「おじいちゃん……」
小頭は残念なものを見る目でおじいちゃん見つめる。だってまだ言い訳をするのは男らしくないのではないのだろうか? と小頭は思った。ここは潔く認めるくらいが良かっただろう。
でもおじいちゃんはそんな事考えついてない。それだけ小頭に嫌われたくないんだろう。孫強し――である。
「そんな目をしないでおくれ! これは本当なんじゃよ。確かに儂は小学生のときはクソガキだった。じゃが、中学では落ち着いたんじゃ。その頃にはこいつにいつも折檻されてたからな!?」
「え?」
小頭はおばあちゃんを見て、もう一度おじいちゃんを見る。そして更にお父さんを見た。
「せっかんって何?」
「そそそ、それはだね小頭。うん、ちょっと激しい躾というか? うん、そんなのだよ」
お父さんは困ってた。折檻をオブラートに包んてどう伝えればいいのか……それに苦心してる感じだった。お父さんはその難題を見事やりきったと言っていい。折檻なんて普通に過ごしてたら聞かない言葉だからな。
でもそんな厳しい躾をおばあちゃんが? と思って小頭はおばあちゃんをみる。
「確かにクソガキを教育したことはありました。でもその程度でヤンチャが治るようなやつではなかったでしょう? 私が無理やり第二ボタンを取ったなんて……そんな」
おばあちゃんは首をふるふると振ってる。するとそこにおじいちゃんがこういって噛みついてくる。
「それをいうなら儂だってあの頃、お前になんて惹かれてなんておらんわ! 夏休みのあれ? あれはただ別に互いの気持ちを確かめたとかじゃないじゃろう。お前が脅してくるし、儂のたこ焼きを奪ったから奪い返そうと手を取っただけじゃろうが!」
あれ? である。これもまたおじいちゃんの妄言というか、言い訳かもしれない。だってせっかくのロマンチックな思い出をそんなしょうもないことに置き換える必要なんてないじゃないか……と小頭は思う。憧れた告白のシチュエーション、それがそんな取った取られたとか……悲しいだろう。
「そんな事やってません。あなたは確かに私に好きと言いました」
「それはたこ焼きが好きと言ったんじゃ! あのときの儂がお前に告白なぞ」
「記憶を捻じ曲げないでください。あの時から私の事密かに想ってたでしょう?」
「はあ!? お前な儂は儂は……あのときは……のう……」
「おじいちゃん?」
おじいちゃんは勢いよく喋ってたのに、いきなり勢いがなくなった。その様子にお父さんが心配しだす。
「親父!? どうした?」
「ん? あぁ……なにかちょっと頭が……」
「うぅん」
「お母さん? 大丈夫ですか?」
お母さんの言葉でおばあちゃんも頭を抑えてるのに気づいた。どういうことだろうか? 同時におじいちゃんとおばあちゃんが頭を抑えるようにしてる。流石に歳だし、更年期の症状かと小頭も心配する。するとずっとバクバクとご飯を食ってた鬼男が茶碗を置いて天井をみてこういった。
「来る」
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