今回は,公職選挙法で禁止されている買収のやり方についてです。
当然の前提ですが,買収行為は一切禁止されています。もちろん,候補者がお金を配らなくても,候補者の親族や後援会がお金を配ることも禁止されております。
とはいえ,まだまだ買収は横行しています。そこには,裏マニュアルが存在しているのでした。
なお,この世界では,お金のことを「実弾」と呼んでいます。
1 実弾の入手方法
これは自己資金というよりも,スポンサー資金がすべてです。裏選挙界では,「実弾の数が勝敗を決める」と言われています。
当然ながら,スポンサーも,投資した金額が大きく戻ってくるか否かに最大の関心を寄せているため,候補者の実弾切れ状態が見え隠れしてくると,即座に回収を始める場合があります。
2 実弾の配布先
仲介者たる影の市長には直接は渡しません。なぜなら,万一のことを考え,直接のつながりを作らないようにしておく必要があるからです。影の市長は,各種団体やスポンサーからの上納金で儲かるようなシステムとなっています。
では,実際にどこに配るのかというと,士農工商団体はもちろんのこと,「各地域や組織の盟主」と呼ばれる人たちに配ります。これは,いわば選挙の影の実働部隊です。
また,選挙運動員にも当然配布します(これも公職選挙法で禁止されています。)。
さらに,口封じのための実弾も使います。具体的には,警察や選挙管理委員会などに使うことになります。
3 実弾の使い方その1
まず現職議員や首長の場合は,税金をつかって堂々と買収を行います。
もちろん,ここでいう買収は「事業」や「売買契約」,さらには「補助金」など,表向きは正規の事業として扱うものです。
随意契約にすることで,特定業者に対し,事実上税金を買収費用として渡すのです。当然,形式的な事業や契約は成立し,その結果も一応あがってくるため,形だけみると単価が結構高めという点を除けば特に問題はないことになります。
現職有利の背景には,このような「税金買収」が使える点によります。
4 実弾の使い方その2
次に,地元有力者への買収方法です。
まず,士農工商団体に対する買収は,あくまでも理事個人に対して渡しますが,多くは「借金」という名目にしておきます。すなわち,候補者が個人的に理事に貸した,ということにするのです。ただし,落選時の寝返り防止やガサ入れ時のリスクを考え,形式的借用書は理事側が持っています。この借用書は,あくまでも捜査が及んだときの保険にすぎませんし,当然,返済は求めません。
次に,士農工商団体から,地元の盟主を紹介してもらいます。各種組織のリーダーや地元自治会のリーダー,さらには庄屋や名主,元議員等,それは地域によってまちまちです。
そして,その盟主に対して実弾を渡します。この際,名目は「後援会の演説会の準備資金」などとしておきます。もちろん,これだけだと捜査機関は偽装行為であると認定するため,カモフラージュ領収書等を多数用意しておきます(実際は,この部分がもっとダークに動いていますが,残念ながらその詳細の手法は,まだ取材不足です。)。
こうして,町の大物を次々と買収していくのです。
当然ながら,この辺のやりとりは,すべて「第二後援会」が取り仕切ります。候補者本人に捜査の手が及ばないようにするためです。一方,この後援会の実働部隊は,手数料として実弾の上前をはねます(相場は3割前後)。捕まるリスクが高いだけに,当然のことといえるでしょう。
5 実弾の使い方その3
しかし,あまりにギラに動くと,当然対抗馬等から警察にチクリが入ります。
そこで,警察も配下におく必要があります。ここで使う作戦は,「忘れ物戦術」と呼ばれるものです。
地元の所轄の警察署長に会い,立候補するなど世間話をします。その際,紙袋を持っていくのですが,帰りがけにこれを忘れていきます(当然わざとです。)。
すると,後日署長から電話がかかってくるため,そこで「あれ,忘れていましたか。あれ,特にいらないものなので,適当に処分しておいてください。」と言います。実は,この紙袋の中に現金を入れておくのです。
警察署長は,この辺は慣れていますから,いわゆるあうんの呼吸でこれをもらいます。警察署長は,選挙に限らず,風俗営業法等の関係などでも同様の手法でお金をもらう場合が多いのです。
もちろん,事前情報が重要です。この手法が使える警察署長は限られています。多くの署長は当然「ノー」といいますし,逆に捜査対象になる場合すらありますから,この点は影の市長に署長の人となりを聞いておくのです。
ちなみに,実際の選挙違反の捜査は所轄ではなく県警が行いますから,所轄を押さえたからといっても,本当に安心できるわけではありません(裏の裏知識です。)。
6 最近の傾向
以上は,一般的な裏技ですが,最近では不景気(景気がいいのは本当に一部のみで,選挙業界でも依然として不景気なのです)により実弾が不足がちという実態です。
そこで,最近では現金に代えて「未公開株」や「将来の事業約束」などを使う例もかなり出てきました。特に後者は,近年相次ぐ知事の逮捕によりその存在が明らかになりつつあります。
以上を踏まえて,正しく実弾を使えば,その分の見返りは必ず来ることでしょう。
次回は,「正しい前哨戦のやり方」について説明します。
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当然の前提ですが,買収行為は一切禁止されています。もちろん,候補者がお金を配らなくても,候補者の親族や後援会がお金を配ることも禁止されております。
とはいえ,まだまだ買収は横行しています。そこには,裏マニュアルが存在しているのでした。
なお,この世界では,お金のことを「実弾」と呼んでいます。
1 実弾の入手方法
これは自己資金というよりも,スポンサー資金がすべてです。裏選挙界では,「実弾の数が勝敗を決める」と言われています。
当然ながら,スポンサーも,投資した金額が大きく戻ってくるか否かに最大の関心を寄せているため,候補者の実弾切れ状態が見え隠れしてくると,即座に回収を始める場合があります。
2 実弾の配布先
仲介者たる影の市長には直接は渡しません。なぜなら,万一のことを考え,直接のつながりを作らないようにしておく必要があるからです。影の市長は,各種団体やスポンサーからの上納金で儲かるようなシステムとなっています。
では,実際にどこに配るのかというと,士農工商団体はもちろんのこと,「各地域や組織の盟主」と呼ばれる人たちに配ります。これは,いわば選挙の影の実働部隊です。
また,選挙運動員にも当然配布します(これも公職選挙法で禁止されています。)。
さらに,口封じのための実弾も使います。具体的には,警察や選挙管理委員会などに使うことになります。
3 実弾の使い方その1
まず現職議員や首長の場合は,税金をつかって堂々と買収を行います。
もちろん,ここでいう買収は「事業」や「売買契約」,さらには「補助金」など,表向きは正規の事業として扱うものです。
随意契約にすることで,特定業者に対し,事実上税金を買収費用として渡すのです。当然,形式的な事業や契約は成立し,その結果も一応あがってくるため,形だけみると単価が結構高めという点を除けば特に問題はないことになります。
現職有利の背景には,このような「税金買収」が使える点によります。
4 実弾の使い方その2
次に,地元有力者への買収方法です。
まず,士農工商団体に対する買収は,あくまでも理事個人に対して渡しますが,多くは「借金」という名目にしておきます。すなわち,候補者が個人的に理事に貸した,ということにするのです。ただし,落選時の寝返り防止やガサ入れ時のリスクを考え,形式的借用書は理事側が持っています。この借用書は,あくまでも捜査が及んだときの保険にすぎませんし,当然,返済は求めません。
次に,士農工商団体から,地元の盟主を紹介してもらいます。各種組織のリーダーや地元自治会のリーダー,さらには庄屋や名主,元議員等,それは地域によってまちまちです。
そして,その盟主に対して実弾を渡します。この際,名目は「後援会の演説会の準備資金」などとしておきます。もちろん,これだけだと捜査機関は偽装行為であると認定するため,カモフラージュ領収書等を多数用意しておきます(実際は,この部分がもっとダークに動いていますが,残念ながらその詳細の手法は,まだ取材不足です。)。
こうして,町の大物を次々と買収していくのです。
当然ながら,この辺のやりとりは,すべて「第二後援会」が取り仕切ります。候補者本人に捜査の手が及ばないようにするためです。一方,この後援会の実働部隊は,手数料として実弾の上前をはねます(相場は3割前後)。捕まるリスクが高いだけに,当然のことといえるでしょう。
5 実弾の使い方その3
しかし,あまりにギラに動くと,当然対抗馬等から警察にチクリが入ります。
そこで,警察も配下におく必要があります。ここで使う作戦は,「忘れ物戦術」と呼ばれるものです。
地元の所轄の警察署長に会い,立候補するなど世間話をします。その際,紙袋を持っていくのですが,帰りがけにこれを忘れていきます(当然わざとです。)。
すると,後日署長から電話がかかってくるため,そこで「あれ,忘れていましたか。あれ,特にいらないものなので,適当に処分しておいてください。」と言います。実は,この紙袋の中に現金を入れておくのです。
警察署長は,この辺は慣れていますから,いわゆるあうんの呼吸でこれをもらいます。警察署長は,選挙に限らず,風俗営業法等の関係などでも同様の手法でお金をもらう場合が多いのです。
もちろん,事前情報が重要です。この手法が使える警察署長は限られています。多くの署長は当然「ノー」といいますし,逆に捜査対象になる場合すらありますから,この点は影の市長に署長の人となりを聞いておくのです。
ちなみに,実際の選挙違反の捜査は所轄ではなく県警が行いますから,所轄を押さえたからといっても,本当に安心できるわけではありません(裏の裏知識です。)。
6 最近の傾向
以上は,一般的な裏技ですが,最近では不景気(景気がいいのは本当に一部のみで,選挙業界でも依然として不景気なのです)により実弾が不足がちという実態です。
そこで,最近では現金に代えて「未公開株」や「将来の事業約束」などを使う例もかなり出てきました。特に後者は,近年相次ぐ知事の逮捕によりその存在が明らかになりつつあります。
以上を踏まえて,正しく実弾を使えば,その分の見返りは必ず来ることでしょう。
次回は,「正しい前哨戦のやり方」について説明します。
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