カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

お洒落に作ってお洒落に食べる

2011年11月02日 | Food

以前読んだ本に、こんなことが書かれていた記憶が有ります。

 

意中の男性の心を射止める為に手料理を振る舞う場合、

注意しなくてはならないことは、初回から肉じゃがや、きんぴらごぼうと言った、

おふくろの味を前面に押し出す様なことをするのは控えた方がよろしい。

なぜならば、それでは家庭的な一面を見せつけることになり、

惹いては”あたしのゴールは結婚"と宣言することになるから。

まずは、簡単でお洒落なサラダなどの様なものを、

男性にも手伝わせながら作ると言った、対等な関係を示唆する様な一品が好ましい。

 

ポイントを要約致しますと、この様な意味合いだったかと思います。

サラダがお洒落な一品であるかどうかは別として、一理ありますな。

 

もはや私には、この様に人生を掛けたロマンチックなシチュエーションはございませんが、

全く別の状況下で、お洒落に作った方が良い場合はあるんです。

例えば、オペラなどシーズンチケットを保持している様なコンサートでは、

毎回同じ方と顔を合わせることが多々有り、それが親しい方ですと、

時にはそのまま我が家でお酒でも・・・とお誘いすることがございます。

最高の芸術を堪能した後であるのですから、

それに続く酒席で ” 肴は焙ったイカでいい~ ”と言う訳にも行かず、

さりとて料理人たる私自身も、出来る範囲でドレスアップをしている様な場合です。

 

既に夜も更けている上に、私だけ運動の出来る格好に着替えてキッチンに立つのも変。

冷蔵庫やパントリーに常備されている食材で、

ドレスアップした女が15分以内に作れるお洒落な肴。

わたくし、そんなメニューを何品か持っておりますので、その中から一品をご紹介。

 

急いでお料理をする場合、私がまずすることは器を選ぶことです。

それを目の前にコーディネートして並べることで、料理のイメージが明確になります。

今日は揃いでは有りませんがテイストの似た、大好きなペーパーシリーズの器を選びました。

お料理を乗せるお皿

二皿ぐらいに分けて、お皿の周りが混雑しないように。


パン皿

このように足付きです。

このが『ただのパン』を『有り難~いパン』に見せてくれます。


サーバー・レスト

お料理を取り分けるサーバー用のフォークには、

箸置きならぬサーバー・レストを添えると親切です。


この間に、バーテンダーが暖炉に火を入れて、カクテルなどを勧めてくれていますので、

私はそれほど焦る必要もございません。

 

それではお料理開始。

イタリアオペラの後のメニューですので、シェフオリジナルの一品から、

イワシとマッシュルームのイタリアン・ハーブソテー


材料は至ってシンプル。


イワシのトマト煮缶


キノコ、オリーブオイル


ニンニク、オリーブ、


バジル。


冷たいフライパンにオリーブオイルを入れ、みじん切りのガーリックを加えて点火。

低温からジワジワとガーリックの香りを立てます。


ガーリックがきつね色になり始めたら、キノコを投入。


キノコがしんなり致しましたら、イワシ缶を汁ごと入れてサッとほぐします。


塩こしょうで味を整え、バジルと刻んだオリーブを加えてすぐに火を止め、一混ぜ。


これで出来上がりです。


バゲットやチェバタブレッドなど、ハードタイプのパンを添えて。

パンの上にソテーを乗せて、頂きます。

このお料理はお酒を選びません。日本酒、ビール、赤・ロゼ・白ワイン、バーボン、テキーラ、

お酒を召し上がらない方はペリエにも、何でもござれなオールマイティーな一品です。

あーこちら、トマト煮のイワシでなくて、和風に味付けされた缶をお使いになりますと、

レシピや材料は全く変えずとも、白い御飯によく合うおかずになります。

仕上げに醤油を鍋肌から廻し入れ、七味などを振りますと、尚結構でございます。

 

暖炉がパチパチと音を立て始め、ガーリックとオリーブオイルのアロマが広がって、

部屋の空気が暖まってりますと、おしゃべりにも熱がこもって参ります。

さあ、明日のことは忘れて素敵なお話を続けましょう。

 

では