「なにやってるの! さっさとやるわよ!!」
鬼女がそんな事言ってくる。彼女は無数の魑魅魍魎を殴り、蹴り、そして口に含んで租借したりして思う存分戦ってる。よく見たら鬼女の体には何やら模様が浮かんでる。なんだろう? と思う野々野小頭。すると鬼男が小頭を地面におろした。そして……
「これを」
そんな事を言って頭の二つあるうちの片方の角をポキッと折った。まるで簡単に折れるのが当然のようにきれいに折れてる。
「は?」
思わず目をまん丸くする小頭。だっていきなり角を折って渡されるとか……なんか引いてしまってるのだ。受け取った角はなんかちょっとあったかいし……生々しい感触がなんか嫌だっだ。
「えっと……大丈夫なの?」
とりあえずそんな言葉を小頭は鬼男にかける。すると鬼男は薄い反応のままこういった。
「問題ない。それにそれがあれば、奴らがお前を襲う事はないだろう」
何やら魔除けのアイテム? 的なものなのだろうか? と小頭は思った。確かに一人でいて魑魅魍魎達に襲われでもしたら、小頭はどうしようもない。だからこそ、このアイテムを鬼男は渡したんだろう。けどそれならもっと別の……別の……そう思って小頭は鬼男を見回す。うん……ほぼ身一つみたいなものだった。なら自身の体の一部とかしかないか。もしも指とかねじ切って寄こされたりしたら、そっちの方が嫌だった。ならばまだ角はましではないのか? と小頭は思う事にした。
「えっと、なにするんですか? あの扉を破壊とかですか?」
めっちゃ大きいが、もしかしたら彼らなら、それが出来るのかもしれない。そんな事を小頭は思った。だって今は鬼女一人でも無双状態だ。そこに彼まで加わったら、どうにかできてしまうのではないか? と思うのは普通だろう。けどそんな小頭の期待に鬼男は首を横に振るった。
「あれを壊すことはできない。そんな事をしたらこっちにきた俺たちがどうなるかわからない。俺たちはただ出てくる奴らを一時的にでも押し戻して、あれを少しの間封印する。それだけだ」
「封印……ですか?」
「ああ、その間にこの事態の原因を探る」
「……わ、わかりました」
そういうと鬼男はうなづいて背中を向ける。そして仁王立ちして腕を肘で折った。拳を握りしめて、そして次の瞬間――「はっ!!」――と息を吐いた。すると彼が着てた服がはじけた。そして膨らんだ筋肉が赤黒く脈をうつ。どうやら鬼男も戦闘態勢に入ったようだった。
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