この船の人たちは絶望の中、きっと見え行く自分たちの行く末……それこそ運命といえるそれを呪った。
「こんなはずじゃなかった」
きっと誰もがそう思った筈だろう。なにせこの船は希望を乗せてた筈だ。さっき読み上げた日記だけじゃなく、この船の記録にはこの船が造られた世界の歴史もつづられてたあった。
それによるとかなりの高度な文明が栄えてたみたいだ。でも……ある日それは起こった。世界の資源の枯渇である。文明が発展して、世界が栄えて、そして生命体が増える。世界に命が溢れて、いっぱいいっぱいになって、その世界ではもう、限界が近づいてた。
だからこそ、新たな世界に人々は夢を見た。もう資源も枯渇して、科学で作り出した美味しいとは言えない物ばかりを食べるよりも、新たな世界に夢を見たんだ。
この船を作った人々はどうやら世界の外に目を向けたらしい。そしてその観測の方法もつかんでた。世界は神が管理してる。そして大抵神は一つだけの世界を管理してる……なんて事はない。
それはG-01にもあった。神という偉大な存在……それが万能には見えないのは、それだけ沢山の世界に力を割いてるから……だとその世界の人々は考えたのだ。
だからこそ、自分たちの神の他の世界を探して移ろうとそう思ったんだ。そしてそれはある意味で一番正しい選択だ。G-01の情報を知ってる私的には「凄いなー」って普通に感心する。
きっと世界の根幹の力……それについてはきっと気づいてないだろうが、神が違えばその根幹の部分も違う訳で……下手に別の神の管轄の世界にいくよりは今いる世界の神の別の世界というのはとても理に適ってると言える。
だって下手したら根幹の力が違うと、普通にその地に降り立つこと……も難しい可能性はある。私たちはそこまで意識しなくていいが……いやミレナパウスさんはちゃんと意識したほうがいいけど……G-01や勇者たちがそれを意識しないでいいのは、それだけの高性能ボディーだからである。
普通の人間……一つの世界に馴れた生命体というべき存在が全く根幹の違う世界へと行くと……その世界そのものが合わないってのは考えられる事だ。
合わないとはどういうことか? それはつまりはそこでは生きていけない……ってことだ。その可能性がある。高い。だからこそそんなことを知らずに自分たちの神の世界だけを観測するような装置を作ってそれを指針に航行しだした彼らはある意味で賢くて、そして愚かで何も間違ってなんてなかった。
なのに……結局彼らはその運命を呪って死んでいったんだ。