『わかった! 探してみるね!』
『もっと僕たちに頼っていいんだからな!』
そんな事を言うのは風の子と風の少女である。実際もっといるのかは分かんないが、呼ぶと来るのはこの二人なんだよね。別に顔とか見えないから同じ奴なのかは正直足軽にもわからない。
けどなんとなく同じ存在という感じを受けてる。だから既に気さくな間柄だ。でもそんなに二人を呼ぶという事はしない。本当に時々か、大丈夫……と確信が持てるときだけだ。
なぜなら……
「お、おおう……」
二人が張りきったせいで竜巻が……そんなに大きくないけど、細長い感じの竜巻が巻き起こって夜空を突いてた。そうなのだ。二人は足軽に呼ばれるととても喜ぶ。テンションがMaxといってもいい。
そのせいで周囲に影響が出てしまうのだ。きっと二人は風の精霊的な存在だと思うが、だからこそ二人のテンションが上がると風が巻き起こる。彼らが起こす風は自然な風を超越してると足軽は感じてる。
なにせ本来の風……というのは自然現象だろう。大気の流れ、気圧の変化、それに周囲の気温とか寒暖差とかその変化が風となって吹いてるわけだ。
でも彼らは違う。彼らは風そのものを生みだすことが出来る。そうなるとどうなるのか。自然と吹いてる風とぶつかりあったりして、めちゃくちゃになる。彼らは自身の風に自然の風を取り込んでいき、大きく滅茶苦茶にしていく。そんな事をやると、風と風のぶつかりとかで竜巻とかが起きる。
でも大丈夫。誰もこれに気づくことはない。それに制御は出来てる。二人ともテンションが上がってるが、そこらへんはちゃんとできるようになってるのだ。だから竜巻が民家を巻き込む――なんてことはない。
寧ろこの地域の山に現れた四つの竜巻はサルを追い詰めてくれるだろう。
『見つけました!』
『ははははは! 僕達から逃げられるなんて思わないこった!!』
四つの竜巻を起点にして周囲に風をまき散らしたのは風の子たちがここら一帯を全て把握するためだった。どうやら狙い通りに彼らはサルを見つけてくれたらしい。
「いったいどうやって隠れてたんだ?」
今の足軽の探知能力はかなりの物だと自分で誇ってるくらいだ。なのに、サルは隠れることが出来てた。今もそうだ。足軽の力の方ではサルを感じることが出来ない。けど……
『僕たちの力を通せば見えるはずだよ』
そんな風の子の言葉を受けて、足軽は彼らの風を取り込んだ。そして吹き荒れる風を詳細に感じると、確かに急いで森を駆ける数体のサルを見つけた。
どうやら二体でもなかったらしい。感じる数は四体だ。
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