マヨの本音

日本の古代史から現代まで、歴史を学びながら現代を読み解く。起こった出来事は偶然なのか、それとも仕組まれたものなのか?

クロちゃんの消息

2013年03月14日 14時56分08秒 | ひとりごと
今日は私の独り言です。

ずいぶん前、シバちゃんブログで「クロちゃん」のことを書いた。

何年も音沙汰がなく、年賀状は帰ってくるし、一昨年だったか奈良まで行き、クロちゃんの自宅や親の家、さらには昔メリヤス工場だったあたりを訪ねたが、まったく何の成果も得られず帰ってきたことがある。要は、何も残っていなかったのである。
クロちゃんは僕と大学時代の同級生で、奈良にはたくさんあるメリヤス工場の次男坊で、長男が町会議員になったため、経営を任されたはずである。
とにかく彼とは気が合うというか、4年間、ずーっと一緒に行動してきた気がする。卒業後も何度か一緒に旅行したり、家を訪ねたりしてきた。ところがここ10年ほどまったく音信普通になっていて、他の同級生に聞いても誰も知らないのだ。
靴下という業種が業種だけに、大変苦労しているだろうし、事によってはもう会社はなくなっていてもおかしくないということでとても気にしていた。私に出来ることは少ないだろうが、相談があればできる限りのことをしようと考えていた。

で突然昨晩、全てが明らかになった。

クロちゃんの嫁さんから電話があり、クロちゃんが死んだと言う。なんでも、会社が破産し、家も土地も全てを取られ、嫁ともうまく行かず、別居していたと。そして一軒家を借り、そこにメリヤスの機械を設置し、一人で靴下を作っていた。今年の正月には嫁さんと自分の息子2人と一緒に食事をしたように、家族と行き来はあったみたいだ。そして今年は「薪ストーブで暖をとることにする」と聞いたそうだ。その薪ストーブから火がつき、その一軒家が全焼した。身体の60%にやけどを負い、それが原因で3月5日になくなったという。あまりにも寂しい死に方だったため、嫁さんは私に連絡をしようとずいぶん苦労したそうだ。話したいことが山ほどあるという事なので、今週の日曜日に仲間を集め、お悔やみに行くことにした。
「逃げればよかったのに、逃げなかったみたい・・・」
・・・嫁さんはくやしそうに語った。本当に彼はお人よしで、不器用な生き方しか出来ない男である。
ようやく消息がわかったものの、最悪の話だった。
「悼む人」ではないが、心からクロちゃんを悼むものである。
構造不況業種である靴下製造などよほどの技術力がなければ国内では生き残れ留はずがない。分っていても、どうしてもそこから逃れられなかった彼は、火事からも逃れようとしなかったということか・・・・不器用な男なのだ。