昨日
人と人の思いが結実して ある奇跡が生まれた
一方で 僕自身 これを綴って良いのかどうか
未だに迷っている・・・
今から記すこと
それは 僕だけじゃなく
これを読んでくださる 皆さん ひとりひとりに
今後 関わってくる 重大な案件だと 思っている
僕は 市井の 一個人
一方 社会福祉士 という 生業がある
ここは あえて お伝えしつつ
皆さんからのご批判 忌憚なく お受けしたい
当初 Nさんの それは
葬儀 ではなく お別れ会だった
読経もなく
お別れ会という名の時間は
葬儀場の厚意にて 設けられたものだった
昨日の朝の時点 Nさんは葬儀場から
ひとり 火葬場に搬送 荼毘に付された後
拾骨なく そのまま 「処理」 とのことだった
それを聞いた僕は 担当のKさんに
「僕がお骨を拾うことはできますか?」
無茶を承知で尋ねる
(以下、Kさんは「」 僕は『』)
「ん~・・・今のところは何とも・・・。本来の火葬手続き、
つまり、誰が付き添うかというのは、市の決まりで
前日の午後5時までに届け出を出す必要があるのです」
『そうでしたか・・・。』
「それと、拾骨となれば骨壺が必要になります」
『骨壺はおいくらでしょうか?」
「〇〇〇〇〇円です」
『・・・結構しますネ・・・』
{さすがに、それだけの負担を僕が(個人的に)するのは・・・}
「ただ・・・、私自身、昨今の葬儀事情に危機感を覚えて
います。N様のようなケースは、決して珍しくありません。
むしろ、増えてきているというのが、私の実感としてあります。
お見送りの時、私ひとりという場合が今、少なくないのです」
『えっ・・・!?』
「仕事柄、分かってはいるのです・・・。でも、私としても
悲しいし、寂しいのです!ですから、今から火葬場に掛け
合ってみます!」
『いえ、Kさんは元々、ご多忙でいらっしゃるのに、余計な
お手間を取らせるわけには参りません。僕が火葬場に
掛け合ってみます!』
「いえ、結構です!私も思うところがございますので、どうぞ
お任せくださいませ」
しばらくして再度 入電
「JUNさん、何とかなりそうです!火葬場としては
これまでJUNさんのような申し出は前例がないとの
ことでしたが、ご理解をいただきました。JUNさんの
帯同、および拾骨が可能となりました!」
『分かりました。ありがとうございます!骨壺の代金は
いつお支払いしたら良いでしょうか?』
「結構です!ご提供させていただきます!」
『えっ!?それはダメでしょう!Kさんは善意で御仕事を
やってるわけではない』
「いえ、よろしいのです。何とかなりましたので(^^)」
『なんと・・・。ありがとうございます!では僕が埋葬
いただくお寺を探します。』
「承知しました」
この時点で ひとつ奇跡が起きた
前例がない・・・ところを 僕が・・・ひっくり返し
さらに 骨壺の代金が不要となった・・・
Kさんが此所までやってくださるとは
正直 思っていなかった
葬儀場は 粛々と 葬儀を遂行
葬儀代は高い
近しい人の死に直面し 動揺している
人のスキをついて 何でも料金をとる・・・
それまでの 僕のイメージは 木っ端みじんに砕け散った
何と言う プロフェッショナルの仕業だろう !
Kさんだけではない
一昨日からの昼夜を問わない問合せにも 関わらず
丁寧かつ親切に応えてくださった オペレーターの方々
一昨日に対応くださったTさん
誰も皆 間違いなく プロだった
当たり前のように 代金を支払いたい
そう思わせる ひとつひとつの仕業・・・
そこまで プロフェッショナルの仕業を 見せられて
すっこんでいる 僕じゃなかった
お寺は 元から 想定があった
10年来のお付き合いがある 件のお寺である
ご住職は 僕から子細を聞くと
「うん、分かった。持ってらっしゃい。」
『でもご住職、永大供養料が・・・』
「そこはJUNさんが気にすることないヨ。多分、この方
僕が(10年ほど)前にJUNさんに呼ばれて法話をしに
行った時、会ってるかもしれないしさ。読経の準備
整えておくから、気をつけて行ってらっしゃい」
またここで 奇跡が起きた・・・
その後 Kさんのご尽力によって
読経はなかったものの
見送りに来た方達にも囲まれ 🎺の飛び入り演奏もいただき
Nさんは無事 出棺 僕も共に 火葬場へ向かう
火葬場・・・
そこにいらっしゃる皆さんもまた
プロフェッショナルの集団だった
駐車場案内に3人 4人と立ち
初めて来る斎場で迷わないようにと
細心の心配り
鬼(遺体を焼く)担当の方も
懇切丁寧に拾骨方法を教えてくださりつつ
「N様のお骨、綺麗に残ってございますネ!
これほどお骨が残っているのは珍しいです。
ホラ、喉仏もしっかりと残っていらっしゃいますよ!」
気後れしそうな僕を 常に励ますよう お声がけくださった
その別れ際 お見送り担当の方から
また驚愕の事実を知る
最近は 拾骨をせず(骨壺に骨を収めず)
そのまま帰る人が増えてきている
ややもすると マイクロバスで乗り付け
大勢 親族や親戚やらで来ても
炉から出てきた 焼かれたご遺体を一見
「あ~燃えたね」と・・・
それで そのまま 「帰る」 のだと
「もうこれから、これが普通になっていくかと
思うと、私どもも何ともやりきれない思いを
抱えています・・・」
『お察しいたします・・・。』
「いえいえ、これが仕業ですからね。でも、本当に
これから、どうなっていくのでしょうね・・・」
お寺に着いたのは とっぷりと日が暮れた頃だった
ご住職は 蝋燭に火を灯し
その場は お線香の香りと煙が立ちこめていて
やや憔悴した僕を 温かく包み込んでくれた
ご住職は 心のこもった 読経を
Nさんと 僕に 授けてくださった・・・
以上が 顛末である
僕は(ご住職も) 今後
いつ訪れるとも知れない ご親族の 来訪を
待ち続けることとなる
ひょっとしたら
無断で 一切の葬儀を取り仕切ったことに
腹を立て
最悪の場合 訴訟沙汰になることも予想される
一方で ご親族の皆さんは
Nさんが 逝去された際
担当者から 連絡を受けていて
その時は 引き取り拒否を されている
もともと ご親族の 皆さんが
ひとりでも 引き取る
そう 仰ってくだされば
僕は ここまで動くことは ありえない
(元々、この仕業は最初で最後である)
冒頭 Kさんから告げられた際
僕は Nさんの尊厳
それが真っ先に出てきた
何故か
僕は社会福祉士で その倫理要綱にもあるが
僕のミッションは 皆さんの福祉(幸せ)を守ること・・・
今回の件で
僕が先のミッションを これほど重く思ったことはない・・・
一方で 世の中は
8050問題 少子高齢化 孤独死など
喫緊課題が待ったなしで進んでいる
それを打開していくには
誰かが 手をこまねくことなく 動く・・・しかない・・・
果たして 今回の僕の仕業は
良かったのだろうか・・・
その答えは
容易に出そうにない・・・
終