本日、2018年11月3日は1946年に日本国憲法が公布されてから72年目の文化の日です。しかし、日本国憲法は風前の灯火。
冒頭の写真は2012年6月26日、野田民主党政権下で行われた消費税増税法案に対する衆議院本会議での採決。
与党民主党から一部反対に回る議員もいましたが、反対したのはそれに加えて共産党と社民党のみ。
憲法「改正」には両院から3分の2の賛成が必要なのですが、3分の2どころか4分の3以上が賛成する事態となりました。
いま、日本の国会であくまでも改憲に反対!という政党はやはり共産党と社民党しかありません。
しかし、維新などほとんどの野党がヤトウがヨトウと区別がつかないユトウです。
野党第一党で「硬派」に見える立憲民主党も改憲そのものには賛成で、それこそが立憲主義なんだとわけのわからないことを言ったりしますので、冒頭の画像のような憲法「改正」発議が来年に行なわれてもちっとも不思議ではありません。
では、自民党の改憲案が通るとどういうことになるのでしょうか。
72年前、日本国憲法は全国民の歓呼の声で迎えられた。これが押しつけ憲法であろうはずがない。
1 参議院合区解消
罪の軽いところ?で、参議院合区解消のための自民党改憲案が通ると、人口以外の要素が憲法上議員定数を決めるにあたって考慮できるという言い訳がまかり通りますので、もう厳密に有権者の人口比で選挙区割りをしなくていいということになってしまいます。
一票の価値の格差是正、投票価値の平等は永遠に実現しなくなります。
自民党の改憲案がひどすぎる。参院選の「合区解消」を名目に、「投票の価値の平等」を放棄!
2 自衛隊の明記
これについては、安倍首相が自白しました。
これまで、安倍首相は改憲して自衛隊を憲法に書き込んでも
「憲法への明記で自衛隊の任務や権限に変更が生じるものではない」
「私の考え方であり、自民党の案についてコメントしたことはない」
安倍首相が自民党の改憲案だと自衛隊の任務や権限に変更が生じ、集団的自衛権に歯止めがなくなることを認めた!!!
3 緊急事態条項の制定
下に引用した東京新聞の社説にもありますが、世界最先端の憲法と言われたワイマール憲法にも緊急事態条項が入っていたために、ナチスによる「クーデター」を許し、ワイマール憲法は廃絶になってしまいました。
恐ろしいのは、政府が「緊急事態」だと認定して緊急事態宣言が出されてしまうと、国会が作った法律以外に内閣が作った政令が法律と同じ効力を持って、国民の基本的人権を制限することができることです。
そもそも、緊急事態なのだから国民の権利は制限されて当たり前になって、裁判所での救済もできなくなります。
そして、この緊急事態宣言はいくらでも延長できるので、延々と暗黒時代が続くことになるのです。憲法の役割は基本的人権の保障ですから、もはや憲法は死んだ、と言っていい状態になります。
安倍政権「災害対策名目の緊急事態条項から改憲に着手」と政権幹部。でも、現代の戒厳令は超危険!
4 教育無償の義務化
これは触れる必要もないような口約束なのですが、自民党の案は国民の人権として、無償教育を受ける権利を保障するというものではなく、政府に無償教育の制度を整備するように努力しなさいよという努力義務を課するものでしかありません。
努力義務ですから、教育の無償化がいつまでたっても実現しなくても憲法違反になるわけではありませんし、国民の権利を保障するものではないので、国民が無償教育がなされないのは自分の権利を侵害している!として裁判に訴えることもできません。
憲法「改正」を強行突破するための空証文にすぎないのです。
消費税増税分を幼児教育無償化に投入。つまり、安倍首相の中では消費税増税と改憲はセットだ。
このように中身をちゃんと見ると、自民党の改憲案は酷いものなのですが、野田政権の消費税増税だって国民生活を破壊してデフレを続かせるトンデモ法案でした。
それでも圧倒的多数の賛成で通っちゃいましたからね。
中身はなくても歴史に残る長期政権を維持してきた安倍首相は本当にしたたかです。その安倍首相が執念を燃やし続ける憲法「改正」。
冒頭の画像のようなことにならないように、国会の段階で発議させないように国民が監視しないといけないです。
ナチスの「手口」と緊急事態条項 (集英社新書) | |
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集英社 |
自民党が、ながらく憲法に加えることを狙ってきた緊急事態条項。災害・テロ発生時への対策だというのが表向きの説明だ。しかし、首相に権限を集中させ、国民の権利を制限するこの条項に別の意図はないのか。じつはヒトラー独裁の始まりは、ワイマール憲法に書かれた同様の条項だった。憲法学界の重鎮が、ナチ・ドイツ研究の最先端をいく歴史家とこの条項の危うさを徹底的に解明する。
愛する日本国憲法が改悪されたら、わたし、生きる希望の半分くらいがなくなっちゃうなあ。
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憲法公布の日に ワイマールの教訓とは
2018年11月3日 東京新聞社説
きょう十一月三日は日本国憲法が公布された日だ。世界史に目をやれば百年前、ドイツでワイマール憲法が誕生する契機となった事件の日でもある。
ドイツ海軍は英国海軍に制海権を握られて、海上封鎖にあっていた。第一次大戦の末期のことだ。ドイツ北部の軍港は敗色が濃厚で、もはや水兵らは厭戦(えんせん)的な気分になっていたという。
戦艦は港に眠ったまま。潜水艦の攻撃も成功の見込みはない。それでも海軍司令部は大決戦を挑むつもりだった。攻撃命令が出た。まるで特攻作戦である。ところが、大勢の水兵が命令を拒否してしまった。
◆改憲は社会契約の変更
水兵はただちに拘束され、キール軍港へ。軍法会議で死刑が予想された。緊張した空気の中、仲間の水兵らが釈放を求めた。そして、一斉に武装蜂起-。「キールの反乱」と呼ばれる、一九一八年十一月三日の世界史的な事件だ。
ドイツ海軍の戦艦同士が大砲を向け合ったという。上官に従う艦と従わない艦と…。結局は水兵と労働者による評議会が形成され、キール市を支配下に置いた。
反乱の火はドイツ全域に拡大し、九日には皇帝ウィルヘルム二世が退位に追い込まれ、オランダに亡命した。帝政ドイツの崩壊。そしてドイツ共和国が誕生した。
帝政時代の憲法は鉄血宰相で有名なビスマルクらが制定した。だが、共和政へと国家の形が変われば新憲法がいる。それが一九一九年のワイマール憲法だ。つまり国民との社会契約が変わるとき憲法も変わる。
明治憲法は帝政時代のドイツ(プロイセン)憲法を模範とした。戦後の日本国憲法も敗戦により、天皇主権から国民主権へと政体が変わったから、新たな社会契約として制定されたのだ。
◆自衛隊をなぜ明記?
日本国憲法は英国の「権利の章典」、米国の独立宣言や合衆国憲法、フランスの「人権宣言」などの思想を踏まえる。ワイマール憲法との類似点もある。
例えば生存権である。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」の条文だ。その他、ワイマール憲法では主権在民や男女平等の普通選挙。教育を受ける権利しかり、自由権しかり、労働者の団結権もしかり…。
ワイマール憲法は当時、世界で最も民主主義的で、輝ける憲法だったのだ。「平和主義」の日本国憲法も今なお世界最先端をゆく、輝ける憲法だと考える。
だが、臨時国会で安倍晋三首相は「自民党総裁として」と断りを入れ、九条改正を促した。持論は自衛隊の明記だ。「自衛隊員の正当性の明文化、明確化は国防の根幹だ」と答弁した。
不思議だ。自衛隊に正当性がないのか? 歴代政権は「合憲」と正当性のお墨付きを与えてきたではないか。国民の大半の支持がある。法制度も整っているのに。
九条改憲案が国民投票で可決されても首相は「(現状に)変わりがない」と述べ、否決されても「(合憲に)変わりがない」と過去に言った。ますます不可解だ。改憲の動機が空疎なのだ。
「平和主義」は戦後日本が国民との間で交わした最重要の社会契約である。しかも世界に、アジア諸国に向けた約束でもある。その社会契約を変更するには、説得できる理由がいるはずだ。
首相がこだわる真の理由は何か。まさか「改憲したいから」ではあるまい。「国軍化」への一歩なのか。歴代内閣が守ってきた専守防衛の枠を超え、集団的自衛権さえ使う国になった。自衛隊の任務の境界が不明確になった。海外の戦争にまで踏み込むのか。
平和主義を打ち壊そうとしているなら断然反対する。そもそも憲法改正には限界がある。立憲主義も国民主権も平和主義も基本的人権も権力分立も、憲法の根本原理だから改正不能でないのか。
だが、憲法条文を無力化する方法が別にもある。緊急事態条項である。政府が「緊急事態」を宣言すれば、憲法秩序が止まる。
輝けるワイマール憲法がわずか十四年で事実上、機能停止したのも、この規定のためだった。ナチス・ドイツ下では「民族と国家防衛のため」を口実に国家緊急権が乱用され、保障されているはずのさまざまな自由が奪われ、ユダヤ人の大虐殺も行われた。
◆「国民のため」は要注意
自民党が考える改憲案には緊急事態条項も含まれている。為政者は権力を強めるためにさらなる権力を求める。だから条文で厳しく制約し、権力を鎖につなぐ。それが憲法の役割である。
ワイマール憲法を教訓にすれば、政府が「国のため」「国民のため」というとき、実は危険な兆候なのかもしれない。
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日本国国民は天皇とともに日本国憲法を守れ、この”みことのり”は日本国憲法と矛盾しないと思います。
歴代天皇のなかで、一人称複数形に”私ども”を初めて用いた方ではないかと思いますが、昭和天皇はどうだったんでしょう?
アノ総理は”私達自民党”と言いますが、達は公達の達で敬語の一種です。アノ世代の教育水準の反映でしょうか?
東京新聞、いい仕事。