松下啓一 自治・政策・まちづくり

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自治体NPO政策の視野

2005-09-18 | 4.政策現場の舞台裏
 NPOへの期待と現実の間にはギャップがある。
 このギャップを、ただ放置しておくだけで、自然に解決するものではない。このギャップを埋めるものとして政策の出番がある。これがNPO政策である。
 このNPO政策のなかで基本となるのが、特定非営利活動促進法(NPO法)の制定である。これはNPOに法人格を付与することで、NPOの自立・活動を促進する政策である。しかし、法人格の付与だけで、NPOが抱えている課題の解決にはならない。なぜならば、法人格を取得したからといって、寄附が増え、融資が受けられるということにはならないからである。
 そこで、それ以外のNPO政策が必要になる。
 こうした自治体NPO政策の立案に当たって、注意すべき点をひとつ指摘しておこう。
 このNPO政策は、公共社会のあり方を変えるものであるから、その主体は政府だけなく、他の公共社会の担い手である企業、市民・NPOもNPO政策の主体である。これらの主体が参加、協働してはじめて豊かな公共社会は実現できることになる。
 また、この政策の立案にあたっては、その対象や範囲をNPOだけに狭く限定して考えないで欲しいということである。なぜならば、自治体とNPOとのルールや関係が変わるということは、既存の団体(町内会・自治会、福祉団体等)や議会とのルールや関係も変わるということである。これは政策の射程距離の問題であるが、公共社会そのものを変えていくという視野を持って、この政策に取り組んで欲しいからである。
 おそらく21世紀の自治の帰趨を決するのは、大きな視野を持ちつつ、潜在している課題を転換させて、現場で具体化していく政策力だと思う。全国の自治体で、こうした取組みが積み重なることを期待したい。
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