松下啓一 自治・政策・まちづくり

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3.政策実施論を考える際の仮説

2025-03-12 | 政策実施論

政策実施論を考える際の仮説である。

政策実施論は、なぜ政策が実施過程において変容するのかという問題意識である。
これについては、大別して、トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチがある。ちなみに、第一線職員に注目するストリートレベルの官僚制の理論があるが、地方自治では、ボトムアップ・アプローチに含まれると考えてよいだろう。

(1)トップダウン・アプローチでは、政策が実施過程において変容する原因は、政策設計者にあると考える。
すなわち、政策設計者が、動く政策とつくれなかったり、政策の運用段階で、実施機関を十分に制御できなかったりすることが原因と考える。その結果、政策が実施過程で変容すると考えるのである。
これは私の体験では、戸田市の自治基本条例があるだろう。条例ができて、企画部から市民部に担当替えがあったが、市民部は、それまでの蓄積をうまく引き継げなかった。

(2)ボトムアップ・アプローチは、政策は実施過程に関与する実施部門のアクターの影響を受けて変容していくと考えるものである。
 現場で、政策内容を詰めていく作業は、いわば新たな政策をつくると同じような作業が必要で、現場であるがゆえに、担当者の力量や首長、地方議員、自治体職員、関係団体、市民といった諸アクターの影轡を受けながら、政策を創り上げる(変容)ていくことになる。
 私の体験では空き家問題である。自治体間でその進捗度に大きな違いがあるが、それはボトムアップレベルでの政策力の違いに起因するのではないか。

(3)実は、もうひとつ、自治体の場合、ネットワークアプローチが重要ではないかと思っている。
 市民協働型の政策実施に関するもので、これは今までの政策実施論では論じられていない。従来の行政学のアプローチでは出て来ないし、その解析は、トップダウンやボトムアップでは通用しないと思う。協働論から論じると、もうひとつの政策実施論が提示できるかもしれない。

 

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