松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆市民による自治基本条例検討-条例づくりは餃子作り・22年度(上田市)

2010-06-14 | 3.プロジェクト
(2010.6.13)
 自治基本条例検討委員会の中間報告が出て、これから、タウンミーティングを行うことになった。その第一回目を上田市民でつくる、うえだ百勇士会の勉強会のなかで行うことになった。会場は、真田町。今は合併して上田市になった。
 検討委員会のメンバーは、見知った人が多く、参加者も去年からの人も多かった。懐かしかった。議員さんもたくさん参加したが、これが上田の特徴だろう。
 この市民会議の進め方は、まず市民憲章の朗読から入る。作ったら作りっぱなしにせずに、せっかく作った市民憲章を大事にしようということで、この会議の前には朗読するようになるようになった。それが波及して、早晩、市の会議等でも朗読されるようになるのだろう。
 この会議の特徴は、朝から夕方まで、ぶっ続けで話し合いを続けること。今回も10時から始まり、夕方の4時過ぎまで休みなしの会議となった。長丁場であるから、途中帰る人、用事を済ましてまた来る人、午後からの参加など、人それぞれに暮らしぶりにあわせた対応で、その自由さがよい。昼休みがないので、お昼を食べながらの会議となるが、今回は、ノリをたっぷり巻いた黒おにぎりと豚汁。私は豚汁をお変わりした。
 今回も多くのことを学んだが、初めて参加した方から、「田んぼのなかにいる人でも分かるように」というフレーズは心に残った。畑仕事をしながら、地道に地域のことを行っている人の発言だけに説得力がある。はにかみながらの発言は、なおさら説得力がある。日本の市民の層の厚さをあちこちで実感するが、今回もまた感じることになった。
 11月には、大学祭があり、今年も上田から来てもらおうと思っている。相模原市民に上田の魅力をおおいに紹介したいと思う。


(追記)
 4回目の終了後、カラオケでIさんが歌っていた「風に立つライオン」(さだまさし)がとてもよかったので、早速、アマゾンで買った。結果は残念。さだまさしより、Iさんの歌のほうがずっとよかったからである。この歌は、人生を変えようと決意した人でないと、歌えないのだろう(聞き手も同じかもしれない)。上田では、いい人たちと知り合いになった。

(2009年9月20日)
 市民による自治基本条例勉強会の第4回目(最終回)があった。今回のテーマは「市民と議員の対話」である。上田市議会の議員さんが、たくさん参加したが、最後を飾るいい検討会になった。
 議員というとすぐ定員削減の問題となる。無論、そこには現状に対する市民側の不満(議員側の問題)もあるが、これだけさまざまな地域課題が起こっている中で、定員削減が本当に問題解決の方法となるだろうかというのが私の問題意識である。
 ワークショップでは、地方議員にも公設秘書をという意見が出た。議員さんがまちのために働いてくれるならば、そのためには、税金を使ってもいいという意見である。実現可能性はともかく、こうした意見が出るのは、このワークショップのように、水平の関係で市民と議員が対話したからである。もし、議員さんが参加していなかったら、どういう結論になっていただろうか。
 議員問題を解決する最大の処方箋は、「市民と議員の対話である」。これをルール化して、議会が終わった後には、議員さんは手分けして、各地に散らばり、対話をすることである。自分の支持者以外のところに行って話すのだから、勉強しなければならない。議会で自分が何を考え、どう行動したのかが問われることになる。そうした変化が信頼の回復につながると思う。対話集会では、今回やったようなポストイットやさまざまな技術を使って、ワークショップをすればいい。
 二元代表制とは、議員は市民を代表していること、つまり市民とつながっていることである。困ったときだからこそ、原則に戻ることだと思う。
 この市民勉強会は、すべて朝から夕方まで、休みなしである。お昼ごはんを食べながらの勉強会である(今回はカレー)。今回は、議員さんが手作りのお新香、自家製の野菜(トマト)をもってきてくれた。とてもおいしく、もう一度、取りに行こうと思ったら、あっという間になくなっていた。議員さんが入る勉強会も珍しいが、こうした手作り料理の差し入れは、もっとめずらしい。6、7年ほど前にも、上田でシンポジュームがあったとき、市民のつくった地元料理をいただいたが、これもおいしかった。
 今後は、第二段に向けて市民の活動になる。まちづくりは、電車道一直線ということはない。潮の満ち干きと同じで、戻ることもあるが、少しずつ前に押し出ていくものである。あせらず、楽しみながらやってもらいたい。
 今回も最後は餃子作りであった。議員さんも交えてみんなで餃子を作った。「条例づくりは餃子作りである」。

(2009年9月6日)
 今回、報告すべきは2点である。
 第一は、この会議の最初に、「市民憲章」を読むようになったことである。市民憲章を持つ自治体は多いが、ほとんどは、つくりっぱなしになっている。最近、「政策ブーム」の影で、「つくったら、実践する」という基本が、あいまいになりがちであるが、政策の原点に戻る試みは気持ちがよい。なにより、市民憲章にはいいことが書いてある。「上田市民であることに誇りと責任を持ち」と書いてあるが、それこそが、まさに、自治基本条例で目指そうとしていることではないか(一宮市から伝授された唱和方法をお知らせしたが、上田百勇士会方式をあみ出した模様である)。
 第二は、議論の質である。自治基本条例で、市民会議のおける議論の質を測るバロメーターが、「住民投票」をめぐる議論である。教条的になり、感情的な住民投票論になり、市民の暮らしとは遠いものとなる場合も多い。
 今回の市民会議では、この住民投票を取り上げたが、議論の焦点が、住民投票のハードルの低さではなく(16歳や外国人など)、テーマについて市民自身が正確に判断し、市民同士で議論ができるようにするにはどうしたらよいのか、その条件に議論が集中したのは、とてもよい。
 こうした議論をリードしているひとりが、1回目から参加しているIさんである。Iさんは、定年退職後、上田に戻ってきたということであるが、会社で鍛えた仕事力を市民会議に持ち込んで、議論の質を高めるのに大いに寄与している。一度、Iさんとカラオケをやったが、サラリーマンらしい、気配りの選曲と参加者を盛り上げる歌詞の変更で、「なるほどサラリーマン」と合点したものだった。
 上田の市民会議は、あと1回。次回は、議員さんがたくさん参加する。次は、学生も連れて行こうと思う。

(2009年8月23日)
 第2回会議に出席した。朝8時16分の新幹線で行くと9時44分に上田に着く。あっという間である。今度は、学生たち(2年生2名、1年生3名)も参加した。
 市民の人たちとのワークショップは、学生にとっては、まさに「アウェーの気分」ということで、会議ではなかなか声が出なかったようだ。彼女たちが何よりも驚いたのが、上田のことを一生懸命考える市民がいて、お昼を食べながらも議論する人たちがいることである。「まちづくり」の意味を学ぶよい機会になったと思う(なお、お昼は、今回は真っ黒なおにぎり。おかずとして、横浜の出来立てのシュウマイを食べてもらった)。
 学生たちを温かく向かい入れてくれた上田の人たちの感謝したい。
 夕食は、落ち着いたイタリアンに連れて行ったもらった。食事もおいしかったが、ここでは、Ma氏とMo氏の掛け合いに、学生たちは楽しいときを過ごしたようだった。上田市民は、まじめだけでなく、面白い、濃いいという印象を持ったようだ。高台の宿に泊まったが、私はふすまが怖かった。
 翌日も盛りだくさんで、夏休みの思い出を作ることができたように思う(ご配慮いただいた三好青海入道さんに感謝)。
 この結果を、2,3日で整理する予定であるが、学生たちはあっという間に、データを整理して送ってきた。参加した当事者という気持ちを持ったからだと思う。
 上田では、あと2回、会議があるが、学校行事と重なり、時間調整が難しい。また来年にでも、行く機会をつくって、再度、行くことにしようと思う。

(2009年7月)
 上田市で、市民が集まって自治基本条例を考える会が開かれている。前の記事にある、うえだ百勇士会のSさん(三好青海入道)が主催する会議である。まちの運営ルールを市民自身で考えようという企てで、全4回が予定されている。最初の会議が日曜日に開かれた。
 愛知県一宮市で自治基本条例検討委員会があり、それを終えて上田に向かった。東京経由の新幹線の乗り継ぎルートもあるが、今回は中央線経由で行った。日が長いので、寝覚ノ床など、車窓の景色がきれいだった。
 会議は翌日、朝10時から。30人近くが集まった。この会議の特徴は、お昼をみんなで食べながら、話をすることである。お昼はカレーライス。カレーを頬張りながら、大いに論じた。終わりは夕方の4時。今度は、みんなで餃子を作りながら、そして作った餃子を食べながら、ビールを飲みながら、みんなで話をした。協働事業は、一緒に食事をするというのが本道であるが、その本質をついた運営になっている。
 この会議では、私のほうが学んだ点が多かった。
 会議の途中で、「おとうさんの食事をつくってくる」と、会議を中座したお母さんがいた。市民運動というと、前向き一直線という傾向があるが、こういった軽さは、とてもいい。
 地方の豊かさにもふれた。新聞販売が家業という若者が参加したが、彼は新聞販売という仕事は、「文化を育て、文化を伝える仕事」といっていた。都会では、新聞販売は、新聞以外の「洗剤」で売ろうとするが、こうした矜持を持っているのがすがすがしかった。要するに、仕事というのは、どうにでも変わる。市民が洗剤を求めれば、そういう仕事になり、文化を求めれば、そういう仕事になる。要するに、市民自身の自律性、矜持、心意気、そういった市民性が今、問われており、そうした市民を育むのが自治基本条例だと、改めて思った。
 餃子の会が終わると、今度はカラオケの会になった。大学に移ってからは、カラオケを歌うことはほとんどなくなったが、結局、ヘタな歌を歌うことになった。都合、12時間近く、一緒にいたことになる。おそるべし信州上田である。
 そのほか、今回の旅では、何人かの魅力的な人に出会った。それは次の機会としよう。
 次回は、学生を連れてくることにした。サガジョ6名で上田に乗り込むことにした。乞ご期待。
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