松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆はじめての条例づくり㉖制定後の活動から逆算して条例をつくる

2020-09-19 | はじめての条例づくり
 制定後、この条例で何をやるかから逆算して条例の検討を行うというのが条例づくりのイロハである。それによって条例のつくり方が違ってくる。

 自治体の政策の多くは、役所だけでは動かない。条例も、市民や関係者が当事者となって活動しないと条例内容が実現できないものが大半である。

 市民や関係者に当事者となってもらわなければいけないのに、役所が一部の専門家の意見を聞いて決めてしまって、このように決まったから、やってくださいといっても、当事者感がないなら、なかなかやる気にならない。

 ということは、検討の最初から、市民や関係者を巻き込んで、当事者となるように考えていくことが基本のスタンスとなる。そして、市民や関係者が当事者となる方式は、できる限り重層的な方がいい。

 検討委員会に、関係者を入れるのは、その方法のひとつで、どこでも行われているが、実際に、検討委員会に入れるのは、ほんの一部なので不十分である。検討過程のなかで、さまざまな参加の手段を講じることが必要になる。

 これは、自治基本条例の検討のなかで、学び、開発してきたものである。流山のお出かけ方式は、ものすごかったが、その改良型を、小田原、新城、焼津、戸田などで、そのまちにあった方式を行ってきた。それを身につけた新城市では、若者政策や公開政策討論会など、独自の政策にさらに発展させてきた。

 条例制定後、ランドマーク的な活動を行うというのも、条例制定後の目標のひとつである。

 新城市の市民まちづくり集会は、その例で、実際、その担い手は、当初の条例づくりのメンバーで、それが順次、引き継がれている。特に、女性会議や地域協議会のメンバーが、新たな担い手になっているのは参考になる。焼津では、このとき一緒に考えた市民メンバーが、焼津市らしいまちづくり市民集会を行ってきた。焼津では、コロナ禍ではあるが、この文化をつなごうということで、ソーシャルディスタンス型のまちづくり市民集会を模索している。

 条例制定前には、こうしたフォーラムを行い、その担い手は、市民・関係者というのがひとつの目標である。

 それがひとつの目標だとすると、条例制定前に行うフォーラムの時から、制定後のフォーラムを考えて制度設計・運用をすることが必要になる。これを頭に入れて、最初のフォーラムを考えるということである。

 私は、最初のフォーラムは、人探しだと思っている。やる気がある人に参加してもらう工夫、やる気がありそうな人にアプローチする手法等を考え、ちりばめていかなければならない。計算づくで、嫌な感じがするかもしれないが、そこまで計算して事業を始めなければいけないということである。

 もう一度まとめると、条例は、制定後の運用を考えて、そこから逆算して、検討を始めるということである。



 
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