。

その後どうしたかというのは、皆様のご想像にお任せします。

逆に今度、給与の差押えをする方に回ったとき、ある程度の規模の会社であれば、従業員給与については振込依頼をするのが通常でしょうから、

給与支払日の1週間前には振込予約をしている可能性がある

ということを頭に入れておいた方が良さそうですね。


ちなみに、こんなブログは見てないと思いますが、
先日「つきあいで」行った某店で、
ロースクール卒・来年新司法試験を受けるという水商売のお姉さんがいましたが、
まあなんか思いは複雑です。