ゲイリーマンのカミングアウト的思考

長年サラリーマンしながらLGBT活動。45歳にしてフリー。同性愛者らが自分らしく生きられる社会を地方から目指す。ミラー版

静岡新聞1面で性的マイノリティの特集続く

2015-05-20 16:18:27 | Weblog
これは静岡新聞の夕刊1面に載った性的マイノリティの特集です。

2日連続で、「ゲイカップルが家族になれない厚い壁」「性同一性障害の人が性別移行する場合の職場」
というテーマで読みごたえのある記事になっています。

今日も第3の掲載あったようで続いていくようですね。すごい!

愛媛新聞では2014年の1月~3月に13回くらいの連載で地元の性的マイノリティ当事者が次々登場する大特集を組んでくれたことを思い出します。

地方新聞でも取り上げ方がどんどん変わってきていますね!
各地で広がっていくといいですね。


●私はここに~性的マイノリティーの今(1) 家族になれない厚い壁
http://www.at-s.com/news/detail/1174196633.html
●私はここに〜性的マイノリティーの今(2) 性別移行 その時職場は
http://www.at-s.com/news/detail/1174196942.html



◆私はここに~性的マイノリティーの今(1) 家族になれない厚い壁

同性カップルを結婚相当と認める東京都渋谷区の条例施行、差別解消を目指す超党派国会議員連盟の誕生―。性的マイノリティー(LGBT)をめぐる社会的な議論が、高まっている。性的マイノリティーは15人に1人と決して少なくはないが、公言している人は一握りにすぎない。あなたの隣に座っているかもしれない県内の当事者たちの「今」を追った。

◇渋谷区条例は“光”
 「(条例で)家族を持てる希望ができた。静岡でもいつか、と。同性愛者だと誰にも言えないまま、一人で死んでいく自分を想像して生きてきたから」

 静岡市の会社員裕哉さん(23)=仮名=は半年前から、教員を目指す大学生の晴樹さん(21)=仮名=と人目を避けて交際を続けてきた「ゲイカップル」だ。少しずつ届くようになった友人の結婚話に自分たちを重ね、見えない未来を模索している。

 一足先に社会人デビューした裕哉さんは、会社の就業規則を見たり、先輩の異動話を聞いたりして晴樹さんと「家族」になれない現実に、焦りを感じるようになった。「家族でないと看護休暇も忌引も利用できない。異動希望の理由も伝えられない」。表向きは友達でしかない晴樹さんが病気や事故などで人生の危機に陥った時「このままでは守れない」と不安が膨らんでいた。

 高校生の時、男子を好きになって自分がゲイだと気付いた。ただ、同性愛者を「気持ち悪いもの」と振る舞う周囲に、本当の自分を語ることなどできなかった。

 家族には、晴樹さんを「彼女」と偽って旅行し、帰宅後に、見知らぬ女性の写真を証拠として見せたことがある。父は「家に連れておいで」と言ったが「もう別れた」とまたうそをついた。

 「これ以上、大切な人を欺きたくない」。裕哉さんは今春、弟に告白した。両親にも近く伝え、自分らしく生きていく環境を整えていくつもりだ。

 一方、晴樹さんの考えは異なる。「夢をかなえて教員になったら、今まで通り誰にも言わずに生きていくしかない」

 本当の自分を伏せてきたからこそ、生々しい差別発言に触れることも少なくなかった。「ゲイの教師を生徒や保護者は受け入れないだろう。もし県内で同じ条例ができたとしても、偏見がある限り、僕は利用できない」。裕哉さんと子育てをする夢を持ちながら、両立できない悲しみを語る。

 家族関係を公的に証明できない性的マイノリティーのカップルは、病院での面会などで支障が生じてきたとされる。事故や災害で意識不明に陥る事態に備えて「この人はパートナーです」と交際相手の名前や住所を書いた紙を携帯したり、病院側に丁寧に説明して家族として面会したりしているという。

◇立ちはだかる偏見
 パートナー証明のニュースは渋谷区の英断として報じられたが、当事者には「性的マイノリティーだと公言している一部の人しか利用できないのでは」という冷ややかな見方もある。

 性同一性障害で性別変更した県中部の男性(30代)は「そもそも誰にも告白できないのに、条例の利用を検討する余地もない」と偏見の厳しさを語る。カップルが絆を証明するには、将来的に認知症などで判断能力が低下した時に財産管理などを任せる成年後見の事前契約や、遺言の公正証書を作成する方法もある。ところが、人目に触れるのを恐れて行動を起こせないという人も多い。男性は「性的マイノリティーの存在を認めた行政の姿勢が、社会の偏見に風穴を開けるきっかけになってほしい」と望みを託す。

 <メモ>LGBT 同性愛者(レズビアン、ゲイ)、両性愛者(バイセクシュアル)、性同一性障害者(トランスジェンダー)の頭文字を取り、性的マイノリティーを意味する。性的マイノリティーはほかにも、自らを特定の性に当てはめないXジェンダー、無性愛者など分類は多様。渋谷区の条例は性的マイノリティーの存在を認めた上で、趣旨に反する行為を是正しない事業所は公表する規定を盛り込んだ。




◆私はここに〜性的マイノリティーの今(2) 性別移行 その時職場は

性同一性障害の人が同じ職場で働き続けながら心の性に合わせて性別変更していくことを「在職トランス」という。20歳になれば戸籍の性別変更は認められるが、親が性別適合手術を支援することはまれ。多くは就職後、数百万円に及ぶ手術費用を蓄えて在職トランスに臨む。しかしその成否は、突然の告白を受ける職場の理解度に頼らざるを得ない。

◇上司からセクハラ
 県東部の達弘さん(36)=仮名、元女性=はおととし、10年以上勤めた会社を辞めた。在職トランスを試みたが、上司のセクシュアルハラスメントに遭い、会社にいられなくなった。「心の性別に合わせた生き方に一歩踏み出すため、私たちはカミングアウト(公表)に夢を託す。でも公表された側には、違う性的な感情を抱く人もいる。そんなリスクがあるなんて思いもしなかった」

 心は男。タイムカードの自分の名前、更衣室やトイレ、制服…仕事は好きだったが、何をするにも「女性」である現実を突きつけられ、ストレスを感じた。発熱や体調不良が続いて休職した時、医師を通じて障害を家族に知らせた。「早く言ってくれたらこんなに苦しめずに済んだのに」。涙ながらの母の言葉が、在職トランスへと背中を押してくれた。

 「男性になろうと思います」。達弘さんは意を決して直属の男性上司に伝えた。男性上司は「協力する」と言ってくれた。しかし、次の日からセクハラが始まった。同僚に聞こえないような小声で「体は女なのに、心が男なんて興奮する」「どんな体してるの? 触らせてよ」と、肉体関係を強要する耳打ちが続いた。次に何をされるか分からない恐怖感が膨らみ、同僚に告白する勇気はしぼんだ。「男と告白すれば、男同士の楽しい付き合いが始まると思っていた。甘かった」。達弘さんは退職してすぐ、性別適合手術を受けた。戸籍変更も済ませ、完全に男として転職するつもりだ。

 過去を知る人と決別することでしか自分を守れなかった経験は「過去が明るみになったら、また会社にいられなくなる」という不安になっている。

◇業務合わず退職も
 性同一性障害者の多くは幼少期に心と体の不一致に気づき、小学校のランドセルの色、中学や高校では制服、部活の更衣室やトイレなどさまざまな場面で違和感を抱く。男性から性別変更した県東部の女性(20代)は「“異性”の前で服を脱ぐことに慣れるはずがないし、自分は女だからと女性更衣室に入れば不審者と言われる。自分を変態と思うしか逃げ道がない」と長年の苦しみを訴える。

 たとえ性別変更して、会社が更衣室やトイレなど環境整備したとしても、「女性になったことで体力が落ち、業務量が維持できない」(元男性)、「ケーキ販売員ができなくなった」(元女性)など、変更後の性別が採用時の職務内容と合わなくなる人もいる。

 同僚の視線から逃れられ、新たな自分で出直せる転職は魅力的な手段だが、ことあるごとに繰り返せば、生活基盤がもろくなるリスクが伴う。当事者は「20歳で性別変更して、本来の性で就職活動するのが理想」と口をそろえるが、その段階で、親への告白すらできていない人も多い。結局は就職後にしか、性別変更できない現実がある。

 <メモ>性同一性障害者の性別変更 2004年施行の特例法により、20歳以上で婚姻をしておらず、子がいない人(いる場合は子が20歳以上)は戸籍の性別記載を変更できるようになった。手続きは医師の診断、ホルモン療法(女性は乳房の切除)、性器の手術(身体から生殖機能をなくす)と段階を経て、家庭裁判所に審判を請求し、許可されれば可能になる。
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