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彼女について 私の知ってる二、三の事柄 (1)

わたくしがいた

映像制作会社の

出来事です。

 

わたくしは、

モモンガを撮影した映像制作会社が倒産してしまい、

その会社が倒産する前に

別の映像制作会社にさきに移った先輩の声掛けで、

その新しい映像制作会社に、

無試験で中途採用として潜り込みました。



その会社の入社試験は大変難しく、

新人として入社するのは大変狭き門でした。

その業界では名をはせたディレクターの方々が役員で、

その面接を、クリア、クリア、クリアして、

入社した20代前半の、初々しい女性の新人が、

わたくしの部下となりました。



彼女の名前は、トモちゃん、

声は、ちょっとハスキーで、

眉がちょっと太く、斉藤由貴に似ていました。



会社の仕事は、

突然の残業が多く、夜が深くなり、

終電後のタクシー帰りも増え、

わたくしなどは、

友だちと約束したコンサートに行けず、

わざわざ、わたくしの為に、

チケットを取ってくれた、その友だちに、

「もう、お前の為に、二度とチケットは取らないし、

 誘わない」と、

約束を断り叱責されることは、

一度や、二度では、なかったんです。

そのため、

いままでの友だちが、離れていくような状況でした。



そんなある日、トモちゃんに会って2〜3ヶ月後だ。

新人部下のトモちゃんが、

わたくしに、相談があるといいます。



当然、わたくし同様に

プライベートの自由な時間の相談か、と思いました。

プライベートは、プライベートですが、

さすが、業界の名をはせた、お歴々の面接官を、

クリアしたトモちゃんの相談は、次元が、違いました。

彼女は「いま、住んでるアパートの壁が薄いンですぅ」

いう。

あれ、仕事と自分のプライベートの時間とか、

そういう、たぐいの、話じゃないの???

腰が抜けました、トモちゃん、あなたは、スゴイ。

「彼と、声を出した、

 思いっきりのエッチが、出来ないんですぅ」


あのね、しかるべきホテルに行くとかね、

お金を貯めて、壁の厚い、

隣を気にしなくてすむ様なね、

アパートに、引っ越すとかね、

方法は、あると思うよって、

そんな答えが、わたくしの回答の限界でした。



ヘンな信頼をされ、見込まれたモンです、

上司として、試された、ひと幕でした。

 

 



トモちゃんの伝説は、

まだ、まだ、つづきます。

 

 

初出 17/08/09 05:13 再掲載 一部改訂

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