夢は好きだ。はかなく後を引かない夢見心地。せつなさも切望もない。
その時が輝き、執着しない。後を引かない一瞬の魔法。
確かさなんていらない。永遠の愛しさなんてほしくない。
笑顔と優しい言葉もひと時だともう知っているからこそ輝く。
それにすがったりしない。ただ落ち着いて曖昧に受け止めればよい。
課長がバイト後飲みにつれて行ってくれた。もう定年まぎわの
おじいちゃんで、僕を可愛がってくれている。単純でにこにこしてて
みんなには疎まれてるけど僕はいいと思う。一番のお気に入りは
僕が入る前の人だから僕は二番でいい。その方がかえっていい。
僕をいい女だといい子だといいみんなに紹介してくれる。
同じバイトの女の子のこと言ってあの子よりずっといいと褒めている。
話半分には受け止めてるけど、自信は持てるようになりたい。
あと、自分の意志をもっと主張してごらんって。合わせすぎだと。
確かになあ。娘みたいに可愛がってくれてて僕は好きだな。
親愛というか話を聞いてるとなつかしいような優しい気持ちになってる。
家族に接するような気持ちがするからかもしれない。
東京での親父というかんじがする。楽しいし。
やはり僕は恋はできない。親愛と友愛しか持ち合わせてない。
それでいいんだ。だって親愛と友愛でこんなに幸せなんだから。
大好きなかぞくとなかまとしんゆうとに囲まれて。
お父さんと電話をした。温かい気持ちになった。
明日会うんだ。僕は幸せなのだ。
