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* 天国よいとこ
キヨヒメたちは、風呂に入りさっぱりとしていた。
石鹸の、さわやかな香りが漂っていて、すがすがしかった。
サヤカは、可哀相にバイク姿のままだ。
近くに人がいると、決して人間の姿にはならない。
天国には、人は少なかった。
私たちの貸切のような感じがした。
季節は、ちょうど春の始めごろである。
蝶々が飛び、菜の花が、咲き乱れていた。
遠くには、桃の畑が見えている。
小川には、サラサラと、水が光りながら流れ、
道路には、細かい砂利が敷き詰められていた。
あちらこちらに、神社やお寺のような建物が、
散らばっている。
金色の屋根が、光り輝き、まぶしかった。
キヨヒメは、ここまで来たら、
後は一人でゆけるので、皆さんは、ここで
ごゆっくりして、待っていて下さいと言って、
一人で、Gスペースに向かった。
私が、サヤカで送ろうと言うと、
「イヤいいから、オッさんもゆっくりしな」と断って、
カラフルな、大蛇に変わったかと思うと、
大空に舞い上がって、2~3回旋回してから、
すーっと、消えてしまった。
空を飛べるのは、この旅行用に観音はんに、
特別改造してもらったのだろう。
私たちは、各自自由行動を取ることにした。
私は、チーコちゃんとヤッタールを連れて、
「まごころ」を返してもらいに、
出発することにした。
チーコちゃんに黒メットと革ジャンを貸し、
サヤカに乗せてやることにする。
転倒などして、怪我でもさせると大変だから、
そんな格好を、させることにした。
ガラッキーは、地獄の酒恨みが、まだ残っているのだろう。
鼻をくんくんさせて、酒の在りかを探していた。
何しろ、ここは酒池肉林の天国だ。
何でも、揃っているはずである。
つづく