日々是迷走中

まったく同じ名前のブログがあるけど、gooのがあたしの。
自称永遠の八歳。
ただし他称、宇宙人。

鳩の思い出

2014-12-17 16:05:41 | 思い出
昨日、熊のことをアップしたが、そのせいで昔のことを思い出した。

あれは、あたしが小学校低学年の頃。
山守の爺様が、にこにこ、汗を拭きながらやってきた。当時は、山から二時間以上かけて、歩いてやってくるのだ。

「ほれ~。」
懐から、大事そうに新聞紙にくるんだものを出し、あたしの両手にそっと載せた。

暖かい午後の日差しの中、母親は横で笑っていた。
背の高い(180cmは越えていた)爺様は、小さなあたしに合わせて身体を二つ折りにするほどしゃがみながら、手のひらで鼻水をこすり、
「こういうの、好きだべ?○○ちゃんは。」
にこにこ、日に焼けた顔をしわだらけにして、笑った。

そっと開いた新聞紙の中身は、二羽の野鳩の雛だった。手のひらにのせたら、温かくて、やたらに嬉しかった。
間引きした木の上に巣があったのだそうで。
爺様は、あたしの様子を眺めて、えらく満足したらしい。
あとで「あのときの顔は、鳩が豆鉄砲をくらったような、って感じだったよなぁ。」と、何回も楽しそうにからかわれた。
うん、うん、と、あたしも毎回笑った。

父がりんご箱を改造して、巣箱をこしらえてくれた。

何を食べるんだろう?
鳩に豆、っていうから、豆なんでねぇ?

ずいぶんといいかげんなことだが、とりあえずは一生懸命、豆をつぶして、与えた。
子鳩たちは、すぐにあたしを覚えてくれ、とてもよくなついた。
やがて羽ばたきを覚え、飛ぶようになり、学校から帰るあたしを、大歓迎してくれた。

しばらくして、母親が真剣な顔で言った。
「野生の生き物は、野生に返してやらないといけない。」

あたしは、泣きながら反論した。めったに親に逆らったことのないあたしの、快挙だったと、今でも思っている。
「野生といったって、人の手でえさをもらって育った子が、そのまま生き延びるのは、かなり難しいと思うのですが。」

「それでも」と、母は退かなかった。
「野生でつがいの相手を見つけ、新しい命を育てていくのが、生き物の決まりごとです。
 放してやらなければ、この子たちの命は、ここで終わってしまいます。」

数日ぐずらぐずらと「ごんぼほり(駄々こね)」したが、小学生が親に勝てるはずもなく。
ある晴れた日曜日に、しぶしぶ、空に向けて放してやった。
なついている二羽は、いつまでもいつまでも、うちの屋根の上を旋回し、時々枝にとまり、えさをねだった。
かまうな、と厳命を受け、あたしは泣く泣く家に引っ込んだ。

数日後、気がついたら、姿が見えなくなっていた。
あとから思った。
山に放すのが筋でねぇか?と。

あたしが後に生き物について真剣に学んだのは、理論武装で親に勝ちたかったから、です。(不純というなかれ)
知らないということは、大事なものを守れない。そも、守っているかどうかすら、判らない。
どちらが正しくて、どうやったら一番良い道を選べるのか。
それを知りたくて、ひたすらにひたすらに勉強しました。

でも。
庭の近くに、毎年、野鳩がやってくる。
いつも、数羽で。
あれは、あの子たちの子孫なのかもしれない、と、ふと思う(思いたい)。
あたしは、電線にとまってこっちを見ている野鳩に、鳩の鳴きまねをする。
鳩は、答えて鳴き返す。
そんなとき、少しだけ気持ちが和む。

学校に勤めていたときも、校庭に野鳩が来ていた。
あたしの教室の外に、よく来ていたんだよ。こっちを覗き込むの。
そして、鳴きまねすると、答えてくれるんだ。
うれしいよ。ほんの少しだけ悲しくて、とてもとても嬉しいんだよ。

2 コメント

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鳥類でも (naumi)
2014-12-18 10:40:00
けっこう頭が良いので、代々伝えているのかもしれませんね。

昔実家で鶏と一緒に七面鳥を飼っていました。
(飼えなくなった知り合いから預かった)
数年間暮らした鳥小屋が手狭になったので、少し離れた場所に新しい小屋を建築。
(田舎ゆえに敷地だけはやたらと広かった)
それからまた数年後、すっかり高齢化した七面鳥は、朝小屋の扉を開けてあげると、懐かしい古い小屋までトコトコ歩き、夕方までそこでくつろいでいました。
たかが七面鳥と思っていましたが、ちゃんとわかるんだね~と家族で話したものです。

そういえば、当時飼っていた猫達も、鶏や七面鳥を襲うことは一度もなかったですね。
仲良くするわけではなかったですが、ある程度の距離をとって平和に暮らしていましたよ。
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naumiさん、こんばんはっ(*´∇`*) (otikomi)
2014-12-18 21:12:02
七面鳥を?あれって、大きいですよね~(;´▽`lllA``)
飼ってらしたんですか、そりゃぁスゴイ!
あたし、実は七面鳥が怖いんですよ~(;・∀・)
子供の頃、何度も何度も追いかけられまして、ねぇ(-_-;)
けっこうに気の荒い鳥ですよね。
きっと、あの七面鳥を誰かがからかったのでしょう。
子供を見ると見境いなく怒って追いかけるのが、すぐ近所におりました。
ちょうど、よく行くスーパーの筋向いで。
おつかいに行かされるときは、おそるおそるでしたよ(;´▽`lllA``)
見つからないように、こっそり、そろりそろりと。
今思うと懐かしいですが、当時は真剣に悩みました。( ´艸`)

鶏は、「三歩」歩くと忘れる、とか言われてますけどね。
実際はかなりのことを記憶してると思いますよ、ね。
犬にしろ猫にしろ、他の生き物だって、けっこう仲良く暮らしてますっけよね。
他種交流、っていうの?
田舎には、馬や牛、豚、なんてのも居ますから、それぞれ仲良くて。
人間が、いっとう仲が悪・・・・ごふぉごふぉふぉ(-_-;)

代々伝えて・・・・
だったら、嬉しいですよね(*´∇`*)
ありがとうございます。<(_ _*)>
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