信長の小牧山城－その歴史的意義を読み解く－

2021年01月11日 16時04分06秒 | 歴史

1月10日（日）
二カ月前に整理券を入手していました。城郭研究家の千田嘉博先生をお迎えしての記念講演です。受付開始と同時に座席がどんどん埋まって瞬殺でした。端っこの席だけど、運よく確保出来たので参加出来ます。新型コロナの第3波？で中止になるかもと心配でした・・

13時15分に小牧市市民会館に到着、急いでドンキで買ったお弁当を食べて会場へ向かいます。

座席は一席ずつ空けての着席となっていました。コロナ対策ですが、とても贅沢な環境で拝聴出来ます。

前から四列目で千田先生のお席は目の前でした！何しろ先生は歴史に目覚めるきっかけをくれたお一人です。2009年のNHK「BS熱中夜話・関ケ原ナイト」にご出演。その番組を機に、関ケ原などの史跡や歴史イベントを知りました。なので、ようやく千田先生ご本人を拝見出来るのが実に嬉しい！

千田先生ご登場。「こんなに沢山の方に、まばらに座って頂いて」冒頭の挨拶でコロナ対策の為に定員を減らしたことに言及。

・小牧城が「謎」だった背景
信長さんが小牧山にお城を築いて5年で岐阜城へお引越し。「国盗り物語」でも5行くらいしか出て来ない。
後に小牧・長久手の戦いで家康さんが本陣を敷きます。秀吉さんに「負けなかった」ことが天下取りの布石となる。家康さんにとって大事なターニングポイントの地。

江戸時代は一般人の立ち入りが禁じられていたそうです。小牧・長久手の戦いの際に、石垣の上に盛土して土塁を築いた。結果、石垣がほぼ「築城当時のまま」保存されました。
熊本城を例に挙げた。加藤清正さんが築いた石垣と思われている。実際は後に改易された細川家が補修を繰り返して今に至る。小牧山城は「信長と家康の合作」でそれを免れた稀有な存在。

・山の上にお城を築く
当たり前と思われがちだけど、当時の尾張では画期的でした。館を基盤にした「館城」の形式が主流の時代。信長さんが産まれた勝幡城を例に挙げます。その際に先生、稲沢市と愛西市に恨み節。「今は残っていないと全力で、全集中で主張された」言い換えてまで鬼滅ネタをぶっこむ(;'∀')
「勝幡城ってだいぶ残ってるらしいよ」「でも稲沢市も愛西市も全然発掘しないらしいよ」「そうアピールしてくれたら広まるかも？」先生、勝幡城を是が非でも発掘調査したいみたいｗ

・国史跡の小牧山城の中に市役所が建っていた
それが認められた経緯は分からないそうです。文化庁から「どかして」と言われて南側に移設。跡地には土塁や空堀を再現していて、さっき見ましたね。
「小牧ってどんな街なの？」「市役所どかして家康が作った土塁や堀を復元した街」誇れることだと言ってくれました。もっとも、その高さや深さには不満あるみたいですが・・
愛知県体育館も名古屋城の二の丸御殿跡地に建ってて移転予定。数十年前なんて史跡の価値が理解されていなかった頃。どこも同じような状況なのですね。

千田先生って凄くお話しが面白い！
いかに小牧山城が近世城郭に於いて重要なのかを熱弁。座ることなくステージ中央に度々出て来るアクティブさも。他にも面白い研究成果を時間オーバーして話してくれた。
・「佐久間」の墨書は「割普請」の証拠
・岩盤の上に石垣を築いている所がある
・入口は犬山城の形式？
・信長の居館には厳選した綺麗な玉石
・堀の有無で信長の館跡だと推定
・並列ではない新しい関係の屋敷配置
・南側に城下町があった
・市役所の中の床に大手道の名残り

1月31日（日）には発掘調査の現場公開が予定されている。新たな発見はその時に発表されるのかな？今回の千田先生の講演で小牧山城の魅力を存分に教わりました。いやぁ、実に面白かった！

帰りを急ぐ車の列が出口に殺到していた。諦めてしばらく車中で収まるのを待つことに。15分ほど経って「そろそろいいかな？」と北出口へ向かった。するとタクシーが停まった所に人垣を発見。出待ち？少し待っていたら千田先生が出て来た！