フォロワーの皆様へ
随分迷ったが、記録として公表することにします。
先月末(09/28~29)私は "山岳遭難"という痛恨のミスを犯してしまった。
はじめに、
三重県警、地元消防団、大紀町役場等関係者各位には
多大なるご迷惑をおかけし心からの謝罪の意を表します。
尚、
警察への捜索依頼をはじめ諸手続き等世話をかけた弟、
写真転送、ココヘリ(京都)への連絡等で世話になった娘夫婦、
とりわけ、前夜より心痛で眠れぬ夜を過ごさせてしまった妻、
みんな、心配かけて、ごめんなさい。
・・・
以下、
その顛末と行動概略を綴りつつ猛省し再発防止に努めたいと思います。
*9月28日早朝8時 犬戻公園出発
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*同午後3時ごろ目的地犬戻ノ高着。しかし、下山道発見できず。
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*同午後4時33分 前回歩いた鳥尾越まで足を延ばすことにする
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*同午後4時33分 その手前90号鉄塔から滝ヤ谷に降るが道不明となる。
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*同滝ヤ谷から南亦山ルートに脱し、鍛冶屋谷ルートで下山途中日没、ビバーグ、となる。
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*同午後9時ごろ、私の家族(弟)からの通報を受け深夜、警察署内に対策本部が設置
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*9月29日夜明けを待って登り返し南亦山ルートで降る
↓
*同午前6時、警察署員、地元消防団、大紀町役場の職員等、大内山村米ヶ谷、犬戻峡に集合
↓
*捜索隊員45名が9班に編成され、各々谷筋や尾根から捜索に向う、あるいは向かおうとする
↓
*同午前8時20分、下山
登山前、駐車地は私の車一台きりだったのに、一夜明けて赤い救急車や関係車両で埋め尽くされていた。
路上に設置された異様に大きなアンテナを目の当たりにした時、この深刻な事態にクラクラっときた。
私は恥ずかしいやら情けないやら、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいとなり、
『ごめんなさい』を連呼しながら待機中の隊員が待つ輪の中に入っていった。
口頭での簡単な健康チェック、そして数名の方からの事情徴収ランダムに続くそばで、
「行方不明者発見」の報をキャッチできた班から順次戻り始める。
天保尾根87号鉄塔まで向かわれていて戻るのが一番遅くなった若手捜索隊員から、
”ご無事でよかったですね”と笑顔でねぎらわれた時、
それまで緊張しまくっていた私は一気に胸が熱くなった。
約1時間後、捜索本部のある集落内の公民館へと、先導車に続き移動することとなった。
再び、テーブル上に提示された地図でルート、迷いポイント、ビバーグ地点など遭難原因の説明となるが
10時間以上の縦走は一枚の地図では収まりきらず2~3枚継ぎはぎする形で説明が困難であった。
結局、関係者のある方所有の宮川流域案内人の小野幸年さんの著書が役立った。
それでは再度、自己反省を心に刻みながら、このような人騒がせかつ重大な事態に至る足取りを追うことにする。
フォロワーとりわけ登山愛好者の皆様には日ごろから安全登山に徹していられるとは存じますが、
何かの参考になるようであれば幸甚です。
・・・
春日嶺、犬戻ノ高周回登山
三重県度会郡大紀町大内山米ヶ谷
2020年 9月28日 快晴 ソロ
薄明るくなったころ津市自宅を出発。松阪よりR42をひたすら南下して、JR梅ケ谷駅手前で右折。熊野古道ツヅラト峠の看板も目に付く。米ヶ谷集落を20分ばかり、人家が途絶え対向車が来ないことを祈りつつ走る。少し開けたところで道は直進と右折に分かれる。今回は県道を直進。
犬戻公園
(7:58)
駐車スペースは約10台、簡易トイレ有り。(翌朝、捜索隊員と関係車両で埋まる)
6月には、弟と二人で右手の道を犬戻峡にはいり南亦山に抜けている。
今回は、ここから一人で左の県道を終点まで歩いたが65分もかかり若干誤算だった。
初めての山は予めネットリサーチし、山行ルート概念図を作成してイメージトレーニングをしておく。
そのコピーをポケットに納め、原図は自宅に残していくのが常だが、今回に限り原図を持参してしまった。
もし自宅に残っていたら遭難範囲の絞り込みや特定に役立っていたはずだ。
今回は我が家の登山届として、台所の壁に大学ノートがぶら下がっていてそれに日付と山名、発着地点など書き込むまないと妻から登山許可が出ない仕組みになっている。しかし今回の貴重な手掛かりとなった。最近では面倒なのでその3点しか記入していないが、予定ルートも加えたほうがよいと思った。
山行ルート概念図
県道分岐地が発着地点➡徒歩で県道終点まで➡尾根に登り時計回りに周回・犬戻ノ高を目指す。
👇山頂から天保尾根コースで犬戻峡Pまで下山する予定だったが・・・鳥尾越手前の鉄塔から滝ヤ谷に降る
大内山川源流部を5~6回、渡僑し最奥地点に向かう。(℗発8:00)
↓の画像は七軒橋付近からの天保尾根(下山路予定)と87号鉄塔?
65分後、ガードレールに囲まれた県道終点広場に到着。(9時5分) 15~6台駐車可
その先は二股となり、道は土石流に埋もれ大荒れで歩行も困難なほどだ。しかししに誤算だったのはそこからの登山口探しに30分以上消費したことだ。根元よりポッキリと折れた案内標識を見つけたが正しい方向を指しているとは思えなかった。両岸は洪水か土石流で抉り取られガレているし、谷はゴーロ道で歩けたものではない。結局、広場の「春日嶺登山マップ」を参考に、対岸を少し下り主稜線から派生した比較的大きな支尾根に取りつくことにした。比較的緩やかな勾配の山腹を這うようにして登ることになった。
終点広場の折れた標識。示す方向は谷芯でとてもとても無理だった。
広場の先
広場にあった春日嶺登山マップ
東千カ山から時計回りに犬戻ノ高の予定が延長して963,993ピークまで周回することになる。
対岸に渡り少し下流の最も勾配の緩いと思われた山腹を登ることに。
悪戦苦闘を約10分、尾根に取りつき薄い踏み跡を辿ると突然、作業道に出る。(9時53分)
直登気味に登ろうとするが、時折ショートカット道が不明なため、
作業道に沿ってジグザグに歩いたり思いのほか時間がかかる。
シンパク高と犬戻ノ高が作業道の崩落現場から見えた (10時20分)
まもなく尾根というところまで作業道が現れる。意表を突く真新しい標識!
雑木林の尾根に出るとかなり明瞭な登山道が見つかりホッとする。
立ち止まることなく時計回りに北西方向へ進むとほどなく東千か山(読み方不明)に着く。(11時17分)
登山口よりすでに3時間17分経過していることになる。
林道歩きと登山口探し、その上やたらと蛇行する作業道にてこずり時間を食い過ぎている。
小さなアップダウンを30分で千か山 標高949mをスルーする。ー(11時47分)
ー千か山の「か」は伐採の伐からにんべんを取った字ですー
10分ぐらいで尾根が急に広くなり踏み跡が消えたのでヤマップで確認する。尾根の集積エリアのようだった。
北方向へ進路が変わると細尾根となり左右の木陰から少し視界が開ける。
しばらくして松の大木の根元にキノコを見つけたが松茸ではなさそう。(12時)
右手にシンパク高が覗く。その右の目指す犬戻ノ高は木が邪魔している。(12時16分)
登りがきつくなったところが長吉坂
ココでメモノートを15分ほど前少し休憩した地点に忘れたことに気づきザックをデポして探しに戻る。
結局見つからず広い尾根まで探しに戻るが徒労であった。これで30~40分のロス
長吉平を経て池谷山 標高993.4m
進行方向左手、北西方向は迷岳、古ヶ丸方面で、画面の切れ目からやや左には仙千代ケ岳があるはずです。
そこから派生した尾根は地図上では私のいる稜線につながっています。
進行方向右手、北東方向は歩いてきた尾根とその先は熊野灘
時折開ける風景に癒されながらなだらかな尾根歩きを楽しむ。
今年初めてのトリカブトです。
うわー!だいぶあるいてきたなあ
すり鉢状の稜線のほぼ半円を踏破してきているんだ!
涸れ芯だけ残ったバイケイソウの群落地帯
緩やかに下り再び登り返した視界の利かないピークが春日嶺だった。
縦走路はここから右旋回し今回のハイライトに差し掛かる。
尾根が次第にガレ始める。
尾根左の西側にトリカブトが群生していた
カルスト地形でしょ、これって
尾根は1~2mの先の尖った岩が堆積した形状となり、その上を歩くことになる。
ひと際高い岩の上から東方向を眺める
長島~尾鷲~九鬼~熊野方面
西方向には台高山脈
まだ特有のガレ場が続く
しばらくして絶景ポイントに到着。
このエリアは紀伊山地南部に位置し日本3大峡谷として知られる大杉谷の隣の無名の秘境ということになる。
真下にシンパク高の大崩壊地が口を開けている。
サルの群れが私の気配を察し岩陰に逃る様が可愛い。
正面の熊野灘の中央に浮かぶ小島が大島ダ
奇景絶景を堪能しているうちに時間がドンドン過ぎていった!
緩やかな山腹をゆっくりと登っていくと・・・
その雑木林の突端が犬戻ノ高 標高1073mであった。(14時56分)
歩き始めてほぼ7時間、ココから天保尾根を下れば予定より遅いが16時半ごろ下山できるはずであった。
御覧の通り、雑木林の中で一方向のみのしかも狭い視界しか開けていなかった。
長居は無用、下山路に向かうが・・・
踏み跡や標識を探して行ったり来たり・・・全く手掛かりがない・・・刻々と時間が・・・
スマホの電源も心もとなくなってきている。
”秋の陽はつるべ落とし” 躊躇している暇はない、
直ちに前回歩いている鳥尾越峠を目指すことに決意する。
山頂から少し離れると、下山路となる天保尾根が見えた。(15時26分)
もう少し探すべきだったかと後悔の念が沸き起こるが後の祭りだ。
後悔するよりハリーアップ
↓
幸平(ハピネス平)963m
↓
中ノ又の頭 993m (16時13分)
犬戻ノ高から約1時間20分で中ノ又の頭に着いたが依然として林の中だ。
スマホの電源が10%を切った!!
鳥尾越の手前の滝ヤ谷コースを降りることにする。(16時20分)
旨く行けば、数度のアップダウンを経て鳥尾越まで歩く時間を短縮できると考えたのだ。
下の画像のザック上の道を数分降ると、小尾根上に91号鉄塔(?)に達する。
鉄塔の下をくぐっている時突然スマホの呼び出し音が響く。
しかしポケットから取り出し開けた途端に電源の1%の文字が消え画面は真っ暗となってしまった。
私はその瞬間、「僕や!」とスマホに向かって叫んでいたが、届いただろうか? (のちに聞くと無反応だったと)
鉄塔からの下りは、悪夢のようだった。
登山道はすぐ消え歩けそうな斜面を探しながらのづり降りを重ねた。
途中で、引き返すことはもはや無理と悟り、意を決し、ひたすら谷芯に向かって降ることにした。
もはや時間との戦いとなる。
日没になればアウト!
安全な場所を見つけビバーグもやむを得ない。
ここで前半を終了します。
後半は、キャノンの写真からとなりますが、さすがに翌朝の数枚があるだけです。
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