大津の全国市町村国際文化研修所で、空き家対策とまちづくりを考えた。今年で3年目となった。
空き家問題は、急速に進化している。1年目は、ようやく空き家問題が認知され、どのように対応するのか手探りだった。研修所の意図としては、行政法的な勧告、命令、行政代執行という手法では空き家問題は解決できないと考えて、まちづくりの観点から考えてみようと、私に声がかかったのだと思う。
2年目は、研修の直前に特措法ができて、関心は、特措法をどのように受け止めて、各自治体で対応するのか、具体的には、空き家条例をどのように作るのかに関心があった。
今年の3年目は、各自治体で空き家問題に取り組むようになり、各自治体ごとの蓄積も増えて、どのように事務を進めるのか、行政実務的な関心に移った。あわせて、特措法ができて、空き家ビジネスが急速に注目されるようになって、空き家の利活用がにわかに注目されされるようになった。
そんなことで、今回は、自治体間の情報共有と利活用を中心にグループワークをすることにした。今回も、にぎやかで、参加者が積極的に手を挙げて発言する会となった。
空き家のビジネスモデルは次のようになっている（忘れないうちにメモしておこう）。
１．特措法の後押しで、固定資産税の軽減措置がなくなる→家が負の遺産になるので、今からきちんと管理し、売却賃貸する必要があるというイメージが市民の中に広がってきた。同時に、空き家に対する周辺の目も厳しくなった。きちんと管理しなければ、いけないという市民の意識づけになった（行政の役割は、この点をＰＲすることになる（もちろん、あおるのではなく、理路整然とである））。
２．国土交通省の調査では、使える空き家は、４８万戸あるということである。壊さなければいけない空き家は、膨大になる。ここがビジネスチャンスの源になる。
３．企業やＮＰＯが安価で空き家の管理業務に参入している。
・ボランティア的に活動するグループもあるが、ビジネスとすると、安い値段で管理することで優良な物件をつなぎとめる（信頼を獲得する）ことがメインとなる（管理業務自体では、ほとんど儲からない）。
・この家を売買するときで、販売手数料が発生するが、ここが一番のビジネスチャンスなのだろう。そのほか、賃貸で稼ぐ（民泊などもある）、補修修繕事業、ＤＩＹなどもあり、さまざまな業界が参入する素地となっている。
・会社によっては、優良な空き家（マンション・邸宅）だけを空き家の管理で囲い込むところもある（大和ハウス）。安い費用で手厚い管理を行い（信頼を獲得して）、大きな修繕費用や売買の時の手数料で利益を出すことを考えているのだろう。
・ＮＰＯが行う場合は、きめ細かな相談、高齢者の見守りなどとセットで行っている。ＮＰＯの場合は、行政のバックアップ（信頼の獲得）と専門家たちとの連携を作ることが必要になる（相談内容が多様になるため）。
・ＮＰＯのビジネスモデルも基本は企業と同じで、実はＮＰＯを運営する人が、別に不動産会社を経営しているなどによって、つなぎとめた信頼をよりどころに、中古物件の販売を仲介する（協力メンバーもほかの事業をやっている）。
・従って空き家ビジネスモデルでポイントなるのは、どれだけ優良な中古住宅を囲い込めるかになる。行政が運営する空き家バンクを受託したり、あるいは連携する。自ら空き家バンクを創設するなどがある。大事なのはスケールメリットで（数が多ければ優良な物件もある）、一市町村だけでなく、県内全体くらいの規模でできるのが最も好ましいということになるだろう。ここでも自治体間の連携が必要になる（ただし、意見交換の中では、全体に入ると飲み込まれてしまって、自分の自治体の強みが活かせないので、あえて連携しないという自治体もあった）。
・ＮＰＯも手を付けない地域というのもあるだろう。この場合の仕組みとしては、地域コミュニティ協議会や地域自治区で、有償ボランティアとして事業化することも考えられるだろう。今回は、議論にならなかったが、この点は、近年の私の関心事でもある、
この研修は、半日ずつではあるが、合計2日間にわたるので、今回は、連れ合いと出かけた。一人ならば、適当に泊まるが、連れ合いと一緒なので、琵琶湖ホテルに泊まった。ここは琵琶湖に面した大きなお風呂があって、気持ちがよい。しばらくぶりに泊まったが、改装されて、さらにセンスが良くなった。コストパフォーマンスがとてもよいホテルだと思う。
