水沢司法書士・行政書士事務所

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後見終了後の死後の事務

2010年03月11日 | Weblog
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成年後見ばっかりをやっているわけではありませんが、
どうもブログの話題は、成年後見に関することが多くなります。
話題がつきないというか。

ここのところ、裁判所や市区役所から、2件抱き合わせで就任要請があることが多いようです。

1件は財産のある人、もう1件は財産のない人、という。

裁判所等としては、財産のない人のみ依頼しても断られる可能性がある、だからある程度財産のある人と抱き合わせで、という考えなんでしょうか。

就任する側に取ってみれば、財産のある人から少し多めに報酬をもらえるのかもしれない、なんて淡い期待をしてしまいますが、
現実はもちろん、そんなことはない、ようです。
あったら問題だと思いますし。

ところで、
被後見人などが亡くなった場合、基本的に後見人の地位・権限は喪失します。
後見人には、死後事務の遂行義務はない、ということになります。

裁判所の見解は、
成年後見人が死後事務を遂行することについて、民法654条の急迫の事情があるとは認めがたく、成年後見人の義務とまでは言えないから、事務管理というほかないであろう、というもののようです。

したがって、被後見人等の死亡により、財産の帰属は相続人に移るのであるから、後見人は直ちに後見事務を終了して、後のことは相続人に任せればいい、ということです。

要するに、よけいなお節介はするな、しても報酬には勘案しねーよ、ということです。

しかしね~、私たちのような職業後見人が付くケースは、
被後見人の葬儀を執り行うべき相続人や親族が不存在であったり、いても非協力的であるケースの方が大多数のはずです。

そのようなケースの場合、誰が遺体を引き取って葬儀を挙げるんですかね。
誰がお骨を拾って、お墓に入れてあげるんでしょう。

数年の付き合いとは言え、後見人としては、他人とは違う感情を被後見人に対して持つようになります。

亡くなりましたから後は知りません、なんてご遺体の前で言えますかぁ?
葬儀を挙げ、焼いたお骨を拾い、墓に入れてあげるくらい、人としてやってあげなければ、と思うのが普通のはずです。

しかし、それは余計な仕事、だと。
相続人が不存在、非協力的な場合でも、被後見人が亡くなったら放っておけ、というのが裁判所の見解のようです。


今ぶち当たっているのが、まさにこのケースで、
被相続人には親族もなく、特別縁故者もいない、
葬儀の出席者は、私と嫁、入所していた施設の担当者の3名だけ。
私と嫁だけで、お骨を拾い、埋葬する共同墓地まで運びました。

後に報酬付与申立をし、降りた審判書をみて絶句。
死後の事務であるとして、裁判所は報酬を認めなかったようです。
まあ、死後の事務が事務管理というのであれば、余計なお節介をした事務管理者に報酬請求権はありませんから、当然といえば当然なんでしょうが。

まあ、それはいいんです。しょせん後見業務は通常業務として考えてませんし、
葬儀くらい挙げてやりたかったし、収骨・納骨だって自分から進んでやった
余計なお節介ですから。

それはそれとして。
残った預金はどうしたらいいんですかね。

引き渡すべき相続人がいません。
私が利害関係人として、相続財産管理人選任の申立をする予定でいましたが、死後の事務はするな、と。

モチベーションがありませんねぇ。
事務管理者の立場で、相続財産管理人選任申立をしなきゃいけないのは分かっているので、いずれ、やりますけどね。
でも納得なんてできませんね。

ちなみに、某裁判所においては、
相続財産管理人は、裁判所の候補者名簿から裁判所が選任するとのこと。

まあ司法書士は候補者名簿を出してないようですし、やりたいとも思いませんが、

後見人の報酬は、裁判所が決める。
相続財産管理人の報酬は、管理人自らが決める、
みたいですね。なったことがないので分かりませんが。

今後、身寄りのない人の後見人就任要請は、
一自営業者として、よく考えてから受けなければいけない、
そう思わせる一件でした。


2 コメント

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Unknown (utti)
2010-03-13 01:50:31
ご心痛お察しします。

法律は(民法は特に)当事者間の利害のバランスを調節する役割があるけれども、その結果ずいぶんとみずくさい(味気ない?)ものになってしまうこともあるのですね。。
とはいえ、人間の感情まで十分汲み取った形での立法というのも、逆に難しいような気がします。
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Unknown (管理人)
2010-04-23 15:03:33
そうかもしれませんね。
ただ、今はまだ、資産のない人の後見人を引き受ける司法書士はたくさんいますが、現状制度のままではどんどん少なくなって行くと思います。
返信する

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