松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆はじめての条例づくり㉗アンケートの意味

2020-09-19 | はじめての条例づくり
 コロナ禍でフォーラムができなくなり、アンケートに代替する動きが目立っている。

 聞かれると、私は、賛成できないと答えている。わざわざ聞かなくたって、答えは、分かっているのではないか。あるいは、予算消化みたいなことはやらずに、この際、リモートでやってみるなど、災い転じて福となす試みをやった方が意味があると思うからである。

 条例づくりでアンケートを行うことが多いが、これも同じ問題を抱えている。聞かなくても分かっていたら、わざわざ、お金と時間を使って、アンケートをする必要がないと思うからである。すでに何らかの調査があるだろうから、それで代替できないか。

 そもそも、役所が市民の意見をわざわざ聞くのは、役所に自信がないときである。自らの政策を補強するため、ほら見ろ「市民もこう言っている」という材料としてアンケートを使うのが実践的なアンケート活用法である。

 そこから、時には、酷いアンケートも生まれてくる。

 1000円カットの床屋さん規制を裏付けるために県民アンケートをやった県があった。1000円カットの床屋規制とは、髪洗い場がない床屋さんは、今後、作ってはいけないという条例である。なんでと思うが、全国で、続々と出来ている。

 この条例は、もともとは、既存の床屋さん保護のための条例であるが、床屋さんの既得権を守るためとは表立って言えないために、いろいろ理由をつけるが、結局、いい理由が見つからないため、市民の声ということで、市民アンケートを行う。つまり役所に自信がないとき、そのサポートのために条例をつくる。

 その際のアンケートは、ひどいものがある。QBハウスを見たことがない地方で、「床屋さんには、紙洗い場があった方がいいですか」と聞く。市民は、QBハウスまで、思い至らないから、YESと答える。「市民は、髪洗い場付きの床屋さんを望んでいる」という理由とされる。

 もし、[QBハウスというのがあって、1000円で10分で、髪を洗わずに、髪をカットするだけの形態の床屋さんがすでにたくさんあり、こういう形態の床屋さんもあっていいと思いますか」と聞いたら、みんなYESである。

 アンケートは、役所に自信がない時に行うもので、そんなことをしないでも済むように、常に市民ニーズを把握しているように努めるのが、役所の仕事である。

 ただ、条例づくりでは、アンケートは「定番」になっているので、やらないと収まりが悪いという場合もある。その場合は、やってもよいが、極力、時間とお金を使わない方法を考える必要がある。
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