『わわ! これは危ないですー!』
『これは大変だぞマスター!!』
そんな風に現場に派遣してた天使っ子と悪魔っ子が頭にいってくる。野々野足軽はまだ部屋にいたから、その言葉を暢気に受け取る。
「一体どういうことだ?」
そんな風に思考を送った。野々野足軽は部屋にいるけど、そこからでも全てを把握できるわけで、そして力の応用性も強さも高まってる野々野足軽は焦りはない。
でも天使っ子と悪魔っ子が二人そろって慌ててるから、ちょっと不安がよぎる。スマホに目を向けるとまだ靄しかカメラは映してない。そして力で見てる野々野足軽の片方の視界でもそうだ。でも見るといっても、色々な見方を出来る野々野足軽は皆が無事なのは確認してた。
だから、あとはこの靄の中悪魔事態をどうにか……と思ってたわけだ。
『多分こっちに来ないとわかりません! 簡単に言うなら、ここは絶望なんです~!!』
『そう! このままじゃ、この中の奴ら全員廃人になるぞ!!』
「なっ!?」
そんな報告に思わず変な声がでる。すると階下からこんな声がしてきた。
「小頭ちゃん、足軽。もうすぐそろそろ降りてきなさーい!」
そんな母親の暢気な声。夕飯の完成も近いんだろう。けど今は大変な事態になってる。都内の方の会社へと勤めてる父はきっとご飯時までに戻れないだろう。流石にこっち方面の電車は止まってるか、遅延してる。
なんでもない日常……いつもの何気ない光景を野々野足軽は思い浮かべる。もしもここで妹である野々野小頭が廃人にでもなったら……きっとこのあたたかな家庭は曇ってしまうだろう。
そんなのは勿論野々野足軽は望んでなんてない。すぐさまベッドから飛び起きた。
「すぐに行くよ!」
そんな風に声を出す。すると母親は「小頭ちゃーん」と野々野小頭の反応も待ってる。なので力を使って、小頭の返答も偽装しておいた。
大丈夫、あの母親ならすぐに行く……といってから20分くらいの余裕はある。その間にすべてを終わらせる――そのつもりで野々野足軽は窓から外にでた。そして誰にも見られないように高度を上げて駅へと向かったんだ。
駅へは物の数分でついた。これだけの騒ぎだがやじ馬なんてのはいない。まあこれまでの事態をわかってるのに無暗に外にでる奴なんていたらバカだろう。集まってた警察車両の赤いランプが大量にあるが、既にまともな人はもういないみたいだ。
ただ、そういうおかしな人たちを覗けば、別段代り映えしないような光景に思える。ただ一点、駅が黒い靄に包まれてるのを除けば。
「近くで見ると禍々しいな」
そんな感想が口をついた野々野足軽。いったいどういう事なのかわかんないが、野々野足軽は力でその体を包み込んで突撃した。