恩師のこと

2006-12-06 | Weblog
今朝の新聞に、こんな記事がありました。
少し長くなりますが引用します。

12月6日付「日本経済新聞」より
   小中学校でのいじめは、教師が友達感覚で
  児童生徒に接する「なれ合い型」学級や、
  教師の指導が厳しい「管理型」学級で多い
  傾向にあるとの調査結果を、都留文化大
  (山梨県)の河村茂雄教授(心理学)の
  グループがまとめ、五日発表した。
   河村教授は「最低限のルールが守られて
  いなかったり、親密な人間関係がない
  学級では、いじめが起きやすい。被害者は
  集団生活の不満のはけ口にされている
  可能性もあり、学級単位で対策を講じる
  ことが必要」と話している。

ある程度予想された結果であり、予想したから
調査をしたのでしょうが、イジメ問題における
教師の責任はやはり少なからずあることが
明らかにされたと思います。
気付かない或いは気付いても見てみぬふりを
する教師を批判する声は前からありました。
この調査はそういうイジメへの対処の仕方ではなく
それ以前の教師のあり方が重要なのだと
教えてくれます。

もちろんイジメの問題は教師だけでなく
むしろ家庭や社会に大きな原因があることは
確かでしょう。
子供は社会の鏡です。
世の中の大人がきちんと範を示さなければ
子供達が正しい心を持てなくなるのは当然です。

しかしそれが教師の責任を軽くするものでは
ありません。
子供と長く接して正しいことを教え導く立場に
いることは紛れもない事実なのですから。

とても大変なお仕事です。
この難しい時代に教師をなさっている方々には
本当に頭の下がる思いです。
イジメが起きないような或いは起きても
解決できるような立派な学級指導をなさっている
先生も大勢いらっしゃるはずです。
大変ですが、どうか、頑張っていただきたい。

では、どう頑張るか?
「なれ合い」でも「管理」でもない良好な
師弟関係はどうしたら築けるのでしょう?

先日テレビでも教師の色々な取り組みを
紹介していました。
参考になさった先生もおられるかもしれません。
既に色んなやり方を知っていて、尚且つ
実行されている先生も多いでしょう。

その具体例ともいえる、ある先生について
今回話させてもらおうと思います。

その先生は私の中一の時の担任でした。
随分昔のことで、「教師の雑用が多すぎる」と
言われる昨今では、その先生のなさったことを
全て真似るのは無理だろうと思います。
でも、これだけのことをして下さった先生が
確かにいらしたのです。

当時から良い先生だと思っていました。
中二に上がるクラス編成で違う担任になり
とてもガッカリしたものでした。
(もちろん、その後も良い先生ばかりで
とても恵まれていたと思いますが。)
教育問題が大きく取り上げられる今、
その先生のなさっていたことを思い出し
感謝の念を新たにしています。

悪い癖で、また前置きが長くなりました(汗)
その恩師がなさっていたことを
思い出せる限り並べてみます。

・班ノートと交換日記
  班ノートとは班のメンバーの中で回る
  交換日記のようなものです。
  順に持ち帰っては何でも好きなことを
  書き込みます。
  朝一番に先生が回収し、目を通し
  時には一言書き添えて下校時に返します。
  その班ノートと別に、生徒一人一人と
  交換日記もしていました。
  「読んだよ」という印に赤のチェックだけ
  という日もありましたが、簡単な感想や
  時には励ましの言葉ももらえました。
  毎日の宿題が一つ増えたみたいで
  生徒も多少は大変でしたが・・
  32名+6班の日記を読んでいらした先生は
  どんなにか大変だったことでしょうね。

・給食のとき先生と交代
  給食のときに、生徒を一人教卓に座らせて
  先生はその生徒の席にいき、隣の生徒と
  机をくっつけて話をしながら食べます。

いかに生徒との対話を大事にしていたか
分かりますね。
そして、一年の半ばを過ぎた頃でしょうか。
こんなことがありました。

・学級会の班決めで、班長がメンバーを選ぶ
  班長を自薦・他薦により選挙で選ぶのは
  当たり前かもしれませんが、選ばれた
  班長に「好きなメンバーを指名しろ」と
  いうことになり、驚きました。
  ドラフトみたいなシステムです(笑)が
  かなり思い切ったやり方ですよね?
  もしもイジメの起きているクラスで
  こんなことをしたら・・怖ろしいですね。
  先生が生徒達をしっかり把握して大丈夫と
  判断したから出来たことだと今では思います。
  当時は自分が最後まで残らず良かったとか
  その程度にしか考えていませんでしたが。。

生徒を一人一人理解しようという先生の努力。
ここまで出来る人が一体どれほどいるでしょう。。
また、それだけでなく金○先生並みの
(少し中身が違うような気もしますが)
熱意ある指導もして下さいました。

・道徳
  モラルをとても大切にされる先生でした。
  時には厳しい態度もとられて、クラス中が
  シュンとなったことも・・でも正しい説教で
  あれば皆真面目に受け止めます。

・ホームルームの活用
  基本的には先生は口を挟まず、生徒達の
  活発な議論を促します。
  しかし脱線や平行線、或いは大事な点に
  気付かずにいたりした場合は適切な
  アドバイスをしてくださいました。
  また話し合う議題がない時などは
  読書の時間を設けてみたり、先生自身が
  好きな本を朗読して下さることもありました。
  朝の短いホームルームでも、少しでも
  時間があれば、新聞の話題やその他色々と
  感じたことなどを語っておられました。
  ご家庭でのエピソードを話し「母親の愛は
  偉大ですね」と仰ったことも。。

先生の影響力はとても大きいものです。
信頼し尊敬できる先生であれば尚更。

「いつも見ているぞ」と伝えるだけでも
普通の良心を持った子供ならイジメなぞ
しないでしょう。
この抑止の視線が無い、或いは教師自身の
態度のために意味を成さなくなっているため
本来イジメをしない子までが消極的ながらも
参加して事態を悪化させているような気がします。
そこが昔のガキ大将によるイジメと違っている
のではないでしょうか。
まして教師が誘発・増長させては悲惨ですね。
イジメを受ける子供の逃げ場を奪っています。

そして、やはり一番の問題はモラルの低下。。
先の新聞記事と並んで「高学年ほど低いモラル」
という記事も載っていました。
悪い手本を見て育っているってことでしょうか?
怖いですね。。

これは全ての大人の責任です。
けれど、身近にいる大人として
やはり先生にも頑張って欲しいものです。
先生の言葉や態度を通して
子供達は多くを学んでいくのですから。


すみません。案の定まとまらなくなりました。
長いこと心を痛め考えてきましたが
今はまだこれで精一杯。
とにかく恩師の話をしたいと思っていたら
今朝の新聞記事に出会ったので
書かせてもらいました。

長文を最後までお読みいただいた方へ、
お付き合いいただき有難うございました。




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