テレビ朝日の相棒やNHKのサラリーマンneoなどでもよくお顔を見ている俳優さんたち、調べてみると実は本来は舞台でお芝居をしている劇団出身の方が多いのに気がつく。思い起こせば遥かな昔、40年以上も昔、まだテレビは新しい世界で、NHKも自前のドラマより、劇場中継などが盛んだった時期があって、おかげでこちらも十代の頃は、今の劇団四季ではない、まだ人も劇団も若々しかった頃の四季の公演をいくつも見ることが出来たのだった。
ジャン・アヌイやジロドゥの作品に触れることが出来たのも、当時の劇団四季やNHKのおかげだ。しかも、あの頃は世の中全体がまだ若々しい冒険心いっぱいの時代だったから、演劇も相当面白かったと思う。なにしろ北大路欣也さんがオルフェとユリディスやオンディーヌに出演していたのだ。十代の女の子が見てもわくわくするような舞台だったから、今、この年代になってもいまだにせりふの端々はちゃんと覚えているくらいだ。
テレビや映画もいいけれど、舞台のお芝居はやっぱり別物だと思う。劇団出身、あるいは歌舞伎の世界からの俳優さんの演技というのは見ていて実にさまになるというか、ひとつひとつの動きがそこだけ見てもきれいな絵になるようだ。
そんなわけで、実際に劇場に足を運べないにしても、山西惇さん(と藤原竜也さん)の木の上の軍隊、気になっていたところだから、NHKスペシャルで取り上げられるのは非常にうれしい。第一、作者の井上ひさしさんは、一応カトリックで上智の出身という位置にあっては、作者の井上ひさしさんのこの作品への思いを汲む意味でも番組を見ないというわけにはいくまい。