
分権、協働時代の公務員像が大きく変わってくる。
その採用方法も、これまでとは大きく違ってくるだろう。分権以前ならば、国の機関である自治体職員は、国の職員と同じような職員が期待され、その採用方法も国と同じようにしていればよい。実際、ほとんどの自治体は、今でも相変わらず、国と同じような採用試験を行っている。
その結果、勉強はできるが、市民との協働ができない職員が職場に入ってきて、地方自治の現場ニーズとのミスマッチが起こる。それは市民にとっても、役所にとっても幸福なことではない。
そのためには採用試験を変えるべきだと言い続けているが、それに先駆的に取り組んでいるのが茅ヶ崎市である。茅ヶ崎市では、難しい公務員試験の勉強は無用と銘打っている。一般企業の会社説明会に混じって説明も行っている。そのやり方は、次のようである。
まず、最初はエントリーシートのよる選抜である。試験当日、茅ヶ崎市で何をやりたいか、自分はこれまで何をやってきたのかをA3で1枚程度のエントリーシートに1時間くらいで書く。この段階で、相当絞り込まれるので、通り一辺の記述では通らない。実際に茅ヶ崎の街を歩き、総合計画を読むことが条件になる。そののち、3度の面接があるということで、受験生の思いや人となりが、あらわになっていくのだろう。
実は、そんな茅ヶ崎市のやり方を学生に見てもらおうと、今週の授業に、茅ケ崎市の若手職員に来てもらってもらい、話をしてもらった。文化生涯学習課に勤める入庁4年目のKさんと、この4月に入ったばかりのIさんである。先輩後輩に関係になるが、お互いフォローし合って、穏やかに、にこやかに、学生たちに話す様子は、とても好感が持ている。二人とも茅ヶ崎市が好きで、仕事を大切にしている様子が、自然に学生たちに伝わってきて、その結果、学生たちもいっぺんに、茅ヶ崎市が好きになったようだ。シティセールスの時代であるが、変な広告を打つよりもずっと効果的である。
全国で、研修を行うが、茅ケ崎市の職員の特徴は、自ら積極的に、どんどん発表をするということである。合同研修をすると、その違いは顕著で、発表者は茅ヶ崎市ばかりとなる。
今回の授業にまつわっては、興味深いエピソードがある。実は、もうひとつ別の自治体にも、授業への参加をお願いしていた。これもシティセールスになり、若手職員の研修になるからと考えたためである。ところが、「相模女子大だけ行くのは、公平ではないので、申し訳ない」という丁重なお答え。ここは、従来型の試験制度の自治体であるが、確かに、自治体にとって公平さは重要であるが、都市間競争の時代、チャンスをいかすという別の判断もあるように思う。
茅ヶ崎市のような職員採用方式を取った場合、難しくかつ大事だと思うのは、個性豊かな職員を束ね、それを全体の力にする理念と実践である。下手をするとバラバラになってしまう。
その理念となるのが自治基本条例であり、職員パワーを束ね、大きなエネルギーに変えるのが、首長の役割(リーダーシップ)が重要になる。管理職も安閑としていられない。個々の職場で、こうした職員を束ね、それぞれの持ち味を縦横に発揮させる管理職の役割も重要だろう。自治の経営力が問われるということだろう。
茅ヶ崎市で、平成22年に制定された自治基本条例を身につけるための研修会を何度も何度もやっているが、これは、そうした意味からなのだろう。
(その後)
私のゼミ生は、その後、茅ケ崎市の採用試験に受かった。2000人のエントリーで25人が合格だそうである。彼女が唯一受けた公務員試験で、本人自身は、記念受験といったつもりであったようであるが、Kさんたちのアドバイスや私のアドバイスをよく聞き、さっさと合格した。私は採用側の事情がよく分かるが、私が採用者なら、この娘は絶対採用する。実際、そうなった。
別のブログに様子が出ている。① ②
その採用方法も、これまでとは大きく違ってくるだろう。分権以前ならば、国の機関である自治体職員は、国の職員と同じような職員が期待され、その採用方法も国と同じようにしていればよい。実際、ほとんどの自治体は、今でも相変わらず、国と同じような採用試験を行っている。
その結果、勉強はできるが、市民との協働ができない職員が職場に入ってきて、地方自治の現場ニーズとのミスマッチが起こる。それは市民にとっても、役所にとっても幸福なことではない。
そのためには採用試験を変えるべきだと言い続けているが、それに先駆的に取り組んでいるのが茅ヶ崎市である。茅ヶ崎市では、難しい公務員試験の勉強は無用と銘打っている。一般企業の会社説明会に混じって説明も行っている。そのやり方は、次のようである。
まず、最初はエントリーシートのよる選抜である。試験当日、茅ヶ崎市で何をやりたいか、自分はこれまで何をやってきたのかをA3で1枚程度のエントリーシートに1時間くらいで書く。この段階で、相当絞り込まれるので、通り一辺の記述では通らない。実際に茅ヶ崎の街を歩き、総合計画を読むことが条件になる。そののち、3度の面接があるということで、受験生の思いや人となりが、あらわになっていくのだろう。
実は、そんな茅ヶ崎市のやり方を学生に見てもらおうと、今週の授業に、茅ケ崎市の若手職員に来てもらってもらい、話をしてもらった。文化生涯学習課に勤める入庁4年目のKさんと、この4月に入ったばかりのIさんである。先輩後輩に関係になるが、お互いフォローし合って、穏やかに、にこやかに、学生たちに話す様子は、とても好感が持ている。二人とも茅ヶ崎市が好きで、仕事を大切にしている様子が、自然に学生たちに伝わってきて、その結果、学生たちもいっぺんに、茅ヶ崎市が好きになったようだ。シティセールスの時代であるが、変な広告を打つよりもずっと効果的である。
全国で、研修を行うが、茅ケ崎市の職員の特徴は、自ら積極的に、どんどん発表をするということである。合同研修をすると、その違いは顕著で、発表者は茅ヶ崎市ばかりとなる。
今回の授業にまつわっては、興味深いエピソードがある。実は、もうひとつ別の自治体にも、授業への参加をお願いしていた。これもシティセールスになり、若手職員の研修になるからと考えたためである。ところが、「相模女子大だけ行くのは、公平ではないので、申し訳ない」という丁重なお答え。ここは、従来型の試験制度の自治体であるが、確かに、自治体にとって公平さは重要であるが、都市間競争の時代、チャンスをいかすという別の判断もあるように思う。
茅ヶ崎市のような職員採用方式を取った場合、難しくかつ大事だと思うのは、個性豊かな職員を束ね、それを全体の力にする理念と実践である。下手をするとバラバラになってしまう。
その理念となるのが自治基本条例であり、職員パワーを束ね、大きなエネルギーに変えるのが、首長の役割(リーダーシップ)が重要になる。管理職も安閑としていられない。個々の職場で、こうした職員を束ね、それぞれの持ち味を縦横に発揮させる管理職の役割も重要だろう。自治の経営力が問われるということだろう。
茅ヶ崎市で、平成22年に制定された自治基本条例を身につけるための研修会を何度も何度もやっているが、これは、そうした意味からなのだろう。
(その後)
私のゼミ生は、その後、茅ケ崎市の採用試験に受かった。2000人のエントリーで25人が合格だそうである。彼女が唯一受けた公務員試験で、本人自身は、記念受験といったつもりであったようであるが、Kさんたちのアドバイスや私のアドバイスをよく聞き、さっさと合格した。私は採用側の事情がよく分かるが、私が採用者なら、この娘は絶対採用する。実際、そうなった。
別のブログに様子が出ている。① ②