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失われた時を再生する「デジタルフォトフレーム」  №183

2013-05-07 16:59:17 | インポート
 先日ソニーの「デジタルフォトフレーム」を購入しました。これは想像していた以上のすぐれものだと思っています。大きさは7インチで黒いフレーム。内蔵メモリーは2ギガバイト。約4000枚の写真が内蔵でき、7秒間隔のスライドショーで8時間楽しむことができます。外部記憶媒体としてSDカードやUSBメモリも使用できるので、もっとたくさんのスライドショーも楽しめますし、動画再生も可能です。
 早速、パソコンのピクチャに眠っていた海外旅行や家族の様々な記念日のスナップなどのファイルをコピーして、スライドショーで楽しみました。食卓近くの棚にフォトフレームを置き、ワイン片手に時系列で次々に写し出されるスライドを見ていると、失われかけた記憶が楽しい思い出とともに鮮やかに蘇えってきました。
 かつてフランスの作家プルーストは「失われた時を求めて」という長編小説を書きました。その長さは日本語訳では400字詰め原稿用紙で一万枚にも及びます。何度か読破しようと試みましたが、そのたびに挫折しました。その物語は、ある日、口にしたマドレーヌの味をきっかけに、幼少期に家族そろって夏の休暇を過ごした町全体の記憶が鮮やかに蘇ってくる経験から書き起こし、自らの生きてきた第一次世界大戦前後の歴史を記憶の中で織り上げていくものです。
 プルーストはこの作品を描くために、部屋に閉じこもり耳にコルクの栓をして記憶の再生に没頭したといいます。しかし、現代に生きる私たちは、昔の写真をデジタル化する手間を惜しまず、外部記憶として大容量のUSBメモリを使えば、さしたる努力なしに自分の一生をスライドショーで振り返ることができるようになりました。
 少し時間の余裕ができたら、認知症を予防する意味でも、自分の生涯をデジタル映像化し、好きな音楽にのせて楽しみたいと考えています。