大阪芸大ジャーナリズム研究会

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5学科が演奏会プレゼント ドナルド・マクドナルド・ハウスなどに配信

2024-12-01 23:30:11 | ニュース



 12月1日、ドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか健都ハウス(摂津市)と大阪芸大が連携し、病気と向き合う子どもたちに笑顔を届けるプロジェクト『冬のふれ愛コンサート』が3号館ホールで開催され、インターネットで生配信しました。<上村りさ、狭間 翼、神農 雄> 


(写真:全国に配信された「冬のふれ愛コンサート」 2024年12月1日14時過ぎ)
 
 ドナルド・マクドナルド・ハウスとは、自宅から遠く離れた病院に入院、通院する子どもたちの家族が滞在するための施設で、全国に12か所あります。

 今回のコンサートは、ハウスの一つである、ドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか健都ハウスと大阪芸大が連携し、病気と向き合う子どもたちに笑顔を届けるプロジェクトとして、デザイン学科生によって2023年に立案され、去年に続いて今回が2回目です。出演チームが1組増え、場面転換で紙芝居を取り入れるなど、今年はさらに力が入った構成になりました。

 企画をデザイン学科、演奏を演奏学科、音響を音楽学科、配信技術を芸術計画学科、撮影を放送学科が担当する、学科を超えた連携でのコンサート運営が特徴です。


(写真:ステージで演奏する演奏学科の学生。2024年12月1日 大阪芸大3号館ホールで)

 12月1日、参加する5学科の学生が3号館ホールに集まり、午前中のリハーサルを経て、コンサートが開幕しました。

 サンタ帽や赤いネクタイなどを身にまとった演奏学科の学生たちが、この時期にぴったりのクリスマスソングから、話題のアニメソングまで幅広く演奏し、時々仲間と顔を合わせて笑顔を見せ合いながら、息の合ったパフォーマンスを披露しました。

 放送学科アナウンスコースの学生が、トナカイの角のカチューシャを身に着け司会進行する中、音楽学科、芸術計画学科、放送学科の学生たちが担当する各専門機材を滞りなく操作。大阪芸大が所有している中継車を活用し、会場の様子をYouTubeで生配信しました。


(写真:配信用の映像を撮影する放送学科のカメラマン)

 
(写真:映像を制作する放送学科の中継車内)
 
 ドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか健都ハウスでも生配信が映し出され、病気の子どものきょうだい児と母親ら、それにハウスのスタッフやボランティアがコンサートを鑑賞。演奏や配信に関して感想を言い合いながら、穏やかな時間を過ごしました。

 サブハウスマネージャーの新免薫さんは、「編曲も衣装も細部までこだわっており見ていて楽しかったです。学生さんが企画から演奏まですべてやっていることに驚きました。ありがとうございました」と芸大生たちをねぎらいました。 

(写真:生配信のコンサートを楽しむきょうだい児と母親ら。摂津市のドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか健都ハウスで) 

 「管楽器と打楽器を両方演奏する曲があり、音の大きさのバランスとタイミングをあわせることが難しかったです」と話したのは、マリンバなどを担当した演奏学科3年の菅沼菜月さん。「クラシック専攻のため、ポップスコンサートは初めてで、新鮮でした」と明るく続けました。

 楽器ごとのマイク音量を調整した音楽学科3年の本田春菜さんは、生配信での操作は今回が初めてだったといいます。「良い音を収録できるよう、事前のマイクセッティングから工夫しました。音を通して少しでもクリスマスの気分を感じて欲しいです」と話しました。


(写真:音声をミキシングする音楽学科の学生)

 配信映像のスイッチングを担当した芸術計画学科2年の東野美玖さんは、「リアルタイムでやっているライブを、違和感なく絶妙なタイミングでスイッチングするのがやはり難しかったです。デザイン学科の皆さんが丁寧なスケジュールを立てていて参考になったので、自分たちの学びに生かしたいです」と今後への意欲を示しました。「演奏を配信する技術という形で、視聴者の方々へ安らぎを与えられていたらうれしいです」と話すのは、配信映像のチェックを行った同2年の原田佳林さん。「芸術計画学科は決まったメンバーで動くことが多く、今まで他の学科の方々と仕事をしたことがなく不安でしたが、親切にしてくださり動きやすかったです」と他学科への感謝を口にしました。


(写真:映像を配信するのは芸術計画学科の学生)

 ベージュのスーツでMCを担当した放送学科2年の葛原悠羽さんは、「本番中はカメラからなるべく目線を外さないよう注意しました。もう一人のMCと掛け合いを行う部分では、振り絞って出た言葉でアドリブ進行できました」とほっとした様子でした。「映像を明るく調整すること、白飛びしないように調整すること、目の前の作業で必死でした」と話すのは、中継車でビデオエンジニアを担当した同4年の山﨑陽花さん。「この配信が何か明るい気持ちになれるきっかけになれば」と続けました。


(写真:今年の司会は放送学科が、幕間の紙芝居や画面の美術はデザイン学科の学生たちが受け持った)

 今回企画統括を担当したデザイン学科3年の門脇小梅さんは、「緊張して何も言えず、人にものを頼めなかった自分が、ここまで総括できるようになるまで成長できて良かったです」と振り返り、「このコンサートが闘病している子どもたちの力に少しでもなれればと思います」と安堵した様子で続けました。

 河南町の大阪芸大3号館と摂津市のドナルド・マクドナルド・ハウス、そして各地の人々が配信技術によってつながったコンサートも無事終了。終了後は感極まる学生や教授もおり、企画した芸大生たちにとっても、少し早い温かなクリスマスプレゼントとなりました。