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ある日、超能力に目覚めた件 第二章 第五話Part2

2024-07-29 19:22:00 | 日記
 パン――と平賀式部は机を軽くたたいた。それは激しくもなく、けど目の前の野々野足軽にはよくとおる音だった。一瞬キョトンとした野々野足軽。そして目の前の平賀式部をやっと認識したようにハッとした。
 
「えっと……俺……」
 
 ばつが悪そうな野々野足軽。きっと野々野足軽もこんな状態でデートをするのは失礼だと思ってるんだろう。実際平賀式部はニコニコとしてるが、その笑顔を見て野々野足軽はきれいとかかわいいとかよりも、今は恐怖が勝ってた。実際周囲の人間はその平賀式部の顔に見惚れてたりする。
 でも対面してる野々野足軽は違った。その本心が見える。笑顔の圧がのしかかってた。
 
「ご、ごめ――」
「別に、私は謝ってほしいわけじゃないんです。疲れてるんですか?」
 
 野々野足軽の言葉を遮って自分の言いたいことをいう平賀式部。彼女はまっすぐに野々野足軽を見てる。言葉ではなく、首を縦に振ることで肯定した。
 
「今って夏休みだし、足軽君は別に部活にも入ってないですよね? ならどうして? まさか、ゲームとかしてたとかですか?」
 
 ブンブンブン!! ――と野々野足軽は激しく首をふった。流石にそんな事で寝不足だから平賀式部とのデートに真剣になれてません……とかだっだら、振られても文句言えない。
 だから流石にそれは違うというように野々野足軽は全力で首をふった。
 
「それじゃあどうして?」
 
 平賀式部のその顔は真剣だった。それにさっきまでの怒りというよりも、「心配」というのが強く出てるのがわかる。
 
「私はまだ足軽君の全部を知ってるなんていえない。けど、適当に付き合うような人じゃないと思ってる。違う?」
 
 平賀式部の言葉が野々野足軽に染みる。大切に思ってくれてると、感じることが出来る。
 
「足軽君にとってはきっと大切なことがあったんだよね。それは私にはいってくれないの? 私はそんなに心が狭い彼女に見えるのかな? 足軽君を縛りたい訳じゃないんだよ?」
 
 ぐっ……と心に何かが刺さったかのような痛みが野々野足軽を襲う。実際何も刺さってなんてないが、けどこの痛みは本物だと思った。もう伝えてもいいんじゃないか? とか思ってきた。
 このおかしな力に巻き込みたくなかった野々野足軽だが、世界は愉快な方向に向かってしまってる。いってしまえば、突如平賀式部にも『力』が発現したっておかしくないんだ。
 
 そして今や、一日に何件もそんな報告が上がってる。
 
(流石に、全ての元凶が俺自身……なんてのは言えないけど……)
 
 少しなら……いいんじゃないか? と思えてきた野々野足軽だ。けどここにもしもアースがいたら、その野々野足軽の思いに対してこういっただろう。
 
『それって、ただの言い訳ですよね? 大きな嘘をつき続けてるのが心苦しいから、僅かでも話して、自分が少しでも楽になりたいだけでは?』
 
 ――とね。けど今ここにアースはいない。だから自分で考えて、野々野足軽を真剣に想ってくれてる平賀式部の為に……と野々野足軽はこういった。
 
「実は、少し前に『超能力』に目覚めたんだ」
「え?」
 
 野々野足軽はちょっとだけ心が軽くなって、そして平賀式部はより深刻にその事を捉えてた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)盤上の迷宮航路にご招待 34

2024-07-29 19:16:06 | 日記
 あれから私たちはどんどん上に上がっていった。実際途中くらいで、やっぱり下もちょっと気になるな……とか思ったけど、私はそれを口に出すのはやめた。なぜなら私は指を切り離して途中からそれに下の方へと進むんで探索をしてもらってるからだ。
 
 私たちが分かれることも考えたが……それは戦力の分散である。愚策だ。実際勇者とアイなら大抵は大丈夫だろうと思うけど……あの目玉だけが敵とは限らない。まあスキャンした感じでは目玉以外の反応はないけどね。
 でも私には……というかG-01の指は勝手に動けるドローンのようなもの。ならばそれを使わない手はない。それに指くらいなら簡単に再生できるのでこっちとしては損耗もないのだ。
 だからこの船の塔の下へと指を行かせてる。どれくらいまでが通信範囲なのか気になるしね。ミレナパウスさんの世界では中継ドローンを逐次生産して、飛ばして通信範囲を広げてたけど……実際あの世界は通信状況が良くなかったからあんなことをしたまである。
 なんかあの世界の砂は特殊な磁場を放ってたのか、通信性能を著しく落としてた。でもここではそんなことはない。たくさんの船が残骸のように積み上がってるが、なぜか物体的な障害をほぼ受けてない。実際ここに存在してる……はずなんだけどね。
 
 でももしかしたら……
 
「メタリファーが私達のこと……」
 
 そこまで考えて私は頭をふった。流石にありえない。確かに私達には気づかれずに干渉することができるかもしれない。でもG-01にはそうはいかないはずだ。まあもちろんG-01はとても高性能だけど、完璧ではないかもしれない。
 でもだからこそプチュオクミという存在が併用しているんだろう。つまりは私だ。機械的なG-01と生物的な私という存在でそれぞれ、いろんな対策を講じてるってことだと思う。いや思ってる。
 だってでないと私がここにいる意味がわからない。実際効率よくG-01を運用するだけなら、何もわかってない私よりもアイのようなAIでいいのだ。なのにG-01を動かせるのは私だけなんだ。
 ならやっぱり私の存在には意味があるわけで……それはきっと機械だけでは抵抗できないこともあるから何じゃ? と最近おもってる。そして私のような生命体では抗いきれないことももちろんある。
 だから私達は互いに共生するようになってるんじゃないかな? 私が成長するとG-01も成長してるのはそういう事……かもしれない。
 
 まあとりあえず下の方は指に任せて、私達は上へ上へと行く。すでにたくさんのデータを船から得てる。もちろんなんのデータもない船もいくつもあった。けどある程度大きな船には文明の跡があって多少のデータはあるものだ。そしてそれを集めて行くと面白いことがわかってきた。
 
「これって……どれもこれもG-01の中にはないような……」
 
 いや、完全にないわけじゃない。似たような理論やら技術のデータはG-01にもある。けど全く同じじゃないし、そこそこ違う。だからこそなかなかに良いデータとして、G-01の糧になってるのだ。