松下啓一 自治・政策・まちづくり

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☆市民がつくる自治の文化-自治基本条例(焼津市)

2012-07-28 | 1.研究活動
 焼津市では、市民が街に出て、自治基本条例の意義を考えている。
 自治基本条例は、単なる条文づくりではない。また強要性を基本とする法の枠を超えている条例なのでその意味でも条文づくりが主眼ではない。18世のままに住民自治を役所をコントロールすることと考えていては、この条例をつくる意味が半分も理解できないないだろう。自治基本条例は、そもそも自治とは何かを問い直す条例でもある。簡単に言うと、自治基本条例は、自治の文化をつくる条例である。
 自治の文化をつくる条例なので、つくり方も変わってくる。役所や議会だけではつくれない。市民も参加してつくることになる。その方法は、まだまだ確立していないが、これも自治体全体で獲得していくことになるだろう。
 この日は、焼津市の旧大井川町で、市民会議のメンバーによるPI活動が行われた。
 感心したのはPPTの資料。市民目線で、なぜ、自治基本条例をつくるのかが説明されていた。私も借用したい。今回は参加者が少ないのは残念であるが、自治の文化づくりなので、少しずつ増やしていけばいいのだろう。会場でも言ったが、成功体験が必要で、この方式がうまくいけば、それが自信になって、次の条例や制度づくりの際に、また試みられ、さらに自信が積み重なっていくだろう。
 会場から、前向きの提案型の意見がたくさん出た。前に出ると、ついつい、説明調や抗弁調になりがちであるが、市民の思いを聴くのが大事なことである。これまでは、それが十分でなかったから、市民はしらけ、あるいは要求になってしまった。今回も、そのやりとりのなかで、市民からの意見ややり取りで、市民会議のメンバーも育てられていくということが、実感できた。
 市民から、市民会議の検討のなかで、家庭や家族の問題をどのように考えているのかという質問もあった。こんな家族に踏み込んだ質問は、役所が主催する会議では出ないし、出たとしても無視されてしまうだろう。しかし、ここは市民の集まりである。市民が大事だと思えば、大いに議論すればよいと思う。条例には書ききれないことかもしれないが、条例に書くことだけが大事なわけではない。そこから、自治とは何かが見えてくると思う。知らず知らずのうちに、枠やタガをはめがちであるが、私にも、目からうろこで、勉強になった。
 焼津は近く、新横浜から、ひかりにのれば40~50分である。静岡からも10分程度なので、気楽に行ける。夜7時からの集まりであったので、夕方出かければ楽々間に合う。少し早めに、焼津について、駅前のみさきで、いつものように蕎麦を食べた。すると、おじさんが、首にむち打ち症用の首輪をしていたので、「どうしたの」と聞いたら、「借金で首が回らなくなった」とのこと。「力が入らず、そばが不ぞろいで申し訳ない」と言っていたが、私は食通でも蕎麦評論家でもなく、心意気でお店に通うタイプなので、全く気にしていない。
 旧大井川町は、オールド焼津とは、趣を異にしたまちで、西は大井川に面している。今度は早めに来て、ゆっくり見てみようと思う。
 帰りは藤枝から帰ったが、なんと藤枝の賑やかなことに驚いた。旧東海道から外れた駅の南側が再開発でしゃれた街になっていた。焼津からも、買い物等でこちらに流れてきているとのことである。会場から、藤枝市との連携という話が出ていたが、行ってみて、その意味が実感できた。やはり私たちの仕事が、現場あってのことである。
 焼津には夕方やってきて、その日のうちに帰ったので、焼津に与えた経済効果は今回も皆無に近かった。
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