松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆政権の変わり目と政策(三浦半島)

2019-06-22 | 4.政策現場の舞台裏

 時々、市長が変わる。現市長と対立する新市長が生まれたとき、政策マンはどうするか。

 自治体の政策は、やや大げさに言えば、市長が誰にやっても、やることは決まっている。ほんの数パーセント、特徴が出るが、やるべき政策、やらなければいけない政策は、基本的に同じという意味である。

 ただ、それをどう実現できるかは、誰が市長になるかによって、大きく違ってくる。展望力、実行力、とりわけ職員や市民をどれだけやる気を引き出せるかで、そのあとが、大きく違ってくる。

 だれがやっても基本は同じ政策となると思うが、選挙は、戦いのなので、相手に勝つことが必要になる。特に挑戦者は、対立軸を出さないとなかなか選挙に勝てない。その勢いで、現市長が、あえて、これまでやってきた政策を否定することもある。

 また、当選した後も、新市長は、前市長の政策をことごとく否定するという行動に出やすい。なぜか。これは市長や議員は、何のために市長や議員をやるのかという政治学のイロハに戻る。

 政治学では、市長は、再選されるために市長をやる(政策をやる)というのが、答えである。市民を幸せにしたいという答えを期待したいが、市長にならなかったら、やりたいと思っても何もできない。ともかく市長にならなければならない。政治学はさすがである。

 ということは、今回は選挙に勝ったが、前市長が、次の選挙のとき、対抗馬になって出てくるかもしれない。だから、前市長の政策は、本当は、よいと思っても、良かったなどとは言えず、あえて否定し、あるいはうやむやにするという行動となる。

 市長が変わるたびに、そして市長のそんな思惑で、これまで積み上げてきた政策が泣きを見るようでは、政策マンとしては、たまったものではない。そこで、政策形式を条例として、市長の一存だけでは変えられないようにするというのが、最近では、良く知られるようになった一つの知恵である。

 自治基本条例も、そんな浮沈を受けやすい条例である。実際、前市長の肝いりで作られた自治基本条例を新市長になって、霧散してしまったという例もある。そうならないようにし、また新市長が、この条例を容認し、ファンになり、さらには推進方に回るために、政策マンは、奮闘することにになる。

 A市で、自治基本条例が検討され、次は、条例提案というときに、市長が変わった。民主党から自民党への転換で、その当時の雰囲気では、このままでは、全否定となる。どうするか。

 この場合、A市の担当者だけで、市長を説得しようとしてもリスクは大きい。力関係もあるし、来たばかりの市長は、職員になめられたくはないだろう。

 市長や議員の弱みは、何か。それは市民である。後援者にそっぽを向かれても困るし、福祉や環境の現場で、まちのために、地道に働いている市民に、がっかりされては困る。ともかく、市長の行動基準は、再選である。こうした人たちにファンになってもらうか、反対にがっかりされるかで、いずれどこかで再選に響いてくるかもしれない。

 そこで、政策マンが行うのは、市長さんと自治基本条例をつくった市民の人たちとの会合をつくることである。この人たちが、自らの言葉と思いで、自治基本条例の意義を語り、これから作ろうという町の未来を語ってくれれば、市長さんの気持ちは、傾くのが普通だろう。

 この場合、自治基本条例の意義を語る市民は、地元の有力者、地道にまちのために活動している人であることが必要条件である。ということは、市民委員の選び方から、先を考えて選ばなければいけないということである。

 これが政権交代時の協働型政策マンの行動パターンの一つである。

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