カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

クイック中華ランチ

2011年11月09日 | Food

ランチという言葉の響きが好きです。

暖かい陽の差し込むダイニングで、オープンエアーのテラスで・・・

太陽の光はお食事を何倍も美味しく感じさせてくれる気が致します。

本日のランチメニューは麻婆丼

30分で準備出来る、クイックランチです。

麻婆豆腐単体で頂くのではなく丼ものですので、乗せる具と御飯に統一感が欲しいところ。

そんな時に私は滑らかな絹ごし豆腐を使います。

最初にするべきは、お豆腐をペーパータオルに包んで脱水。

こうすることで滑らかな絹ごし豆腐でも扱い易くなります。

調味料。手前右側から、豆板醤、豆鼓ペースト、甜麺醤、オイスターソース、紹興酒

水戻しした干し椎茸ネギのみじん切り、豚ひき肉、ラー油、ごま油、花椒

 こちらはメンマのラー油漬けの瓶詰めです。椎茸と同じくらいの大きさに刻みます。

中華風和え物やスープに最適なので我が家の常備品。ザーサイでも代用出来ます。

 

冷たいフライパンにニンニク、ショウガのみじん切りとサラダオイルを入れて、点火。

香菜は全てそうですが、フライパンを熱してから加えるよりも、

じっくりと加熱して行くほうが、香りが立ちます。

中華の場合、この段階でごま油を使うレシピが多い気が致しますが、

基本、ごま油は加熱すると風味が飛んでしまうのと、

多量に使うとくどさが出るので、私は仕上げに使うのみで、それ以外はサラダオイルです。

香りが立ち、フライパンが充分に暖まりましたら、ひき肉をこのように平らにして乗せます。

ここで混ぜません。片面に有る程度焼きが入るまでいじらず放置。

ひっくり返すと、このようになっております。裏側も同じように放置。

両面の色が変わったら、ここで初めて木べらで荒くほぐし始めます。

パラパラとした食感重視の鶏そぼろでも作るのではない限り、

私のひき肉の処理はこのような方法です。

あわててバラバラにほぐそうとすると、かき混ぜる度にフライパンの表面温度が下がり、

全ての肉の表面から水分が出て来て、旨味は全て流れ出してしまいます。

所々固まり感を残した食感がお嫌でなければ、味は断然こちらの方がよろしいと思います。

ネギと椎茸を加えて、ひき肉に完全に火が通るまで引き続き炒めます。

フライパンの片隅を空けて、豆板醤、豆鼓ペースト、甜麺醤を乗せて焼き付けます。

これらの調味料は、焼き付けると辛みも香りも色も増しますので、大切な行程。

焦げ始める直前まで待ってから混ぜ合わせます。

とても鮮やかな色でしょ?最初から具材に混ぜ込むと、この色が出ないのです。

ここに椎茸の戻し汁を1カップ程、紹興酒、花椒を入れ、

沸騰しましたらオイスターソースを加えて味を整えます。

そこにお豆腐をこのように一丁丸ごと切らずに乗せます。

絹ごし豆腐でありながら、脱水作用でとてもしっかりと締まっています。

そのお豆腐を木べらで荒く大きめにほぐします。

こうすることで包丁で切った時よりも断面が凸凹しますので、

調味料とも味馴染みが良いです。

お豆腐が暖まりましたら、水溶き片栗粉を加えてトロミを付けます。


最後に、メンマのラー油付けを加えてひと混ぜ。火を止めます。

最後の最後でごま油の登場です。

香り付けですから、少量を廻しかけるだけです。

ご家族に食の細いお年寄りや、胸焼けし易い方などが居られる皆様は特に、

ごま油はこのような使い方をお試し頂きたいと思います。

胃腸などが弱っておりますと、ごま油はキャノーラオイルなどと比べて、

胸焼けの原因になることが有るのです。

少量なら食欲を増進してくれる、栄養価の高い油ですので、上手に使いたいものです。

さ、出来上がりです。

炊きたてのジャスミンライスの上にたっぷり乗せて、召し上がれ

 

おまけ

 


The Next Day

 

麻婆豆腐は残しておいて、翌日のランチに変身して登場。

これね、ご存知の方も多いと思うのですが、麻婆カレー

ほんの一年程前、バーテンダーがインターネットで見つけて、

「何かのゲームに出て来る体力回復アイテムの料理なんだってよー!」

と教えてくれた、私にとっては未体験ゾーン。

麻婆豆腐とカレーのハーフ&ハーフです。

最初、えーっ と思いましたが、私は勇気があるので即作りました。

すご~く好み。今まで出会えなかったことを悔やむ程です。

以来、麻婆豆腐の翌日は麻婆カレーが我が家の暗黙のルールです。

この日は残り物の麻婆豆腐にレトルトの野菜カレーをミックス。

カレー風味の麻婆豆腐でも麻婆豆腐みたいなカレーでもなく、

完全無欠な麻婆カレー

未経験で勇気のある方は、是非是非お試しください。

 

では



  


風の強い日

2011年11月08日 | 王様

 

とても風の強い一日でした。

我が家の守り神、巨大な椰子の木もゴーゴーと音を立てて風になびいています。

ヘリコプターみたいに、このまま飛んで行ってしまいそうな程。

この時期、こんな風に風が吹き荒れることがよく有ります。

雲は全部吹き飛ばされて、夏の青空よりもずっとずっと高い真っ青な空。

一見さわやかな景色に見えますが、空気はとってーも乾燥していて、

残念ながら快適とはほど遠いデス。


午後になって少し風も治まったので、玄関を開けて様子を見ると・・・・



プールもこの有様です。

せっかく午前中プール掃除のお兄さんが来てくれてたのに・・・・・


んも~っ!早くドアを閉めて下さいなっ!風が吹き込みますからっ!

 

強い風が嫌いな王様、こういう日の機嫌はよろしくないです。

外では色んなものが風で吹き飛ばされ、聞き慣れない音が聞こえて、

全然お昼寝出来なかったり、

乾燥で毛皮に静電気が起きているらしく、突然しっぽめがけて一回転したり、

変な格好で飛び上がったりして。

見ている私は面白いんですけどね。


今夜から、気温がグッと下がるらしい。


そんな夜には、暖炉。

うん、今夜は暖炉に火を入れさせよう。

前の年にバーテンダーが庭から切り出した木を乾燥させた薪を、週末出して来たばかり。

写真は家の周りを取り囲んでいる百日紅の枝です。

時々オレンジやレモンの枝も混じるのですが、燃やすと柑橘系のとーっても良い香り。

王様ーっ!

なにっ?

機嫌悪いよね?


べつに・・・



ほら、やっぱり機嫌悪いじゃん。

明日になれば、風は止むって、天気予報で言ってたよ。

・・・・・・

今夜は暖炉に火を点けようよ。

だんろ????



え~と、だんろってなんだっけ?



あっ、おもいだした!


 

はやくよるにな~れ

 

こんやはだんろのまえで、ねるんだ。

 

 あ~あ、明日は朝から庭掃除でございますー。

 

では


 

 


マッシュルーム&コーンチャウダー

2011年11月07日 | Food

これからの季節、我が家の食卓にはサラダに変わってスープの登場回数が増えて参ります。

生の野菜は身体を冷やしてくれますので、暑い季節には嬉しいものですが、

食によって冷やされた身体は、芯から暖まるまでに時間がかかります。

ですので沢山のお野菜を一皿で摂ることの出来るスープは寒い季節には嬉しいお料理です。

本日は旬の茸の旨味を活かした、マッシュルームとコーンのチャウダーをご紹介。

 

ダイスにカットしたジャガイモは水にさらして灰汁を抜きます。

マッシュルーム色々、今回はエリンギ、生椎茸、ホワイトマッシュルームを使います。

タマネギのみじん切り、コーン、ブロッコリー。

煮込み用の鍋に少量のオリーブオイルバターを熱して、キノコとタマネギを炒めます。

茸とタマネギを入れるや否や塩を少量加えます。これで脱水作用が増します。

この場合、サッと炒めるのではなく、中火でひたすら延々と炒める必要があります。

こんなに沢山のキノコが・・・・・

これくらいになるまでです。ここまで余裕で20分。

これはイタリアンでよく使われる技法ですが、

キノコの食感を楽しむ為のものではなく、

キノコの水分を完全に抜き切ることで、キノコの持つ土の香りを引き出すものです。

時間はかかりますが、本当に味わい深く、時間を掛けて損のない行程です。

そこに小麦粉を投入。仕上がりはサラッとしたスープですが、滑らかさを出したいので使用。

今回はホワイトソースなどを別に作る必要は有りません。

火を少し弱めて、小麦粉の粉っぽさが無くなるまで、

鍋を木べらで擦るようにしながら炒めます。

ここに冷たいミルクを一気に流し込みます。

もたもたしておりますと小麦粉がダマになってしまいますので手早くお願いします。

どんなミルクでも構いませんが、私は低脂肪のものを使います。

これは脂肪分を気にするというより、牛乳を沸騰させた時に出る臭みが少ないからです。

このミルクを生クリーム少々に変えまして、塩こしょうで味を整えますと、

すばらしいパスタソースになります。

特にマッシュルーム・ラビオリのソースとしてイチオシ。

パスタ好きな私はいつもこの段階で心が乱れますが、今日はスープじゃ。

ミルクが温まりましたら水を切ったジャガイモ、コーン、ブロッコリーを一度に加えます。

ブロッコリーは別茹でして色鮮やかに使う方法も有りますが、

このスープでは、充分に柔らかく、溶けてしまう程煮込んだ方が、

ブロッコリーの青臭さが消えて、まろやかになります。


お気づきかと思いますが、私はここまで最初にキノコを炒める為に少量の塩をしただけで、

塩分を全く加えていませんし、今後も加えません。加える必要がないのです。

お料理番組などを見ておりますと、何かにつけて中華スープのもと

洋風スープのもとなどが材料に挙げられてれておりますが、

このもとという部分が実は料理のキモでございまして、

この一番大切な部分を他人の作った味で仕上げてしまうのは、私は不本意です。

そんなことをしなくても、食材にはそれぞれの旨味がございますので、

そのような市販品を使うことは極力致しません。

私は決してアンチ・インスタント食品派ではありませんが、

せっかく手間をかけて作る家庭料理の仕上げを、

大手メーカーの既製品に任せたくないと思う次第です。

確かにそれらは料理にコクを加えてくれるものでは有りますが、

コクを加える役割は、別の食材にも出来ることが多いのです。

今回はそれがこちら。

ブリー・チーズです。外側の堅い部分を取り除いたものを4片程。

あくまでもコク出しの為ですので、入っていることが判らない方が上品に仕上がります。

クセのあるチーズがお好みでない方は、クリームチーズで代用出来ます。


チーズを加えたらすぐに火を止めて、

静かにかき混ぜ、チーズが溶けるのを待って出来上がり。

仕上げにドライハーブ、”ハーブ・ド・プロバンス”をパラパラと。

今日はこのスープに、面白い薄焼きパンを添えます。

表面に胡麻が沢山乗った、" Sangak Bread "でございます。

元々はペルシャ、今はミドルイースト広域の方々が召し上がるパンです。

幸運なことに、近くのマーケットで一日中、大きな石の窯で焼かれた焼きたてが買えます。

あらゆる民族が共存しているカリフォルニア暮らしの一番の醍醐味は、

世界中の料理を、その国の人々が食べているものに限りなく近い形で味わえることだと、

常々感謝を込めて思います。

王様と比較すると判り易いかと思いますが、

スゴーク大きなパンです。本来はケバブ系の肉料理などを包んで食べる為のパン。

私はそれを、食べ易い大きさに切って、

こんな風に直にコンロに乗せて、両面を焼いてしまいます。

モッチリと香ばしく、結構色々なお料理に合うので、我が家の冷凍庫の常備品です。

インドのナンに似ていますが、もっとグルテンを感じる粘りのある食感です。

ゲストにご紹介すると、皆一度でファンになる素朴な味です。

これにバターではなく、敢えてマーガリンを塗って食べるのが私は大好き。

 

主役級のスープのレシピ。

スープ好きな私は沢山持っていますので、

これから少しずつご紹介して行きたいと思っています。

 

では

 




小鍋仕立て

2011年11月05日 | Food

 

私は料理のレシピ本というものをほとんど持っておりません。

プロの庖丁人の為に書かれた、

食材の処理方法と、器使いの約束事の書かれた分厚い本が唯一のバイブルです。

 

そんな私が、自分なりのレシピを考えて行く上で参考にしているのは、実は小説。

それが推理小説であっても、純文学であっても、

食事の場面が丁寧に描かれている作品が私は好きです。

グルメ小説の様な食がテーマの小説でない方が、より私の想像力をかき立てます。

例えばイギリスのミステリー作家、アガサクリスティーが私に与えた影響は多大です。

私が彼女のミステリーを読み始めたのは中学一年生の頃だったと思います。

彼女の描く小説には、その頃の私が見たことも聞いたこともなかった食べ物が、

ページをめくる度に香りを放ちながら私に迫って来ました。

スコーンというのは一体どんな食べ物なのだろう?クロテッドクリームってナニ?

アフタヌーンティーに供される焼き菓子やサンドイッチは一体どんな味がするのだろう?

イギリス人はお茶ばかり飲んで、家のおばあちゃんみたいだなあ・・・etc.

食べ物の好みが人格と大きな関わりがあることも、彼女の小説から学びました。

私は高校に通う3年間、家族の為にほぼ毎朝4時に起きてパンを焼き続けたのですが、

それはひとえにアガサクリスティーの影響によるものだと思います。

彼女の描く世界を、現実のものとして表現したかったのです。

 

もう一人、大きな影響を受け、今も受け続けている作家が居ます。

私にとりまして、池波正太郎先生は人生の師。

物事の神髄を心の目で見ることを教えて下さいます。

とりわけ、食に対する姿勢と申しますか、心の有り様は、

全て師の作品から学んだ気がしております。

師の時代小説にもまた、読んだら作りたくていても立っても居られない様な料理の数々が、

さりげなくも重要な役割として登場致します。

先日何人かの文筆家の方々が、対談でやはり同じことを仰っておられて嬉しかったのですが、

電車の中などで『鬼平犯科帳』など読んでしまった日には、

もうその場面に登場する一品を食すことしか考えられなくなり、予定を全て変更し、

スーパーに寄って、食材を買い込み、台所に駆け込む事があると皆様異口同音でございました。

江戸時代という想像を超えた、いにしえの風景を描きながら、

人の心と胃袋を突き動かすエネルギーを放つ小説を私は他に知りません。

 

今日は私が師の小説から触発され、考え出した料理の中から一品をご紹介。

小説にことあるごとに登場する”小鍋仕立て”

小鍋仕立てという甘美な響きは、料理人に無限の可能性を与えてくれます。

小説の中では、具材が深川で採れるアサリのむき身、ネギや大根だったりするのですが、

つまりは、寒い夜酒の肴や白米のおかずとしてサッと作ってゆっくり味わう、お一人様鍋、

 家族で囲む具材の多い、団らん鍋とは一線を画する、大人の酒飲みの為の鍋料理です。

 

私の小鍋仕立ては、その名もあやしい” すき焼きもどき小鍋仕立てでございます。

 

すき焼きの割り下を薄めた味加減でお豆腐を煮込みます。

こちらは出汁ごと頂く一品ですので、すき焼きよりずっと塩気は控えます。

すき”焼きもどき”と有りますように、主役の牛肉が入りませんので、

濃いめの昆布だしをしっかり取るとよろしいです。

昆布だしを取る場合、私は朝から水に大きく切った肉厚のだし昆布を浸し、

後にそれを火にかけ、お風呂のお湯程度に暖まったら取り出し、煮立てません。

煮立てた昆布の風味の強さは、出汁としては相応しくないと感じるからです。

この昆布ははさみで細切りにして、ネギを湯がいたものなどと酢みそ和えなどに致しますと、

ワカメで作ったものよりも苦みばしった、素敵なお通しになります。

お豆腐が中まで暖まった頃合いを見計らって、エノキ、シラタキ、ネギを投入。

このシラタキでございますが、是非ともお試し頂きたい下ごしらえの方法が有ります。

食べ易い長さに切って、粗塩でもんだ後、茹でて灰汁抜きをするのは同様ですが、

この茹で時間を15分とか20分とかいつもより長めにします。

そしてザルでしっかりお湯を切った後、再び鍋に戻します。

それを強めの中火にかけて、から煎り致します。

次第に鍋に着き易くなりますので、つねに菜箸でかき混ぜながら、完全に水気を飛ばします。

じつに面倒ですな。

でもこれで、驚く程味の入りが良くなり、こんにゃくの味わいが倍増致します。

小鍋仕立ては、シンプルが信条でございますので、

それぞれの食材の下ごしらえで味が決まります。よろしければお試しください。

全ての食材にサッと火が通りましたら、溶き卵を廻し入れて火を止め、蓋をして蒸らします。

この溶き卵ですが、ケーキを作るときのようにしっかり混ぜ合わせないのが私流。

かき玉汁や炒り卵、オムレツなどとは違う溶き方を致します。

黄味は箸で持ち上げて壊すだけとし、白身を混ぜるのはせいぜい軽く5~6回程度。

要は白身のコシを切らないように致します。

これで、黄味の濃厚さ、白身のとろりとした食感をそれぞれ楽しめます。

これは親子丼やカツ丼なも同様にいたします。

 

牛肉の入らない、すき焼きもどき小鍋仕立て、これにて完成でございます。

バーテンダーは、一味唐辛子粉山椒で食するのがお好み。

寒い夜更けの酒席にはもってこいの、心も身体も温まる一品でございます。

 

Have a delicious weekend everybody.



アロマなワンプレート・ディッシュ♪

2011年11月04日 | Food

人様のお宅にお招き頂いた様な場合でなく、

あくまでも自宅でのお食事について、正直な気持ちを申し上げますと、

私はテーブルの上に沢山のお料理が並んでいる風景が好きです。

一皿一皿が高級であったり、珍しかったり、手間のかかるものである必要はないですし、

夕べの残り物が、目先を変えて並んでいても一向に構わないのです。

私は自分で料理をし、器を焼きますから、テーブルに並んだお料理には、

ささやかだけれど私の思いや、ちょっとしたストーリーがあったりして、

それをいちいち人に説明する様な野暮な真似はしませんけれど、

大袈裟に言えば、テーブル一杯に並んだ料理が私の歴史だったりするのです。

ですが、私が私を満足させる為には、自分が長時間キッチンに立たねばならないのが難点。

いつもいつも、そんなことをしておりますと、色々差し障りも出ます。

そこはバランスを見ながらということになります。

時間がなかったり、重いお食事は遠慮したい気分の時のための、

ワンプレートディッシュのレシピも取り揃えていますので、今日はその中から一品。

 

ワンプレートで食事を完結する場合に、私が特に心がけますのは、

栄養のバランス、味や食感のリズム、香り、そして心の満足です。

ビタミン、ミネラルといった大切な栄養素に、良質のタンパク質。

それぞれの食材の持ち味を活かしながら、それを取りまとめてくれるのがハーブです。

ハーブのアロマセラピー効果は、食材としてのハーブにも期待出来ます。

これらの条件を満たしてくれる一品。

秋の味覚、チキンとキノコのハーブソテーです。

鶏のもも肉は、黄色い脂を出来るだけ丁寧に取り除き、フォークで所々穴を開けます。

一口大に切って塩こしょうをし、最低30分、可能ならば2~3時間置きたいところです。

時間を置くことで鶏肉の中まで程よく味が入りますのと、塩の脱水効果で鶏の臭みが抜けます。

ミネラルの宝庫、マッシュルームと、血液を浄化してくれるタマネギ

タマネギはこの場合繊維を断ち切るようにスライスします。

これでキノコとタマネギの火の通り具合を揃えることが出来ます。

加熱しても変化し難いビタミンを多く含むジャガイモ

こちらは薄くスライスして電子レンジで柔らかくなるまで加熱します。

この時、ジャガイモの下にキッチンペーパーを敷いて加熱しますと、

水分を吸い取ってくれます。これを更にざるに上げて水気を飛ばしておきます。

イタリアンパセリ、ローズマリー、タイム。

この日は生のタイムが有りませんでしたのでドライのものを使いました。

ドライタイプでは、ハーブ・ド・プロバンスというミックスが市販されていますが、

そちらをお使いになられても大変結構です。

オリーブオイルで鶏肉を両面こんがり焼き付け、火を通します。

こんがり焼き付ける為には、フライパンの中をかき混ぜないで我慢することが重要です。

かき回す度にフライパンの温度が下がり、焦げ目が付くより先に水分が出て来て、

焦げ目が付く頃には、すっかり火が通り過ぎてしまいます。

火が通りましたら、ひとまずこちらをお皿に取っておきます。

鶏肉が冷めてしまわないうちに次の仕事をしますが、

心配ならアルミフォイルで覆っておくとよろしいです。

このフライパンには、鶏の旨味が残っていますので洗わず使います。

フライパンに、オリーブオイルを少量足して、

キノコ、タマネギ、ジャガイモ、ハーブを同時に入れ、サッと炒めます。

すぐに塩こしょうをします。これは熱の通りを早くする為です。

この時も、あまりかき混ぜず、全体に所々焦げ目が付くのが理想です。

生で食べるのは遠慮したいジャガイモには既に火が通っているので、

とにかく時間をかけすぎないことが、食材の勢いを殺さないコツです。

 火が通り、全体が馴染みましたら、火を止めてバターをひとカケ投入。

これでコクと艶が出ます。

 

炒めたキノコとジャガイモを下に敷き、上にチキンソテーを乗せます。

最後にローズマリーの枝を飾って。出来上がり。

ローズマリーはハーブの中でもとりわけアロマの強い物ですので、

枝ごと調理して食材に香りを移し、直接口に入らないようにする方が私は好きです。

 

ワンプレートに心と身体に嬉しいものがギュッと詰まった、

私の大好きな一品です。

さー、お待たせ!冷たい白ワーンを開けて下さい~

 

では