舛添知事の辞任については、我が家でも意見が分かれている。
舛添都知事の行状は、ずいぶんとケチくさいと思う。公費を使ってファーストクラスに乗り、スィートルームに泊まる。政治資金を使って、家族と旅行に行く。着物を買う。食事をする。本当にけじめがないし、ケチくさい。この点については、東京都知事ともあろう人が、こんなことをするのかという・・・という点では共通している。
意見が分かれるのは、寄ってたかってのバッシングと辞任である。
一方の意見は、いやしくも都民の代表である。そんな人が、こんな示しの悪い行いをしては、社会全体に悪影響を与える。何よりも子どもに与える影響がよくない。税金を私してよいという間違ったメッセージを与えるからである。公人としては、厳しく非難されて当然だし、十分辞任に値するという意見である。我が家の多数説であり、世間の大半の意見だと思う。
これに対して、私の意見は、第三者の目がいうように、不適切かもしれないが、違法とは言えないのなら、不適切なことを招来するルールを直し、以後は行いませんと行いを直せばよいではないか。これを機に、旧弊を改めることができれば、社会的には前進で、寄ってたかって、一人をやめさせるより、社会的にはプラスではないかというものである。
このように考えるのは、たかだか見解が違うにすぎないのに、針小棒大に「政治家として不適切」だといって不信任が起こるという体験を見てきたからでもある。たしかに個々の政策がまずいときもあるだろう。そのときは、その是非を大いに議論すればよい。どうしてもよくならなかったら、次の選挙で落とせばよい。私たちは、見解に違いを埋める努力をする余裕をなくしてしまったのではないかという思いがある。
ただ、残念ながら、私の意見は、我が家の賛同を得られない。むしろ、そこから派生して、「お父さんも、まさか舛添さんのようなことはやってたんじゃないでしょうね」という疑惑となって、私に飛び火してきた。
そう言われれば、たしかに、かつては、市役所でも、海外出張は、正規料金が出た。誰も航空券を正規料金で買う人はいないから、格安きっぷを買って、その差額で、出張の準備をし、相手方へのお土産を買った。海外出張が珍しかったころの話であるが、これも確かにケチくさい(きちんと正規料金で買うべきだったろうか)。
大きな会社の部長をやった友人は、会社の経費ならば、料亭に行くが、自分の費用の場合は、ファミレスだと言っていた。私はやらないが、税金対策、節税と言って、ケチくさいことをしている人もたくさんいるだろう。パナマ文書などは、その最たるものである。どれだけの人が、舛添さんを責められるのかというのが、私の思いの背景にある。
ところで、都知事の候補として、嵐の桜井翔さんのお父さんが上がっている(実は、嵐のメンバーのうち、私は誰が桜井さんかわからない)。本人は出ないといっているが、本心だと思う。本当に出たくないと思っているだろう。
まず第一に、仕事をしてきた人に、脛に傷がない人はいないからである。仕事をすればするほど、脛に傷ができる。ところが、舛添ケースからいえることは、都知事は、不適切な行為を含めて、根ほり、葉ほり、さらけ出されるということである。都知事時代とは別の昔の古傷をあぶりだされて、また、たまたまマックの割引券を使ったら、嵐の親父で事務次官なのに、意外とケチと書かれしまうだろう。
公人をいいことに、嵐のことも書かれるだろう。一番出てほしいと考えているのはマスコミだろう。他方、親父が傷つけば、息子もダメージを受ける。選挙で出ないでほしいと一番願っているのは、ジャニーズ事務所なのかもしれない。
ともかく言いたいのは、ニコニコ顔で握手しながら、見えない足元では、相手を踏みつけるのが政治の世界である。
当面の競争相手である中国では、何千、何万人の競争相手を権謀術策を講じ蹴落し、生き残ってきた人がリーダーである。何百億円も懐に入れても平然としている人たちである。そんな人たちと勝負していかなければならないときに、ケチくさいという判断基準が政治家の進退を決めるという風潮では、しかるべき政治家は、出てこれない。これが私の異議の根本にあるが、私のこの意見は、我が家では、ほとんど顧みられない。