UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 486P

2024-07-07 19:42:45 | 日記
 靄の中に突っ込んだ野々野足軽。それからすぐに聞こえてきた高笑いに顔をしかめる。けど姿は見えない。それに力を拡散させてレーダーのようにして探してみようとしたがそれは上手くいかなかった。何も見つけられないわけじゃなく、反応が多すぎた。そのせいで何が正しい反応なのかわからなかったんだ。これじゃあ無駄にリソースを食うだけだという事で、野々野足軽は力の拡散をやめた。
 
 癇に障るような高笑いがずっと聞こえるような空間。むしろ、それしかないといっていい。だってどこまで見ても闇が広がってるんだ。明らかにおかしな闇だ。なんの光もないんだから。それなのに、自分は不思議とわかる。
 そしてこの悪魔のような笑い声だけははっきりと聞こえてた。何かが野々野足軽の中に入り込もうとしてるのは感じてた。けど、この闇は野々野足軽の防壁までは超えられないみたいだ。実際桶狭間忠国につけた奴は何回か超えられてるから、警戒はしてたんだが、杞憂だったみたいだ。
 
「僕の力の方が強いみたいだな」
 
 それに一安心する。流石にあのドラゴンよりも強かったりしたら被害がどうなるか分かったものじゃなかったからだ。あんな存在が運よく別空間にいた……というのはある意味で今思えば幸運だったと野々野足軽は考えてた。
 あんなのが街の上空なんかに現れたら、流石に姿を現さずに事態を収拾するなんてできなかったからだ。今回のこの悪魔も……人に取り付いてるからどうにかできてて、もしもその本体が現れたら想像よりも強い……とか全然あり得るかもしれないと思ってたんだ。
 まあアースとか天使っ子や悪魔っ子の言葉的には結局は人類をどうにかできる程でもない程度……という事だったが、野々野足軽は自分位をどうにもできないのであれば……そうかもと思った。
 
「おい、どこだ?」
 
 それは悪魔へと言ったのではない。先に来てた天使っ子と悪魔っ子にいったのだ。なにせレーダーが効かないのだ。ならば先にきて多分だけど草陰草案達と同じ場所にいるであろう二人に案内させた方がいいと思ったんだ。いつもなら自身の力も混ざってる天使っ子と悪魔っ子の場所は簡単に感じることが出来る。
 けどそれもどうやら封じられてるみたいだ。それになんだか体が重い感じも野々野足軽は感じてた。
 
(外に発露する力の使い方に制限がかけられてる?)
 
 そんな事を分析してる。なぜなら自身の体の外に力を発すると、途端にその力が減衰してるからだ。だからって無理矢理この靄を晴らそうと思えば晴らせないわけでもない。けど野々野足軽はそれをまだやる気はない。
 なぜなら……
 
「きひひひ」
 
 靄の一部が不気味な顔を形作る。それは人のような顔の形をしてるように見えるが、巻いた角が両側から生えてて、耳はなんかとんがってるように見える。そしてやけに大きく開いた口からは長い長い舌が揺らめいてる。
 これが……
 
(あの女性に取り付いてた悪魔)
「別にお前を呼んだんじゃないんだけどな」
 
 そんな事をいうと、ふっと悪魔の姿が靄に溶ける。そもそもがこいつには実態と言えるものはないだろう。いうなればこの靄事態が悪魔なのかもしれない。
 
(どこからくる?)
 
 そんな風に警戒を強める野々野足軽。すると足元に何かが巻き付くような感覚が野々野足軽を襲った。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)盤上の迷宮航路へご招待 18

2024-07-07 19:37:22 | 日記
夢2
 
『夢を見る。最近はこの船に乗り込んだ時の物が多い。夢と希望に満ち溢れてた。自分たちの世界を捨て、新たなる世界への希望……そして最新鋭のこの船へと乗れる喜び。
 そんな胸の高鳴りはきっと『希望』といえるものだった。けど今やそれはやはり夢。
 
「もう……だめか……」
 
 ただゆっくりと死を待つのみ。何かが起こった訳じゃない。いや、むしろ何も起きなかった。我々は非常な延命をしてきた。沢山の人々を犠牲に……必要なものを切り捨て……それでも新世界でなら……そこにたどり着けさえすれば……そんな夢をみてた。
 
「ああ、そこにあったんですね。私たちの夢にまで見た……せか……」 』
 
 
 アイが読み上げてた声がやむ。静かなこの場所にどこかからカンカンという硬質な音が響いた。私はその場にいないが、アイの言葉は届いてた。どうやらこの船は夢を乗せてたみたいだ。
 
 でも……その夢の場所にたどり着くことはついぞなくて、この塔の一部になってしまった。けどここには今の所遺体なんてものは見てない。あまりにも長い時間がたちすぎて朽ちたのか……それとも……あの目玉がくった? いや、あれには口とかはなかった。
 
 でもポニ子を吸い込んだような機構はあるから、もしかしたらすいこまれたのかもしれない。あの目玉がここでどんな役割をしてるのかよく分かってないし。もしかしたらここに集ってる船たちを掃除とかしてる存在なら、遺体なんてのは彼らにとってゴミだろう。あの吸引機能も考えて……もしかしたら奴らはここの掃除機みたいなものなのかも。
 案外中も綺麗だしね。今の記録を読む限り、この中ではかなりの絶望が最後にはあったんだろう。沢山の人々が暮らしてたらしいし……刃傷沙汰だって起きてておかしくはないだろう。
 まあそこまで詳しく調べてないが、本当にこぎれいなんだよね。色々と朽ちてはいるけど、でもそれは掃除とかではどうしようもないみたいな……そんな部分だ。普通に床や壁はきれいなんだ。これはあの目玉たち掃除機説も有力だ。
 
「他の世界……やはりここにいた人達も厳しい世界だったのでしょうか?」
 
 そんな風にミレナパウスさんがいった。彼女も新世界を夢見てた人だ。だからこそ、きっと共感が強いんだろう。でも私が思うにこの船に乗ってた人達はそこまで困窮してた……ようには感じなかった。
 確かに切羽詰まった感はあったけど、これだけの船を作れる技術とかがあったんだ。それを考えるとミレナパウスさんの世界とは事情がかなり異なると思える。
 もしかしたらこの船の人たちは優しい世界を自らの手で壊してしまったのかもしれない。だからこそ、新たな世界を求めた。それだけの知識と技術が自分達にはあると信じて……でも結果は……これは人の傲慢の結果なのかもしれない。