ゼミの新歓飲みで電撃的に運命的に恋に落ちた。
一目ぼれとよく言うけれど、僕は違った。目の前に座った彼。
ぱっとしないおとなしくうなだれた彼。言葉を交わすぽつぽつと
とりとめもなく。選ぶように流れるように。無関心にも関心にもとれた。
カウントするように1言2言、そう五秒で確信した、僕は恋を思い出した。
とどめなく流れるように死んだはずの止まったはずの標本にされた
杭に刺さった蝶の恋心は復活したのだ。不死鳥のように鮮やかに。
ふわふわとした無敵状態の心、マリオのスターと同義。
苦しめない。始まりだから会えないとかで悩まない。ちょっと思い出す
たくさんスキップだけ。
恋の復活は嬉しい副作用がある。見直せるのだ。今までの関係をね。
新しい目で見る。私にぴったりな王子様がいるかもしれないのだ。
明日は合同練だ。他校の男子友達達。友達だけど、火のついた僕は
また恋をするかもしれない。いい連鎖で副作用。恋をするのは自由だ。
相手を見つける、まずそっからだ。
そうこのうきうきな高揚が醍醐味。大胆不敵な無敵ハンター復活。
でも恋多き女な僕も時々せつなくなるんだ。先輩は先輩で時々
わからなくなる。この人だけは好きになってはいけないのに、
好き合っていたらどんなに素敵だろうと思うときもある。
先輩が先輩じゃなかったら自由に恋をしたのかといわれたら
そこまで好きにはなれない気がする。やっぱ特別のたったひとつの例外
なのだ。だから恋にはしないのだ。そしてやっぱりだから先輩以外に
恋を見つけてするのだ。
楽しくてうきうきで前向き無敵が恋なのだ。そしてそれがやっぱり
核なのだ。僕の。先輩は僕の全てだ。忠誠の証なのだ。