それは徒然草。
ずっと前に角川文庫本を買って読んではいるのだが、今泉忠義氏訳は学者のせいか何となく
なじみにくい所があって、今回買ったのは河出文庫版佐藤春夫訳。佐藤春夫は一昔前の人だ
が和歌山県新宮市の出身の文学者なのでなじみやすい文体だ。
作者の吉田兼好は前回紹介した唐木順三の本にも中世生活者の達人と出ている。徒然草は高
校の教科書にも少しだけ載っていた。鴨長明の方丈記と並んで隠遁文学の双璧だが、ユーモ
アの点では勝っている。第137段の「花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。」
は日本人の繊細な感性を象徴するような文章で、同じような考えはあちこちに出てくる。唐
木順三は季節感の繊細な感覚として、日本人が代々受け継いできた美的センスとみている。
しかし今の日本人はどうか。第22段には、現代風はこの上なく下品になってしまったようだ
とある。平成の現代にも当てはまりそうだが、単なる懐古趣味ではない。
やはり文化を受け継ぐというのは大切なことだ。温故知新と言うことわざもあるが、新しさ
を求めるにしろ、参考になるのは過去にしかない。
今春長野県大滝村にて撮影。残念ながら人工の滝のようだ。
ペンタックス645N
べルビア100
300mm ,2xコンバーター
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