語る城門「大戸」BIGDOOR正門

昭和38年製Bigdoorオヤジが身辺10m範囲の出来事を哲学したり雑学したりします。老後の楽しみ1つみっけ。

山田晋三君・大いに語る

2008-01-11 01:49:30 | 誉めずにはいられない
アメフト全日本Under19代表監督 山田晋三 氏[㈱エスイーエス 取締役]

【某月某日、東京某所での会食】

◆プレイ中の平常心◆
(?Q?):敵チームに追い上げられている時に焦る気持ち抑えて、平常心を保つコツはありますか?

(?A?):難問だね。誰かがインターセプトされたり、ミスしたりすると落胆してメンバーに伝染ることがよくある。頭を切替えるしかないのだけれど、そもそも勝ち負けを意識して「考える」からいけない。おそらくどんなコーチも言うと思うけど「Play One Play at a Time」が重要。今やらなければならないことをやる。前のプレイもその後のプレイもいっさい考えない。前のプレイはやり直せないし、次のプレイの結果、何が起こるかなんて分からない。自分の出きることを確実にこなすだけ。勝敗とか点数とかはコーチが考えること。コーチはチームが集中していないのを察知したらタイムアウトをとるはず。
 元々プレッシャーはプレッシャーではない。ゲームの展開や結果を思い悩むからプレッシャーになる。プレイの組立を考えるのは練習の時だけ。試合中に考えられることは一つだけ。次のワンプレイ。準備に準備を重ねた1つの作戦を遂行するのみ。ベンチにいても次に自分が呼ばれたら何が出きるかだけ考える。目の前の事を着実にこなすのみ。誰がミスしようが関係ない。落ち込むとみんなに伝染する。

(?Q?):仕事とスポーツの両立は可能でしょうか?

(!A!):5年間お世話になったNTT勤務時代は初台に所沢から通っていました。サラリーマンの宿命「稟議書はんこ待ち」も経験しました。仕事も忙しく夜遅くなっても週2回のトレーニングはこなしていました。仕事も趣味も極めていくしかないでしょう。
 プロのアスリートではなくホビーで取り組んでいるのなら、仕事もきつい、趣味もきついでは心身共に休めないですね。本来趣味は楽しいわけで、趣味が充実すれば仕事も上手い具合に充実します。プロは全部仕事ですから、そう単純ではありません。
 話はちょっと逸れますが、プロとして某チームに在籍時、練習をサボったり時間通りにこなかったりする輩がいたけど「辞めろよ」と言いたかった。アメフトは規律を重んじます。高度に連携した作戦で一人が裏切ったら全滅ですから、決めごとを守れない輩は信用できないです。
 渡米してNFLのキャンプに参加したとき「余裕を持って」集合時間の20分前に行ったらビリでした。みんな30分前に集合していました。やると決めたら絶対にやる。弱いチームを観ていると集合時間に遅れてくる奴が多い。いざというとき必ず失敗する。時間通りにやることをやる。単純なことです。
 確かにアメフトの練習は面白くない。走る人は走るばっかり、ぶつかり合う人はぶつかる練習だけ。全体練習は殆どしない。パートの組み合わせ、細かいプレイの積み重ね、ポジション毎の受け渡しが重要なので連携の確認やら、面白さを感じにくいです。

(?Q?):これほど会社組織に似ている球技は他にはありません。やればやるほど課題が出てくる。会社との共通点が多い。

(!A!):仕事もやることが多い。整理して一つ一つに足を踏み出して前に出るしかない。スタートは一緒。アメフトは静止状態からプレイのタイミングフリーでヨーイドン。もしかするとドンドンかもしれない。その時のスタンスはどうか、足のつきかたはつま先からか、踵からか?膝の角度?そういう基本的なことが練習を重ねることで何も考えず動けるようになる。足さばき一つで体のバランスが大きく変化する。だから強豪チームは最初の一歩から三歩くらいまできっちり決めている。
 腰が安定していないと足が出ないし、頭が下がる。頭が下がれば「引き倒し」の様に簡単にころぶ。フィールドで転べばただの「障害物」で裏切り行為でしかない。
 そういうところが出きる様にならないと面白くないかも知れません。監督の立場でいえば、無意識でも動けないと起用しない。ステップも踏めないのに起用したら絶対に勝てない。

◆ディフェンスとオフェンス。どっちが楽しい?◆

(!A!)ディフェンスは楽しいかというと、オフェンスに比べ格段に楽しい。作戦を練りに練って、やいのやいの言われて一生懸命パタン練習してきた敵オフェンス陣の裏をかいて潰すのは快感ですね。やって貰えば分かります。アメフトの神髄は「ブロック」です。基本的にオフェンスの選手は真面目で几帳面。ディフェンスは不真面目、要領よし。とにかくオフェンスを止めれば良い。理論はもちろんあるが、潰せばいい。それだけです。名前を呼ばれて「イエッサー」って言う奴はオフェンスだね。

 試合中は必要な情報は必要とする選手にのみ伝える。全体で情報を共有する必要はない。QBは全体を知る必要があるが、会社と一緒で情報が多いと処理できない。
だからその分コーチは重要「次はこう、次はこう」と指示を出し続ける必要があるので大変。


◆「最後に一言」◆山田晋三さん
しんどいことにチャレンジしておけば、その分大きな感動もある。チャレンジするチャンスを与えられたらチャレンジしていった方が後々、楽しいものです。


山田晋三 氏 略歴:1973.9.8栃木県生まれ
関西学院大学出身 大学2年時(1993年)大学日本一。大学4年時は主将で関西学生の敢闘賞を授与される。卒業後、社会人チーム・アサヒ飲料では2000年度東京スーパーボウル、ライスボウルで優勝し、オールXリーグに選出される。2001年度は東京スーパーボウルで優勝し、オールXリーグ、東京スーパーボウルMVP、XリーグMVPに選出される。現役当時ポジションはディフェンスLB(ラインバック)

1995年 日本電信電話株式会社(NTT)入社。
2001年 日本人としてはじめて北米プロフットボールリーグ”XFL”に参戦。
2002年 NYドラゴンズのトレーニングキャンプに参加
2003年 NFL TOKYO 2003 バッカニアーズ選手として出場
    欧州NFLアムステルダム・アドミラルズ選手
2004年 アリーナフットボール日本選抜サムライウォリアーズ・ヘッドコーチ
2005年 Under19日本代表ディフェンス・コーチ
2006年 Under19日本代表ヘッドコーチほか
現在、スポーツビジネス事業のほかテレビ解説者としても活躍中


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1 コメント

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なるほど (フラッグフットボール・コーチ)
2008-01-12 23:33:09
山田さんについての記事、
興味深く読ませていただきました。
なるほど、と思いました。
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